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5-7 歩み寄り、そして動揺

主人公ちゃんの能力を今後たくさん出していきたいマンなのり遅れです


「全く、このブァカ瑠香ときたら!

いつまでこのプリチーセクシーイケメン優秀検察官白石富治を待たせるのですか!

あの子の好きなオムライスの専門店まで用意したというのに…ねぇ結衣、結希(ゆうき)!」



「富治さん…もう少し待ってあげよ?

きっと、駐屯地の方で何かあったのかも」


「とぅしゃん、ねぇねくる?

…あっ、ねぇね!」




お待たせしましたー!




「声が大きい…切磋琢磨しますよ?」


「結衣さん、結希君遅くなってごめんなさい

腕立て伏せします、やっぱり屈み跳躍にします!」


「やらなくていいのよ?

私たちも今来たところだし、道も混んでたからね」


「僕を…無視するなんて…許せない……

まぁいいでしょう…あなたに大切な話がありますからね」





そろそろ夏が始まると言う東京都新宿区。

午前11時半前の事でした。

私は白石ファミリーに連れられて都内にあるオムライス専門店に来た。

話があるから外に出てこいって、ラインでいきなり連絡が来たから、仕方がないって思い外出許可をもらおうとした矢先。

田中3佐がストレスで喀血して衛生科に自力で歩いて

行くところを見てしまったのです。




『ストレス溜まるとね…3佐は喀血しちゃうのよ

あなたが気にすることはないのよ』





なんて村上3曹こと千春ねぇに言われたのです。

代行として向井和子ママが田中3佐の執務室で


『明日の夕飯は何にしようかしら』


なんてぼやきながら、スーパーの特売のチラシを読みあさっていました。

完全にママです。

みんなからママとか、かぁちゃんって言われているのでかぁ様です。

そんな和子ママから外出許可証をもらって今に至ります。



「源一郎様…ストレス性の喀血…どうしましょう!」


「じぃじどしたの? ぽんぽん痛いの?」


「そうよ結希、源一郎さんはねぽんぽん痛いんだって」




キョトンとしている結希くん…かわええなぁ。

ぷっくりしているほっぺたがめんこいなぁ。

なんで私、めんこいだなんて思ったんだ?

テレビの影響かな…なんだか…いずいなぁ。



「いずいな…なんだか」


「いずい…瑠香ちゃん、いずいって何?」


「えっと…気持ち悪いって意味なんですが

そう言えば、なんでいずいって咄嗟に出てきたんだろう」


「その事に関しても、このスーパーイケメンプリティーセクシー優秀検察官白石富治が教えてあげましょう!」


「とっちゃん前…前!」




クローズと立て看板が置かれていた扉からウェイトレスさんがドアの中に入れて店がオープンした。

こうやって外食をするのはいつぶりなんだろうな。

だけどここでもレンジャーパワーが求められる。

映える店内の雰囲気で、美味しいオムライス。

尚且つ、高カロリーで今まで抑制してきた何かを爆発させるチャンス。

これぞ二刀流!

予約席に案内される間、富にぃは私の方を見て気持ちわるって顔面にデカデカと書きながら見ていました。

とりま、さーせんっす!




「何考えてるか…僕にはわかるようで、わかりませんが本題に入らせてもらいます

まず一つ目に空の神様についてです」



空の神様についてわかったって…なんで空の神様のこと知ってんだよ。

私、富にぃに空の神様の事話してないよ?

田中3佐が言ったのか、それとも沖田2曹か…オノサト陸士長コンビかもしれないし…思い当たりすぎてなー。




「この前、僕がくそった…財前誠と喧嘩した後に僕と源一郎様の前に現れたんですよ」


「えっ…空の神様…本当に幽霊なんじゃ」


「そんなこと僕の知ったこっちゃありません

お前が呪われようが何されようが、向こうが幽霊だろうが

それにお前が総合訓練の時に、源一郎様の前に現れたのでね」


「とぅしゃん、だっこして」


「オムオム食べてからね…それから抱っこするね」


「うん、いいよ!」




あぁ、難しい話をしていて顔が強張りかけた富にぃをこんなに可愛い結希君が空間を一気に浄化していく。

結衣さんに似たクリクリお目目に富にぃとそっくりなスッと通った鼻筋、ぷっくり唇にぷにぷにほっぺた。

白いズボンにナイ○のスニーカーTシャツは、ゆるく描かれたヒトマル式戦車のプリントTシャツ…

ヒトマル…好きだね。

今度の駐屯地祭りの時に展示あるからおいで。




「うふふ、めんこいなぁ、めんこいなぁ」


「それで富治さん、瑠香ちゃんの見たその神様って…」


「源一郎様の描いた絵に、僕たちの前に現れた服装をふまえ、僕の知識をフル活用して思い出しましたよ」





まず瑠香がみた前掛けと背負い式の鞄は前者は予備落下傘で、後者は落下傘です。

それを縛る縛帯(ばくたい)という全身につけるベルトみたいな奴に降下帽というヘルメット。

降下用のブーツに手袋。

降下外皮という降下服の上から来る膝下くらいの服装と降下服の組み合わせ…。





「瑠香…源一郎様が陸自に入る前、遠い昭和の時代に何を生業として生きていたか…僕もそうですが、知っているだろ?」


「もちろん…何者なのかも知っています!」


「よろしい、僕が導き出した答え…僕たちの過去に関連することだ

パレンバン空挺降下作戦を成功させ、後に空の神兵(しんぺい)とうたわれ、ある激戦で少人数ながら敵の飛行機の破壊を成功させた」



旧陸軍の精鋭兵…挺進兵(テイシンヘイ)だと導き出された



「挺進兵…あっ聞いたことがある」


「源一郎様の過去の話ですね…彼がその挺進兵です

その部隊の後継…今の時代で言う陸自の」


「第一空挺団…空挺…レンジャーと言われしツワモノ」


「感が鋭いのは褒めてあげましょう

彼の話した内容…その中で僕はこう聞きました。

義烈(ギレツ)の者か』と」


「ギレツ…ってなんですか?」


「その辺りはここでは話せませんよ

結希に悪い影響を与えてしまいますからね…」


「わかりました!」



そんな話の内容を知る由もない結希君はおむらいす、おむらいす!って興奮気味になっていて、視線の先には美人なお姉さんウェイトレスがカートに乗せてオムライスを運んできた。

ニコニコ微笑む笑顔がとても可愛いっすね!

私も、惚れてまいそうやわ!



「お子様オムライス…僕のだよね?

はいどうぞ」


「わぁーーーい!」



『『『ゔっ、がわいい 可愛すぎて死ぬ』』』



富治さん、結衣さん、そしてウェイトレスさんまで結希君の笑顔で消されそうになってる!

結希君もやっぱりデーモンコアに匹敵する笑顔属性だったのか!

まずい、私まで消されかねない…タイムパラドックスだ!

浄化されそうになっていたウェイトレスさんが、仰げば尊死既の状態で私たちに定番デミグラスオムライスをテーブルに並べていく。

失礼しますと言って下がっていったがその後彼女がどうなったかわからない。





「結希の可愛さにやられて死ぬところでした…

そして二つ目…これが一番重要なことです

ブァカ瑠香の父親が見つかりました

瑠香のお母様…真奈美さんの月命日に一緒に手を合わせたいと言っていましたよ」


「父が…見つかった…どうやって連絡きてきたんですか!」


「この前…瑠香がレンジャー課程修了式の時にマスコミが来ていたでしょう…

ほんの少しだけあなたがメディアに取り上げられた時、確信したそうです」




 私の娘に違いない…会いたい…あって確かめたい!



「連絡を受けて、僕は会いにいきましたよ

僕ほどではありませんがイケメンとやらでしたよ

背は高く、顔つきは瑠香にとても似ている

今すぐ引きとるとなっても、経済的にも問題ないと言っていました

なんせ、公務員だそうで…」




なんだ…頭の中でずっと何かがぐるぐると回っている。

思い出しそう…いや、断片的にあの時の記憶が蘇りつつある。

でもここで記憶の蓋をこじ開けるのがとても怖い。

うまくオムライスが飲み込めない、スプーンを動かす手が止まりつつある。




「あぁ、そうそう聞いてみれば北海道の出身だそうですよ

地域的には帯広よりだとか言っていたんですが…

確か…陸別町でしたっけ?

だから、時々北海道の訛りが瑠香から聞こえるのですよ」



その地域って…そんな嘘だ…。

だってその地域は、財前陸将の地元だって聞いたんだけど…もしかして、私の父さんの知り合いって可能性もあるのか?

父の影響で訛りが出ていただなんて気がつかなかった。



「すいません…お手洗いに行ってきます…」


「…了解」






嘘だ…私の父親が…急に現れたなんて話が良すぎる。

富にぃは絶対に何かを…もっと大きな秘密を隠してる。

富にぃの心の中は真っ暗で読めっこない…探りを入れようとも反応がないんだ。

もう何がなんだかわからないよ!



「どうしたもんかな…お父さん…どうして私を…私たちを捨てたの?

考えても無駄なだけだ…オムライスが冷える前に戻らないとな」



なんて呟きながら私はトイレから出た。

トイレ付近からむかつきを覚えるくらいにタバコの匂いがきつい。

トイレの近くに喫煙スペースが設けられているのはいいけど、遮蔽するドアに隙間が空いていて匂いが漏れていた。



前から誰かくるな…避けなきゃ…



肩がぶつからないように半身で交わす。

いつの間にか…こんなふうに癖ついちゃったな



「……今の匂い…まさか!」



半身で交わした相手から感じた匂い。

マリン系のあまりきつくない香水の匂いの中に混じって嗅いだことのあるタバコの匂いを感じた。

ア○コスの匂いとは違う…。

これは、沖田2曹も吸っているセッタ…セブンスターの匂いだ。

この自衛隊(せかい)に入ってタバコのことは少しわかるようになってきた。

だからこそわかる…間違いなくあの人の匂い。

気がつけばその人は居なくなっている。

まさか、監視に来たとでも言いたいの?





「どうした、そんなに浮かない顔をして?」


「瑠香ちゃん…誰か知り合いにでも会ったのね」


「いえ、なんでもないです…」



席についてから、何も考えまいとオムライスを食べ進めていた。

結希君がずっと、大丈夫?と仕切りに聞いてきていたけど笑顔で大丈夫だよって答えた気はする。

食後のケーキも食べ終わって富にぃは会計を済ませて

外に出て、少し曇天寄りの空を見上げて一つ私はため息をついていた。



「おやおや、僕に電話のようです…

結衣、結希、ブァカ瑠香、少し待っていてください」



そう言って富にぃは電話に出た。

聞く感じは仕事の話なんだろうな、なんて感じがしているけど顔色はますます暗くなって行くだけだ。

何かあったのか?






「お前、どう言う神経してるんだ?

ここまできて、あの子に何をしたい」


『どこまで思い出せたかの確認ですよ…

瑠香が座っていた席の真後ろに私を座らせるなんて大胆にも程がありますよ憲兵少尉殿?』


「僕を出汁にして摂食しようとは、痛い目見ますよ

後、お前が言っていた事ほとんど全て話しました…

これで本当に良いんだな?」


『聞いていて、この程度かとは思いましたがまぁ良いです

あまりにもあっさりと話していたから…もっと感情を揺さぶるように話して欲しかったのですが…

肝心なのは瑠香の心ですからね」


「最低な父親だぞ、貴様

自分から何も語らず、他人任せにして

これだけは、覚えていろ

お前の親権は…その気になればいつでも剥奪できるんだ」


『そうなったら…俺はお前を許さんぞ、憲兵少尉殿

地の果てまで追い込んで丁寧に嬲り殺しでやるさ

さてあの子はどう言う反応をするかな』



俺の愛娘…瑠香。

早く、俺と同じ苗字に戻れるように頑張らないとな…。

財前瑠香…懐かしい響きだ…家族に戻ろう。


歩み寄れるのかというか動揺させる事だらけでした。

財前の目的がわかりつつある状況でわかっていないのは瑠香だけです

気づくのはいつぐらいかな

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