5-4 まさかの出会い
遅くなりましたー!
色々と個人的に投稿できなかったのですません!
あれ…ここどこだ?
小さく上の方が四つ股に分かれてる鉄塔みたいなのが遠くに見えるけど…。
「修、瑠香隠れていて!
大丈夫…お母さんが追い払うから…出てきて良いっていうまで押し入れから出ちゃダメよ!」
「おかぁさん、こあいよ!!
どこにも行かないで!」
「大丈夫だよ、瑠香…お兄ちゃんがお兄ちゃんが守るから!」
『出てきなさい、神前真奈美!
お前に逃げ場はない!」
「大丈夫…大丈夫だから!
もう少ししたら…お父さんも帰ってくるから!」
「お母さん、本当に大丈夫だよね?
あいつらすぐいなくなるよね!」
「大丈夫よ、修…
神様どうか…この子たちだけでも…まずい!」
ギィィィアァァァァ!!!!
「嘘…嘘よ…こんな事!」
コロス…コロス…サタン…コロス
「…私が相手よ○○○○…
やってやろうじゃないのよぁぁぁぁ!!」
お母さん…お母さん。
そんな…嘘だ…首のない翼者が母さんを殺したの?
そうだ…これは夢だ。
違う夢じゃない…私が昔見た記憶。
何か…音が…あなたは?
『真奈美…まさかこんなことに…
あいつら、一体何者なんだ!』
「お願…いしま…す
どう…か…あの子…たちを…まもっ…て
空…の…神…様ぁ…○…○…○さん」
『約束だ…絶対に守る…
だから…君は死んじゃダメだよ…
彼は一体何をやって…あっ!』
「…嘘だ…真奈美?
真奈美、しっかりしろ…誰がこんな事を!」
「ごめん…なさい…お父さん
何も…抵抗…できな…かった」
「ばか、喋んな!
止血するからじっとしてろ!」
「私は…もうダメ…あの子…たちを…お願い…」
「だから…喋るな、お願いだから…死ぬな!」
「最後…に…わが…まま…さ…せ…て」
「最後じゃない!
最後にさせない、空挺レンジャーの誇りにかけて助けてやる!
だから、出血止まりやがれ!
………真奈美…何やってんだよ!」
「あ…なた……愛してる……
修…瑠…香…大きく…なっ…て」
チュッ……
「真奈美…真奈美……?
あっあぁ………ク……クソ……クソガァァァァァ!!!!!」
そんな…どうして…こんな事に…!
これは…私のみた過去…見たくない…見たくない!
助けて…誰か…助けて!
「助けて……嫌な夢、見たな…」
なんて目を覚ますと壁にかかっていた時計は、まだ朝の四時を指していた。
外からは雨の降る音が聞こえていた。
一度目が覚めると…寝付けないんだよな…。
「トイレにでも行くかな…あれ…足がふらつく?」
そんなにハードなトレーニングはしていない。
ましてやレンジャー課程の反動が今になってやってくるなんて考えられないし。
なんだこれ、すごい吐き気までする。
なんとか廊下は出たんだよな…視界までぼやけてきた…。
「誰か…目の前にいる?」
自衛官にしては…やけにふるめかしいのかな…。
迷彩色の服を着てない?
ダメだ…吐き気から本当に吐く一歩手前まで来てる…。
「おい、貴様!
しっかりしろ、誰かおらぬか!」
だんだん…声が遠くなっていく…。
あぁダメか…私は…ここまで来たのに…ダメなのか?
ダメなのか…も…お父さん…。
あれ、この匂い…梅の匂い…田中…3…佐?
「今、助ける…待っていろ…」
えーーーーせーーーーーへーーー!!!!
「あっ!
ここ、まぁた病院送りっすか!」
「黙れ、本当に鎮静剤打つよ?」
「……ごめんなさい」
「って言っても、らしくないよ…神前どうしたの?」
衛生兵って叫び声を聞いてから意識が飛んだ…。
病室の時計を見ると7時10分になっていた。
結構な時間寝ていたんだな…。
「貧血による失神だよ。
助けが来なかったら神前死んでたよ?」
「本当ですか?」
「死んでるは嘘だけど」
「私…誰かに助けられたんです
誰かわからなかったのですが…田中3佐と同じ匂いがして…」
「えっ、田中3佐と…?
おかしいな、だったら田中3佐は豚箱行きになるけど?」
本当だ…よく考えてみろ。
私のいるのはwac用宿舎、田中3佐は男性用宿舎かアパート。
幹部の田中3佐と言っても、wacのいる隊舎には入れない。
それに、夜はセキュリティロックがガンギマリのドアに阻まれてあり一匹入れない…。
じゃあ、あの人は誰だったんだ…?
「飯島3曹…それじゃあその人って、誰なんですかね…?」
「ん?…俺らの知り合いだな
別におっかない人じゃないよ…お礼を言いたいなら田中3佐に言ってからの方がいいよ
いる時といない時があるからね」
「いる時といない時…?
どういうことですか…っていなくなってるー」
視界が霞む中で見えたあの人の格好は…カーキ色に自衛隊のような格好だけど自衛官じゃないって感じだし。
訓練中、翼者に襲われた時も田中3佐…あの人みたいな格好をしてたような…。
……。
「まさか…日本兵?
練馬ってそうゆう類のお化け出るの?」
えっまじでお化け……うけるぅ!
同時刻、即応強襲部隊長執務室
「助けを呼んだのが…あいつ…なのか」
「おそらく…彼だと思います」
神前が倒れたと聞いていてもたってもいられない。
ただでさえ、あの子の心は今揺らいでいるというのに…。
あいつと…財前陸将と接触が多くなり始めたと言うだけで他の中隊長連中から遠ざけるべきと言われている。
わかっている、もうこの駐屯地であの二人の関係がバレているのはわかっている。
だがまだ彼女に触れ回ることだけは避けなければならん。
財前陸将の暴走に、化け物集団の強襲…頭が痛くなる。
「あいつ…呼び出すわ
おそらく…pxにいる…絶対にいる!」
「肉まん…ですか…」
「おでんも買ってふりーすぺーすで食っているだろうな…
それか、幹部食堂で朝飯食ってるか…馬鹿だろ?」
儂の…おらの兄貴
「……日本兵がいる…」
診療所から出て私は宿舎に戻るべく歩いていた。
幸い雨が止んでいて雨がっぱを持ってなかった私にとってもありがたい。
なんて呑気に帰っていた時期が私にもありました。
診療所から少し出たところに大きめの隊員食堂がある。
その後ろ隣くらいに、幹部専用の食堂があるんだ…。
幹部食堂から、扉を開けて出てきたのは日本兵の格好をした人。
見間違いかなーって思って無視して、pxに入ってコンビニのおにぎり買おうとしたまではよかった…。
目の前に日本兵さんが…いる
嬉しそうに肉まんと、おでんとタバコ買ってるし。
ファ◯チキ買ってるし…まじかよ。
「締めて千円くらいかな?」
「残念、1,270円です…にくまん3つは買いすぎですよー」
「いかんなぁ!
こりゃまた、ゲンに怒られるべな!
…おぅ、お嬢ちゃん元気になったか?」
「……レ…レンジャ?」
「おめぇさんのことだよ!
神前瑠香二等陸士ちゃん」
「えっあの…はい
えっ、私…レイカンとか無いのに…え?」
「ふふん!
俺はお化けや妖怪の類では無いのだよ…
その辺りも兼ねて自己紹介しようか
ほら精算してきなさい」
「レンジャ…」
コンビニの入り口あたりでニコニコと笑う日本兵さん。
店員のおばちゃんも苦笑いを浮かべているだけで、普通に接しているし…この駐屯地ってなんなの?
買い物を終わらせて、日本兵さんがフリースペースに手招きしてるし…確かに悪い人じゃないか
「悪い、ここはやめよう
ふははは、カンカンになったあいつがきたぞ!」
「あいつって誰……あっ」
あーーーーーーーーーんーーーーーーーにゃぁーーーーーーー!!!!!!
「来おる…来おる…来おるゾォォ!
にぃぃげろぉぉお!!!」
「わーーー!!!」
「瑠香…なしてオメェがあんにゃと?
まぁいいが正明ぃ野郎ぉ!
おらの財布さ勝手に持って行きやがってこのデレスケ!」
「……え?
日本兵さん…田中3佐の財布を」
「勝手に拝借してましたー
そんな源は…これでも食らえ!」
そう言って日本兵さんは、田中3佐のいる空間に何かを投げた。
それは、一瞬で田中3佐の顔を曇らせたと思えば涙を浮かべて踵を返すように逃げ出した。
地面にそれは落ちて、プルプルと震えている。
そこに落ちていたのは……く…クラゲ?
「こっちさ来るな!
あっちいけ…しっし!
わぁー、よっよるなぁぁ」
「田中3佐が怯えてる?」
「昔なぁ、源は海で泳いでいたときにクラゲに噛まれてさ、それから嫌っているんだよ玩具でもダメなんだ
さぁ怯えているうちに逃げるぞ、瑠香ちゃん」
pxから出て少し走った所にちょっとした休憩所のような場所についた。
全力疾走して逃げてきたから、息が上がってつらい。
生垣みたいに生えてる木が、周りの視線から遮断してくれてちょっとしたサボりにもここは最適なんだ。
「まぁ、ここに座るかなー」
なんて言いながら、日本兵さんは訓練で使われなくなった丸太に座り嬉しそうにおでんを食べ始めた。
さっきこの人朝ご飯食べてなかった?
「ふっふー!
たまごうまぁ…いかんいかん、自己紹介せねばな…
俺の名は、田中正明…元大日本帝国陸軍工兵大尉だ
陸自でいうところの…一等陸尉くらいか?
源一郎とは血の繋がった兄弟だ
今は、武甕槌兵の本尊みたいな感じでこの駐屯地をうろついているよ」
「えっ、あの…たけ…なんですって?」
「武甕槌兵…地獄とも言える大東亜戦争…その末期に帝国陸軍が決戦兵器として作り替えられたのが源一郎なんだよ」
「そんな…そう言えば富にぃも似た存在って言ってたような…まさか富にぃも」
「……富も同じなんだよ…あいつは建御名方兵と言ってなオレと同じ決戦兵器として作り替えられた存在よ」
なんて事聞いてしまったんだ…。
レンジャー課程中に見た田中3佐の格好。
一瞬だけ日本兵の軍服を着ているように見えたのは見間違いとか幻とかそんな事じゃなかった。
でも昔、兵器として作り替えられてもこんなに優しい人じゃんか!
待ってよ、作り替えられたってどう言う…。
「引っかかったか…作り替えられたという事に
それが、正しい反応だべ」
「元々は…なんだったのですか?」
「普通に生きとる人間…ましてや陸軍人だった
だが、俺は敵兵の砲火で死ぬはずだった
だが何かをきっかけにこんな化け物に作り替えられた
依代といえばいいのか、入れ物が来るまでしばらく待ってな
戦争の末期の頃、源一郎が事切れそうになった時…その体に俺を宿し、そして出来上がったのが…」
「決戦兵器としての田中3佐…ですか」
「感が鋭いなぁ…いやぁたいしたもんだ
残念なことに元に戻る術はない…本土決戦を軸に作られた兵器だ
そこで富や源一郎がくたばれば…まぁその前に馬鹿げた戦争は終わった…この国を焦土にし苦しめる結果を生んで」
教科書で習った文言が飛んでくるけど、正明さんや田中3佐は教科書で習うこと以上に悲惨なものをきっと多く見てきた。
平和な時代に生きている私とは違って、本当に生き地獄を味わってきた。
私が訓練中に翼者に襲われそうになった時、田中3佐が持っていた日本刀は長く使い込んできた友なんだろうな。
あんないつもふざけてる富にぃもきっとそうだ…。
暗い歴史を見てきてるから富にぃは田中3佐の事をあんなに慕ってるんだな。
「泣くな、もう過去のことなんだ
オメェが泣くことはないのに…と言ってもダメだな
お前以外にも中隊の皆が泣いてくれたんだ
即応に入る前になぁ…懐かしいな」
「えっ、私…あれいつの間に?」
「この中隊に入る者は皆、心の中から何から全て優しい者達の集まりだ
その優しい心の持ち主があの時代にもいた…だが力を持った何かに潰れていくのだ
その優しい心を持つものがもっと力を持っていれば…あんな事にはならなんだな…
どうか、潰れないでくれ…未来ありし我が子よ」
ふへへって笑う日本兵さん…じゃなくて田中大尉の優しい笑顔が素敵だ。
作られた経緯は非道だけど、こうやって話したりできるのはなんだかちょっと…よかった。
気持ちはすごく複雑だし、まだ信じられないって言うのもある。
でもこうやって直接話せるから信じられるな。
「さぁて、飯でも食うか!
泣かせてしまったお詫びだが、俺のとっときのスペシャル肉まんをやろう!
朝飯食い損ねたろ、上官命令だ…食べろ!」
「レンジャァァ!」
「いいねー!
そうだ、それでいいぞ!
レンジャァ!」
少し緩くなってしまった肉まんを一個もらっておもいっきりかぶりついた。
コンビニの肉まんなんて久しぶりに食べるけど、久しぶりだからめちゃうまい!
しみじゅわな肉汁、ちょっとだけふやけた生地、何より鼻腔をくすぐるお肉の匂い
「たまらんばい!」
「よきかな、よきかな」
隣で田中大尉はハンペンを頬張って食べるし…すごい自由人だなー。
それにしても、ご飯食べてる時の田中大尉だっけ?
幸せそうな顔してるなぁ…。
なかなか食料にありつけなかったから今はすごい幸せなのかもね。
田中3佐も、すごく美味しそうにご飯食べてるし。
……すっごく視線感じるのですが、目の前に田中3佐ご本人様がいるのですが?
「見つけたぞ…正明あんにゃ
さぁて一体あそこで何円ほど溶かしたのかな?」
「1,270万円でソォォォ!」
「おうおう、処刑案件とやらではないか?」
「すいません、私が…神前が払います!」
「「おめさ関係ねぇがら、肉まん食ってろ!」」
「はっ、はい!」
「瑠香の事を気にかけて見ていたんだろうが…
貴様、儂の財布を勝手に持っていくとわ」
「源ちゃん怖い、にぃちゃんやだぁ」
「沖田の影響受けたのか?
そんなことはどうでもいい…」
切磋琢磨の時間だな
お昼休み、即応強襲部隊長室
執務室に通されて、馬鹿をやった私に事情聴取と称して昆布茶とおかき出してくれた。
ソファに座りがてら、話しながらねーって田中3佐言ってるけど…。
「なんで中隊のみんないるの?」
「よきかな、よきかな」
「えぇぇぇ?」
沖田専任…じゃなくて沖田二曹なんでポテチ食べてるんですか?
顎シャレくれるのやめましょ?
佐藤・小野士長なんでプレ○テ4持ってきてるの?
飯島3曹…ネコ動画ですか、ネコ動画ですか…
室戸3曹…オリジナルカスタマイズスタバ風フラペチーノ作るのやめましょう?
ドヤ顔禁止ですって!
千春ねぇは…あつ○やってるし
向井一尉……なんでスーパーのチラシ見てるんですか!
みんなくつろぎすぎでしょ!?
ここは実家だったのか(違います)
だめだ、話元に戻さなきゃ!!
「本当にすいませんでした!」
「大丈夫…大丈夫
あれをやったのは、馬鹿な儂の兄だよ
気にすることはないのだ」
「それと田中3佐の事を…聞きました
暗い過去があった事も何もかも」
「…そうか
いずれ話さねばならぬ事を…兄貴が話してくれたか
兄貴が言ったことは本当の話だ
それで…儂の事を忌み嫌っても構わんよ」
「そんなふうに思っていません
むしろ…いえなんでもありません」
にこっと笑う田中3佐と日本兵さんの笑った顔がすごく似てるなー。
本当に兄弟なんだなって感じがしてとても羨ましいや。
日本兵さん…じゃなくてお兄さんの方は今、執務室前の廊下で両手にバケツに首には
『私は田中3佐の財布から金銭を徴収し、その上で肉まん・おでん・タバコ等の嗜好品を購入しました
テヘペロ』
って書いたボートを下げてるし…。
テヘペロって書いてるの田中3佐じゃなくて日本兵さんらしいし…。
笑って立ってたからいいのかな。
なんだか、二人とも幸せそうだし。
「そう言えば…白石さんも似た存在だって又聞きしたことがあるのですが…」
「あいつはな…建御名方兵って言うんだよ
2つともこの国の戦いの神様の名前を借りたらしい…
本尊というのか…そんな存在があいつにもいる
俺の場合と同じ、あいつの兄貴だ」
「むごたらしいですね…なんと言ったら」
「何がなんでも勝ちたかった…
そう言う事なのかもしれないとしか言いようがないが」
富にぃにも、お兄さんがいたのか。
だいぶ前に富にぃの古い写真を見せてもらったことがあったな。
ちっちゃい頃の富にぃより少し背の高い男の子が写っていたっけ。
あれがお兄さんだったのかも…。
兄弟か…夢の中で見た人も私の…お兄さんなのかな。
もし生きてるなら…もし会えるなら、会いたいな。
お父さんにも
瑠香は過去の記憶を夢を見るという形で思い出し始めました。
四つ股の鉄塔の理由は習志野にあります
そして日本兵さん出てきました
駐屯地ではよく聞く話です
まぁ正体は複雑なあれですけどねー
次回もよろしく!




