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5ー1 レンジャーバッチ授与

春です

私の住んでるところは桜が綺麗です


あの爆弾発言の後、私の好きだった大島1曹…。

違う…財前陸将は壇上で、訓練生にお祝いの言葉とかなんとか言って何かを話していた。

でもその記憶も全くない。

それにあの場所に居たくなかった。



「神前…顔色悪いけど…そういう事か」



駐屯地の体育館に設けられた家族との座談会スペース。

訓練が終わった三中隊員の家族が沢山そこに居た。

家族と言える人がいない私にとって物凄く…辛い。



「瑠香ちゃん…大丈夫?

顔色悪いよ…」


「大丈夫、大丈夫!

訓練終わって気が抜けただけだよー!」



なんておどけたけど本当の事はとてもじゃないけど言えない。

おばあちゃんにおめでとうって言われて嬉しかった。

えみりちゃんが訓練課程を終了して、自分のことのように嬉しくて泣いていたのも知ってる。

だけど…なんでこんなに苦しいんだよ!




「こんな時間か…着替えないと」



風呂に入って溜まっていた洗濯を10回ほど繰り返して洗う。

時計を見たら、もうすぐ昼の11時になろうとしていた。

11時半から、何か大切な儀式があるよ。

なんて村上3曹に言われていたんだ。

制服に着替えて、指定通りグラウンドに行くとすれ違う人たちにおめでとうと言われてなんか恥ずかしいな。



「お疲れ神前…お前、目の色そんなだったか?」


「目の色ですか…?」


グラウンドについた途端に飯島3曹に言われたって、目の色ってどう言うこと?

なんか、病気にかかった!?

訓練後に受けた健康診断じゃ正常って言われたのに!

どうしよう、練馬(ここ)にいれないの!?



「驚かせて悪い…怖がらないで聞いてほしい。

栄養失調による色素の低下によって、眼球の色素も低下してしまったために生まれた症状

これはレンジャーバッチを持ってる人間の証明」


「そんな!

色ってどんな色になんですか!

そもそも元に戻るんですか⁉︎」


「元には戻らない…

元々薄かった色素が、訓練で更に抜けてしまったんだ

だけど…綺麗な緑色になってるよ

緑っていうよりオリーブっぽいかな」




ショックというよりどう反応していいのかわからない。

栄養失調による色素の低下って。

応用訓練や総合訓練の時にご飯の量をわざと減らされたから。

そういえば、大島1曹…じゃなくて財前陸将の目の色も栄養失調で琥珀色の目になったのか…。




なるほど完全に理解した!(本当に理解している模様)






小さく設けられたお立ち台の横にニコニコ顔でこっちを見る向井一尉と目配せしながら私もニヨニヨと笑っていた。

田中3佐はと言うと向井一尉の、手元にあるお盆のような物をじっと見つめて何故か残念だって言いたい顔をしていた。

みんなのいるの方を見てみると




『田中3佐がかわいそう』



なんて、顔に大きく書いてある。

みんな迷彩服なのに私だけなんで制服なんだ?

まぁいっか




「これよりレンジャーバッチ授与式を執り行う!」



かしらーなか! なおれー!


「これより、神前瑠香二等陸士にレンジャーバッチを授与したいところなんだが…

今回、バッチをつけるのは儂ではないんだ」


壇上で残念そうにしていた田中3佐が、今度は眉間にしわを寄せて舌打ちをし始めた。

かと思ったらパンツ一丁で正座している富にぃこと白石富治(しらいしとみはる)を鞭で叩き…




なんで富にぃいるのぉぉ!!




「これは…これでいい!

源一郎様のストレス発散につながるのであればもっと強く!」


「黙れ富治、お前に儂の苛立ちは止めれるか!

今回、レンジャーバッチを付与するのは儂ではなく

この人だ!

第一師団団長、財前誠閣下…ではなくて陸将」


「…田中3佐すまないな」



一番会いたくないタイミングで、まさか財前陸将が来るのか…。

会いたくないってわけではないんだけど、どう接していいのかわからない。

あの時の、大島1曹みたいには接したらダメだ!



「神前…どう接していいのかわからないのだな

俺もだよ…俺もそうなんだ

だけどこれは俺からの謝罪であり、近くで見ていたって言う自負からなんだ

第一師団長、財前誠…神前瑠香二等陸士にレンジャーバッチを付与する」



財前陸将の手元にレンジャーバッチが渡された。

レンジャーバッチのダイヤモンドは堅い意志、王者を示す月桂冠の葉。

月桂冠の葉の数は42枚…死にに行くという語呂合わせもあるらしい。



「神前すまないが、制服の上着のボタンを外してくれないか…

流石に、ダメだ」


「神前よ、ここはcomplianceを守らねばならんのでな」


「レンジャ!(やたら発音いいな)」


なんて思いつつも、上着のボタンを外し、左胸の辺りを軽く引っ張った。

財前陸将、やっぱりいい匂いするんじゃあ。

そんな財前陸将の手が伸びてきて、バッチが軽く止め

てぐっと深く押し込んだ。





銀色に輝くバッチが重たい。





付けられてわかった。

レンジャーとして認められたと同時に、だからこそ重い責任がのしかかるそんな瞬間。

戦闘地域よりも先に行く重圧、いつ死亡するかわからない危険性。

だからこそ厳しい訓練をやってきた。

あっ、財前陸将の目元…うるんでる。




「よかった…神前、おめでとう

これからも無理せずに頑張ってくれ

応援しているよ」


「レンジャ!」



かしらーなか! 直れ!



ここがゴールじゃない、ここからがスタート。

これから、私はもっと先を歩くんだ。

立ち止まっているつもりはない!

強くなるんだ…今度こそ誰かを守る人になる!

だからどんな苦境でも抗ってもがいてやる!

レンジャー魂を見せてやんよ!



『おめでとう…瑠香』



「えっ! 

何か言いましたか、財前陸将?」


「いや…どうかしたか?」


「すいません…気のせいみたいです」



今一瞬、財前陸将の声で何か聞こえたような気がしたんだど…。

気のせいだと思えないな。

総合訓練の時に見た夢の中のお父さんって言ってた人と同じ声の感じだった。

いや、そんなはずない。

だってお父さんは…遠いところに行ったっておばあちゃんが言ってたんだ。






1時間後、師団長執務室



「まさか…本当に乗り切るとはな…」


『本当に瑠香が乗り越えないと思っていたの?』


「思っていた…心が折れる時に俺の事を伝えようと思っていたんだがこの様だ」


『バッチつけてあげる時に泣いてたっしょ?』


「だからさ…

そういえば、もう少しで真奈美の月命日だな

その時に真実を伝えるよ」


『瑠香の事、今度こそ迎えに行けるといいな

そうだろう、誠』


「そうだな、サタン…いや」



もう一人の(マコト)


春といえば桜餅!

桜といえば自衛隊のシンボルマーク!

なんで考えながら当小説関係のイラスト描いてます

プロットっていうかアイデア的なやつ


次回もよろしくお願いします

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