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4-4 最後の最後

お疲れ様です

最近、外出を控えているからかジャンクフード食いたい病発動してます



地域偵察とゲリラ襲撃を兼ねた訓練地点から今で20時間を切った。

歩いて大体、12キロくらいらしい。

夜間なんて関係なく歩き続けて足は棒切れみたいになってる。

前を歩く田中3佐が時々足を引きずっているくらいだ。

軽かった背嚢(リュック)の重さは重いのか、軽いのかそれもわからない。

頭の整理がつかない。





「あれ、お菓子が地面…幻覚…か」





なんて事も日常茶飯事だ。

山の中に入って最初の頃はどうともなかったけど、応能課程の2つ目の訓練の時から幻覚は見え始めた。

空腹を超えて体が何も受け継がない状態だ。

痛いなんて感覚がない。

少しの光でも、ものすごく眩しい。




「……! 音がする… 私たち以外足音が…」


「ほぅ、気がついたかい?

どうやら…先遣隊に追い付いてしまったようだな

神前、ここからはあまり声を出さぬようにな…」


「え… !」



聞こえてくる罵詈雑言の嵐。

理不尽とかそういう問題じゃない。

個人攻撃以上のことを、意味のない暴言ばかり聞こえて来る。



「ほぅ、三中隊もなかなかだな

面白いな…帰ったら丁寧に潰してあげよう」



小声で聞こえた大島1曹の潰す発言。

もうこれも慣れてしまった。

感覚がもうおかしいのは、わかっているはずなのに。

ん…?

透明な糸?


「3佐!」


「んぬぉ⁉︎

…いかんな、罠にかかるところだった…

よく見つけたな… さすがだよ

ということは…やはり三重(さんじゅう)にかけていたか」



ほんの一瞬、田中3佐の前がきらっと光って見えた。

こんな何もない地べたに人工物があるなんておかしい!

敵部隊の見え見えすぎるトラップだってすぐにわかった。

見え見えの罠に、ひっかかってたまるかっての!



「瑠香…よく見つけたわね

お母さん…訂正、向井一尉は嬉しいわ」


「いや、敵が張った罠とは限らん

神前、もう見つけてんねやろ」


「さぁて、俺のバズーカが唸る時が来た…

今まで舐めくりまわしていた甲斐があったよ

佐藤士長、うっちまーす!」


「バズーカ舐めんなよ…

病気になるぞ、ここからならアレは狙撃できるかな

小野さん的にはもう撃つたいんだけどなー」


「鎮静剤…鎮静剤打ちたい

マキビシ…まきびしまき散らしてやる

持ってきたんだ…マキビシ」


「健太…それマキビシちゃうモーニングスターや

ってどうやって持ってきたの?

通信アンテナにくっつけないでね」




なんでみんなこんなに強いんだ。

こんなに戦闘行為でこんなに心強い人たちがいる。

どんな時もこんなに、誰かに力強い人に支えられたことあったかな。

私の弱さや怖いと思っていたのは孤独だったんだ。



「戦う用意はできたな、神前

さぁて敵さんはどうやら近くまで来ているようだぞ」




手をぱっぱと開閉しそのまま手を前に倒した。

この訓練もここで終わるのか…もったいないけど…。

ここからが本当の正念場だ!




撃チテシ止マム、進ミ倒シテ行ケ




「…ふむ、荷物を持って各個に走って行ったのぅ

どうです、大島1曹…いや財前陸将」


「…なぜ、あの子は歩みを止めようとしない

なぜ逃げ出そうとしない」


「あの子は…もう一人前のレンジャーです

それにあぁさせたのは貴方ですよ?」


「俺ですか…まさか」


「大島1曹という仮面の貴方を見て、追いつきたいと思ったのでしょうなぁ

まぁ、まだまだ甘いところもありますが…

負けませんよ…貴方が仕組んだ最終工程の罠も」



「お前…何かしたのか?

あの子に何か吹き込んだのか⁉︎」


「アレは…神前自身の強い意志です

折れない刀のように強い意志そのもの

認めてあげてください、財前陸将」








敵の部隊が通るならどこだ?

この山道を円滑に通るなら、どこをとお…

この音…車の通る音。

近くに道路がおるのか…なだらかや上り斜面を考慮するとするなら…。



「通るならこの道…ゲリラ拠点の近くを通る道路

ここなら敵も通っていく…ですよね室戸3曹」


「気付かれていたかー!

すごいな今年の田中中隊は」


「変だと思ったんです

三中隊の訓練生という割には私達のところに来る

応援と言いながらずっと見張っている感じする

室戸3曹…本当は教官側の方ですよね」


「感のいい隊員は…いいね

あっ、今嫌いとか言うって思った?」


「まさか、田中中隊の隊員だと思わなかったです」


「それもバレたか、いやークワバラクワバラ」




心の中がスッカスカだよ室戸3曹。

と言うか顔に、俺は田中中隊の人ですってデカデカと書いてますよ。

まぁ、良いや…ワイヤーもあるし。

煙上げて強襲はもう相手に効かない。

マキビシなんて、もっと効かない。

でも良い方法を思いついた。

ちょっと、怖い思いさせるけどね…






目標まで10キロメートル、このまま全身せよ


警戒を厳とし、行動せよ


待て、前方に罠らしきものあり排除する


これより解体を行う


なんだこれ、ただ糸を張ってるだけじゃないか


なんだいらずらか?




「弱いところ見せたら終わりですよ

敵と言えどもその辺しっかりお願いします」


「言うようになったじゃないの?

車両も後方からきてるし、前は前で苦戦中

一気に片付けるわ

スモーク点火しちゃうわー!」



カチッ!




なんだ!


どこから煙が出ている?!


本部が言っていた外敵からの攻撃だ!


来るぞ!




「来たとしても遠くからの狙撃ならどうか?」




おいアラームなってんぞ!


どこから撃ってきた!


狙撃手か!?


狙われているぞ!



「弱いところ見せたら終わりですよ

バズーカ撃つのやーめた

手榴弾うってやろ」



今度は手榴弾かよ!


聞いてねーよ!


無茶苦茶やりすぎだぞ、今年も!



「アラームなってないのはあと一人か

仕留めておいで、瑠香…ってもういないか」




うっ!

…って田中さんところの若レンジャーか

後ろから刺してこないでよー





「はぁっ、はぁっ

やったのか…私、全員倒したのか…」


「よくやった神前…

どうやら敵も降参したみたいだしな

ははぁ、三中隊の連中もどうやら状況出し終わりみたいだしな」


「田中…3佐

私、私やりました!

戦い抜きました!

ウッウッうううううー!」


「泣くのはまだ早いぞ…

見てみなさい、夜明けだ

帰るぞ、練馬(いえ)に」


「3佐…ですが」


「沖田、わかっている

神前、これからお前に最後の試練を与える

これはワシらでも堪えるな」


「なんですか、それ?」



「我々の現実を見てもらう

そして、この世界に残るかどうか決めてもらう」


「え?

現実を見てもらうって」



「最後はただ帰るだけじゃない」




市街地を歩くぞ

現実を知る意味でな

次でレンジャー訓練編は最後ですがまだまだ瑠香は一難さってまた一難です

瑠香だけがびっくりする事実を知ります

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