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4-1 捕獲対象ってあの人だったの⁉︎

春めいてきました。

今年の春はなんだか寂しいです

「皆、準備はいいな?

残念だが状況が変わった

説明頼むぞ沖田」



「0420現在

本部から師団長を護衛していた自衛官1名が拉致された

拉致した集団もとい敵工作員はここより先の拠点に移動していると思われる。

よって拉致された同胞の保護と、敵工作員の拿捕を行う」


「残念だが、今回の訓練は弾薬の補充が行われにくい…

そこでここより約10キロ先にある補給品の回収を行う」



「レンジャ」



「補給品を確保する前に拿捕が先に行うかも知れぬ

ここから先はもっとキツくなるけど

笑顔で乗り切るべ!」



「レ…レンジャ」


「神前、笑うなよ

笑ったらもっと歩かせるからな?」



「レンジャ」





沖田専任と田中3佐の言葉の温度差が違いすぎて…




「…!」


「皆気がついかたな、まぁそういうことだ」



にこりと笑う3佐だけどハンドサインで注目と手を振り始めた。

人差し指を立てて腕を縦に動かす。





先遣隊、敵ト接近ス




その後に拳銃に見立てて手を何度か小刻みに振ったあと静かに手を下ろした。



敵ト抗戦スルモ敵ハ撤退ス



みんなの方を指でなぞる様にしてまた拳銃を現す様に手遊びをし始める。





皆敵ト接近シタナラバ必ズ




最後に中指を立てて歪んだ微笑みを浮かべ…つまりそういうことですね?



必ズ誠意ヲ持ツテ殲滅セヨ




この瞬間なんだかみんなの空気が一気に変わった。

今まで、動かなかったんじゃなくて動けなかったんだ。

私や先遣隊がいるからっていうのもある。

一番は先遣隊より派手に動けなかったんだろな。

とまぁ推理してみた。





「今回の想定で拉致された自衛官の情報だが…

バラしてしまうと、神前の推しメンおじさんだ」


「…レンジャ?………アイエア!」


「そう驚くのも無理はない…今回も先遣隊と儂等で拉致した敵を分散して叩くからな…

会えるかもな、推しメンとやらにな」




大島誠一等陸曹を助けに行こうぞ






五時間後 とある経路






(Α隊 敵車両隊発見、突撃する!)


(B隊 強襲するも対象発見できず)


(C隊 同じく発見できず)


(A隊 同じく発見できず)





「どことも発見できていないみたいです」


「んだぁ、うちの所が大当たりだべ

それに、補給品を確保する前に攻撃とは…

儂の予知が当たるとはのぅ」




先遣隊は強襲をかけても結局見つからなかった。

無線から聞こえてくる音に聞き耳を立てて、なんとなく状況が読める。

数台いる車両の中にあたりは一つだけ。

神前が止めて見せろよって言いたげに狙っている様にしか見えない。




「田中3佐、早く奇襲をかけたいです」


「ん? その心配なら大丈夫だ

お前が考えた奇襲の案はいいと思って採用した

だがまだ足りぬよ」


「レンジャ?」


「お前の案は繊細かつ緻密だった

だが大胆さが足りぬ

そうだなぁ、先手必勝且つ一撃必殺」




ふんっと鼻を鳴らした沖田専任が何かのスイッチをつけた途端モヤモヤと白煙が広がった。

敵さんも流石に驚いたんだろうな

慌てて身動き取れてないぜ?

あとはゆっくりとジープの中を探すだけだな





「動くな…撃つぞ」


「田中さんところの若レンジャーか!

わかったからやめてくれ

田中さんところのwacはおっかねぇよ

その前に助けてくれ!」




敵の動きを止めさせてジープの後ろを確認しないと。

久しぶりだなー、こんな形で会えると思わなかったわ。

早く、大島一曹助けないと…

あれー?

めちゃくちゃ車揺れてません?

田中3佐がしかめっ面になってますけど…

そういえば助けてってどういうこと





せっかく瑠香の初陣だったのにサイテー




この声は…村上3曹?

なに、初陣だったのにってどゆこと?

また何か聞こえるような…。





やっぱりあの人には鎮静剤打たなきゃな

クラッシャーだよ、サイテー





飯島3曹まで、サイテーって。

待てよ。

大島さんは、今サイテーなことをしてるのか。

まさか…不貞行為⁉︎




大島…半殺しで止めとけよな

あとで私の処理が大変なのよ、全く   




向井一尉、半殺して物騒すぎですよ

半殺しはダメですって

殺生よくない絶対に

あっ、ジープの揺れがおさまった…。






「生ぬるいな…

悪いが田中さん所が制圧する前に制圧させてもらった

久しぶりだな、神前」


「レンジャ」


「倒したから後は、そういうことだよね」




いや、あの倒したとかそういうことじゃなくて。

なんで…なんで…上着脱いでるんですか!

弾帯にサスペンダーつけて戦闘態勢に入っているのはわかる。

なんで、上着着てないんですか!

なんで上半身裸なんですか⁉︎

ヒルとか寄ってきますよ!




「いいか、神前

一流のレンジャーは上半身を見せ己の筋肉を他のレンジャーに見せつけるのだ

そして、より良い筋肉を育て…って聞いているのか?」





なんだろう、この感覚。

大島1曹の心がわからない

なにも聞こえない、真っ暗でどんよりとした闇。

そうまさしくそれ、闇だ闇しかない。

なのに、とても懐かしい感じ




暖かい




そう、暖かい。

懐かしくて暖かい。

昔この感覚に包まれていた気がする。

ダメだ涙が出てきそう。

話を逸らせば大丈夫かな⁈





「おおお大島1曹

そういえば胸のところの包帯は?」


「そんなに虚取らないでくれよ…

これの下はすごい手術痕が残ってるんだ

みてみる?」


「やめておきます」





なんでだ。

違うってはっきり言い切れる。

この人は何かを隠している。

思い出せない…思い出しそう…怖い。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!

助けて、助けて大島1曹!



「神前どうしたんだ?

ほら行くぞ、手を出せよ」




ずっと差し出された手。

子供の頃にも同じ光景を見たことが…

何かを思い出しそう…

そのまま私の視界が真っ暗になる。

最後に映った世界は優しい大島1曹が私を見ている光景。

琥珀色の目が私を見ている光景だけ。






「神前!

おいしっかりしさんしょ!

状況を報告しろ!」


「田中3佐…

今はダメだ、気を失っている

なにがあった?」


「貴様!!!

この女子になにをした!!!

たとえ俺の上官と言えども事によっては貴様を…」


「そう声を荒げないでくれ…

今は上下関係なしだ…

今の俺は師団長…陸将財前誠ではない

一等陸曹大島誠を演じているだけだ

それに周りにいる隊員に銃口を向けるなと言ってもらえるか?

彼女が目を覚ましたときに目の前が真っ赤だったら嫌だろう?」




おとう…さん



「瑠香、お前父親に助けを求めていたのか?

気を失っているのでは?

まさか、気づいたのか?」


「…すまない

ずっと悲しい思いをさせてしまった

瑠香、ごめんね

ここにいるよ」




お父さんはここにいるよ

瑠香、大島一曹いや財前誠陸将はとんでもないこと言ったよ?

目が覚めなかったからよかったのかな?


続きもよろしくお願いします

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