1-1 胎動
遅くなりました
日曜日にやろうとしていたことをドタバタでできていませんでした
時間配分大事
始動
「お……い。 起き…さ…か。 起きなさいカンザキさん!」
「っうわ! …… 寝てた…やっちゃった。」
もう数えて何度目だっけ
ちゃんと家で寝てるし、体もどことも異常はないのに
この夢を見ると前触れもなく急に睡魔に襲われる
担任の先生が心配して、脳外科に行ったけど検査結果は何もなし
でも脳みその先っちょが人より大きいってのは先生に言われたかな
毎回、夢を見るのはもういやだよ
「神前さん。 もう少し眠気に勝つ努力をなさい。高一の頃から勉強しないといい大学には行けませんからね!」
先生がこんなことを言うのは無理ない
私の通う聖高淳高校は、新しくできた高校の割に頭のいい人集めて目指せ東◯とか言う
聖って付くくらいだしキリスト系よ
の割には、学校の中にカーストが存在するっていうめんどくさいシステム
そこで、保育士コースに入ったはいいけど保育士コースなんて上面でほとんど進学コースと変わらない
進学コースって頭いい連中の塊なんだけど…
(本当に面倒だな…。)
先生の軽い説教がひと段落ついたところで窓の向こうの空を見た。
憎いくらいの青空が少し目を細めた
夢を見た後は、あの空を飛びたいって言う衝動に駆られる。
…そういえば、あのでっかいカラスみたいなのこっちに来てない?
カラスじゃない人?
違う
大きな羽をつけた人?
わけわかんないって!
近くまできてようやくわかった
背中に大きな羽がついていて猛禽類みたいないかつい足。
全身が真っ黒な首なしの化け物。
「マアアアアアリイイイイイアアアアア!!!!」
そいつは窓を、突き破っていきなり教室に乱入してきた。
みんな悲鳴を上げて教室から逃げてるのに、私は硬直して動けない。
すっ転んでしまって腰まで抜けてしまった
殺される
「怖いよぉ。助けて」
そんな声で我に帰った
足にガラス片が刺さって動けない同級生がいる
助けなきゃ
守らなきゃ
今やらなきゃ誰がやる!
「こっち来いや、化け物がぁぁぁぁ!」
ガツン!
適当に投げた椅子が化け物に当たった
やったと思った
でもこの化け物の目的はわたしだった。
ここで私の意識がプツンと切れた
「助けて、お母さん」
同時刻、練馬駐屯地
いつからこうなった?
いつからこの国の平穏は崩れた
儂は、こんな景色を見たくない
「次弾装填ヨシ!」
「対空弾一斉射!」
「撃て!!」
無線から流れる隊員たちの声が儂の耳には痛くて仕方がない
空に向かって撃たれる時雨弾がバラバラと閃光を上げてヤツらに向かって放たれた
だが何度、攻撃してもヤツはどこからともなくわんさかと湧いてくる。
「三佐! あいつら撃っても湧いてきますよ!」
「わかっとるわ! あの化物を早く追っ払うぞ!」
何がどうなっている?
どす黒い羽が生え、身体中に筋肉が盛り上がり足はさながら鷹のよう。
1番の驚きはヤツら、首がない
なのにぎゃあぎゃあと喚き散らしている。
あれは何だ?
儂は七十有余年も前に地獄をみた
物の怪として生まれ変わった儂でも、あれとは対峙したくない
「田中3佐! あそこ!」
「なんだ、健坊! …なんたることだ…」
部下の指差す先には、女子を運ぶヤツがいる。
大事そうに女子を抱え、高速で埼玉方面に逃げようとしているではないか!
『 続いて撃て! 』
「馬鹿者! 撃ちやがった」
女子を抱える化け物を含めた集団に命中したのか
爆風で女子が化け物から離れ空中に放り投げられた
「くそったれ! 間に合えよ!」
このままでは、尊い命が消える!
あの地獄のような光景を…
命が目の前で消える瞬間を…
未来を潰してなるものかぁ!!
特科の榴弾砲を走って潜り抜け、あらゆる制止も振り切り、最後の榴弾砲の砲身を足がかりに女子を抱きとめた
「がぁ!」
なんとか抱きとめたと思った
地面に着地してそこからどうだ…
全身を打ち付けた衝撃からか、至る所が痛い
「…鉄帽が壊れおった。…師団長に殺されるな」
空を見上げれば化物どもが憎らしそうに空を旋回しながら一目散にどこかに飛んでいった。
ざまあみろ
後で塩を投げつけてやるよ
「おとといきやぁがれ。この馬鹿者」
「とぉ………さん。 タス…………ケテ」
気を失っているとはいえ…。怖かったであろう。
微妙に薬の匂いもするな
しかしながら親に助けを乞うのは恐怖からくる自然な救いを求める声と言うものか…
どうかこの子を両親の元に届けねば
もう少しの辛抱だぞ
「これは、どういう状況か。 答えろ田中3佐…」
いかん、師団長がおいでなすった
正直に報告するしか
「なぜ…なしてこの子がここに?」
「え? 知り合いですか? 陸将、ザイゼン陸将」
儂に近づくなりして師団長。
いや、財前陸将は女子を取り上げ抱きしめた。
知り合いにしては関係が近すぎる
なんだこの感覚?
「これは運命か、それともあの人が俺に届けてくれたのか。
どちらにしても…遅くなった。怖い思いをさせてすまない」
許してくれ瑠香
いきなり話がぽんぽん飛ばしてます
ここから濃ゆくなるので許してください
登場人物の行動をゆっくりみていってくださると幸いです