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15-7 会いたかった

2話連続更新です







体が言うことを聞かない。

銃を持っているのか、そもそも私は本当に核の心臓を潰したのか?

体の全てが何もかも消えてしまったような気ですらいる。

任務は達成されたのか、それにお父さんは解放されたのかな?

駐屯地を襲って襲っていた翼者は全て消え去ったか?

何もわからないし、溶けて消えそうだ。

これが死ぬということなの?






『何を言っているのよ!

死んでなんかいないわよ!

状況を掴めていないだけよ』





この声は…お母さんか。

ずっと見守られていたと思ってたけど、声が聞こえてきたあたり私は…そういうことか。

もっとえみりちゃんや紗香氏と遊びたかったな。

萌ちゃんや葵たんと一緒にスイーツ巡りしたかった。

麦田先生と渡辺くんと一緒に歌いたかった。

そう言えば速水くんが、私が学校から出ていく時に何か言いたそうな顔をしていたけど…わからずに終わるな。

そんな事も悪くはないか。







『前にも言ったでしょ、顔を上げなきゃ

みんなが待ってるんだから

でも、久しぶりね

大きくなってかっこ可愛くなって…嬉しい』








顔を上げて、目を擦って何度も自分の頬を叩いた。

目の前に色白で背が160センチ行くか行かないかくらいの女性がいる。

髪型はミドルショートで外に向けて跳ねるようにしていて、ほんの少しだけタレ目。

私の記憶が正解なら目の前にいるこの女性は。

それにこの場所は私が一度死にかけた時に見た、多くの花が咲く草原の中。

目の前に見えている巨木は桜の木。

今私は臨死体験ていうのをしてるのかな?

だけど、その前に。







「会いたかったよ…お母さん!」


「お母さんも…あんまり時間はないけど会えてよかった」


「私、ずっとお母さんに会いたかった

寂しくてずっと辛かった

みんなには母親がいても私にはって…!」


「ごめんね、守ってあげられなかった

まさか坂口くんが私を殺すだなんて思わなかった

2人には辛い思いをさせてしまった

今はぎゅっとさせて…愛してる、瑠香」








一番抱きしめて欲しかったし、一番見ていて欲しかった。

もう2度と会えないとばかり思っていたから。

夢でもいい幻覚でもいい。

私頑張ったんだ…頑張ってここまできたよ!






「瑠香のことはずっと近くで見ていたよ

高校生になって少しお姉さんになったのも

レンジャーになってかっこよくなって、後輩を助けたことも仲間の人のことを守った事も

お父さんや修みたいに空挺に行ったことも

忍おじいちゃんにしばかれた時は、殴り込んでやろうかって思った…

でもどんな逆境も返していける瑠香は、かっこいいよ」



「お母さん」


「さぁ、みんなの所に帰らなきゃね

お母さんも一緒に行くから、帰りましょう」







でも私は帰るといっても帰る手立てがない。

FF用の主傘は翼者に傘の本体を裂かれて、切り離してしまった。

予備傘の方も、対象物のの口に入る時に斬り裂かれているのを見てしまった。

無謀な突撃を私はしたのを今思い出した。

私が最後に見た記憶は、核を銃剣突きの89式で突き刺したこと。

体が中を浮いている中で記憶がブツっと切れて今はここだし。

本当に帰る手立てが全くない!




「慌てないで瑠香、大丈夫だよ

ほら真上を見て…あーら、誠くんったら!

本気出しすぎて魔人みたいになってるじゃない!

…ダメだしん!!」



「えっ…おっ、お父さん!

それに私、お姫様抱っこされてる!」





『よくぞ全てに終止符を打ってくれたな瑠香

遅くなってしまった…許してくれ!

坂口と桐谷を高速するのに手間取ってなぁ

さてお父さんと、ナイトフライトを楽しむっしょや!』


「いやダァァァァァァ!!!」






お母さんに言われて上を見た瞬間、翼者化したお父さんが私をお姫様抱っこして空を飛んでいた。

お母さんが言っていた慌てないでの理由は、お父さんが翼者になって空を飛んできていたのね。

…空飛べるのかよぉぉおぉお!

おい、ふざけんなよぉ!

何をにこにこ笑ってんの、この特別指定有害過保護珍獣羆が!






『お母さんに会えたか?

修も俺も生死を迷った時に会ったことがあるんだ

無茶な事をしたんだ、会ってもおかしくはない』


「なんで知ってるの?

とか言ってみても私の父親だし

全部お見通し…って感じ?」


『お父さんのことを侮るなかれ

船橋港が見えてきた、あそこに行こうか」







いつ見ても、鋭い歯とか鉤爪とか後は顔の周りに細かい羽が生えたような感じになるのは慣れないなぁ。

目の色は私の好きな透き通った琥珀色の様な目。

でも目の模様が私みたいに、六芒星が薄く見える。

…羽の本体から帯が、桐谷とか坂口空挺団長を縛ってる。

なんとか殺すことなく連れて帰れそうだね。





攻撃の影響で一瞬あの世に行ってました。

自分は死んだのかと思ってしまった瑠香の前に現れたのは瑠香のお母さんである真奈美です。


5歳の頃に永遠の別れを経験し再び会えたのですから記憶が薄くしか残っていなくとも嬉しかったと思います。



でもって父親と再会、また生きて帰れるために真奈美が尽力したのだと思ってください



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