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15-3 光

寒い寒いと言ってこたつつけてません。





[ 午後3時半 練馬駐屯地 某所 ]



あの子は無事なんやろうか?

ずっと胸騒ぎが治らんし、修の怪我も気になるしな。

でもなんかここに来ないとあかん気がしたんや。

それにあの子がここを飛び立った時、胸の内が急に暗くなった気がした。

まるであの子は…いや、そんな事考えてる場合やない。






「財前師団長、あんたは自分の息子と娘を殺す気なんか?

なんておらん人間に向かって言ってもなんもないんや」


「沖田二曹、暴れかねないからと俺を呼んでよかったんですか?

俺ですら今、暴れそうなのに」


「室戸はそんな事する人間ちゃうやろ?

なぁムロ、なんか沖ちゃん達の心が暗くなった気がするのわかってくれるか?」


「せやな…って言ったらいいですか?」


「言うやんか」




室戸もわかってくれてたんやな。

瑠香が飛んで行った瞬間、みんなの顔が暗くなったのを。

瑠香や修が犠牲になりかねないってわけやない。

目の前を照らしてた何かが遠のく感じや。

まるであの子は、うちの嫁…頼子と同じ。

そう、あの子は光なんよ…練馬・習志野だけとちゃう。

あの子に関わってきたみんなの光や!



「沖田二曹、机に置いているコイツって」


「見越してあつらえたんや、あのおっさん

田中連隊長に渡しに行くで!

…なんやろうか、折れる…」






[ 同時刻 練馬駐屯地 グラウンド内掩体壕]




「やけに静かですね

敵が消えて行ってくれたのはありがたいですけど」


「それと同時にうちの連中も暗い顔してる…

あの子が習志野に行くってなった時も、一時期すごい暗かったじゃない?

それと同じなのよ、村上

天城…は疲れて寝そうになってるわね」


「…三好曹長に怒られる…けど眠い」


「戦車兵がそんなこと言ったらダメよ!」





確かにみんなの顔には疲れも見えるけど、何かを失ったかのように暗い顔をしてる。

怪我人はでているけど、殉職者が出たわけではないから安心はしてるのに。

…安心なんて今の現状ではない!

いつ襲いかかってくるかわからないの!

だから怖い、なんでかわからないけど怖いよ!




「向井3佐、私思うんですよ

瑠香さんはまるで光だって、不思議なくらいみんなを照らす光そのもの」



「雪菜…ごめんなさい、天城士長

…ふふ、こんな時にもお母さんが出てくるなんてね」


「お母さん…」


「確かにそうなんだよ天城

私も瑠香が光だってなんとなくわかる

消えて欲しくない存在だし、ずっと守られてるって感じがしてた」


「村上三曹もですか?」


「不思議とみんなを引っ張っていたんだねあの子

だからこそ瑠香の事、もっと近くで見てあげたかった」



「お話ししてるところ失礼します

お姉様方、南東方向を見てください!」






小野渉の声でふと我に返ってびっくりした。

瑠香が、飛んだと言われた空の方向に美しいくらいに青い光が一直線に走っている。

雷鳴のように見えるし、箒星のようにも見えた。

空を指さしてみんなが口々に瑠香だと騒ぎ立てる。

佐藤亘も驚いたかのように小野に抱きついてるし。

2人外揃って抱きつくなんてちょっと…瑠香にはよろしくないわね。



「まこちゃん、見てるか?

眞子ちゃんの、子供が大切な人を助けんがために命をかけているのを

真奈美さん見ていますか?

あなたの娘さんや息子さんの勇気を」




三好曹長の声がどこか切なく感じるけど、胸の何かモヤモヤするものはなんだ?

三好曹長に対してじゃない。

もしかしてもうすでにコトが起きてるんじゃないかって不安が込み上げてくる。

取り止めのない不安が胃から出てくるような。

佐藤亘…なんで震えているの?





「やめるだに…それ以上深追いすれば折れる

折れるだに…銃剣が折れるだに!」


瑠香は光です。

瑠香は攻撃をするときに雷を打ち込んでいましたが、それが箒星のように輝いて見えていたのでしょう。


でも皆が何かに気がつき折れると言っていましたが、さてどうなるやら。


次回もお願いします

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