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15-2 空挺降下

気がつけば師走になっていました。

知り合いのいる青森なんて雪降ったので、まずいですね





「自由傘を開くにはまだ高度が高すぎる!

だけど下には翼者の群れがこっち向いてきてんだよなぁ!」



あともう少しで傘を開けられる!

でももう空中を泳ぐにも時間が足りない。

教範で教わった高度じゃないけど、やるしかないんだ!

傘を開くんだ!



「集中しろ…集中…

1降下…2降下…3降下…4降下…開け!」




よし、うまくカラビナを引けたから傘が開いてくれた。

おまけに急上昇することもなく安定している!

絡みも破れもないから、桐谷のいるところまで近接できる!

目視上だけど降下ポイントまで0・5キロはあるか?

でも今は追い風だし、うまく利用すればもっと早く近接できる!

けどヘリが遠くなればなるほど、お兄ちゃんの心の声も離れてく。

ヘリの中で私1人だけで突っ込んで行ったことを悔いて暴れ叫んでヘリクルーさんが体を張って止めてくれているんだ。





「おいおい、やってくれんじゃねぇかよ」

   





まずい、真下から翼者の群れが来やがった!

今の状態で交戦なんてできないし、回避しようにも逃げ道がないぞ!

それに群れのしたから白い塊みたいなものがこっちに向かってきてる!

考え込んでいるうちに、翼者の核の間合まで入り込んでしまったんだ。





「やろうじゃねぇかよ、練馬レンジャーを習志野レンジャー魂を舐めんな…あっ!?」





なんか下から急上昇してくる奴がいたと思ったら…。

主傘を裂き切っていくなんて…あの野郎。

こっち見てゲラゲラ笑いやがって。

国民の税金を…血税を…無に返しやがったな!!




「ヤァロぉぶっ殺してやァァ…ぅがぁぎゃあ!」




なっ何があった?

視界が真っ暗で前が見えない、何かがぶつかってきた感覚はある!?

今も何かが私の体の周りにぶつかりながら固まってる感じがする。

さっき主傘を切った翼者がブラフならこっちが本命?

勢いが強くなっていく!

ゆっくり塊が核の方に吸い寄せられてる…桐谷勝がよく見えるようになってんな!





「ようやく来てくれたねぇマリア

初めましてってほどではないけど、僕は桐谷勝

君を待っていたよ?

最初の真奈美(マリア)は僕の誘いを断ってユダになった

財前誠(サタン)と交わってね

もう君らの親のことは野放しにしたんだ

僕のところに来てくれてもいいよね?」





許せるかよ、テメェの顔を拝めて良かったぜ。

もう私の怒りはK点を超えた。

ずっと空の子パワーを溜めておいて正解だったぜ。

沖田二曹を、練馬や習志野を私の高校だってそうだ。

麦田先生だって私のおじいちゃんとおばあちゃんをコケにしやがって。

お母さんを殺して、お父さんまで連れ去って…。

桐谷勝お前だけは許すつもりはねぇ。




「き……あ……おが…せ」


「なんだね瑠香(マリア)、よく聞こえないよ?

そうか僕と一緒に歩むことを許してくれるのか」


「貴様さだっきゃ朝日だば拝まさせねぇ!

習志野空挺パンチの時間だゴルァ!

発動ぉぉ普通科ぁぁ迫撃砲ぉぁ!」





私が何の策もなく突っ込んでくると思うなよ?

弾け切る勢いで翼者団子が吹っ飛んでくれた!

主傘が風圧で飛んで行ったことは心苦しいけど。

何だろうな、視界がいつもみたいに快晴のように青くて綺麗だ。

雷の力も黙っているだけで湧いてくるし、頭はスッキリしている。

翼者団子の中で着剣しておいたし、もうぶん殴る準備も万端。

反撃したいからって、翼者の大群を飛ばしてきて。

一体何人の人間を犠牲にしてきた?






「お前ら家族は一体いつになったら僕の邪魔をやめるんだぁ!!

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!」


「勝手にほざいておけやぁぁ!」













[午後3時半 練馬駐屯地 グラウンド]




「帰ってきた!」



防空対処の隊員が屋上から叫んだ。

ヘリの一部が損壊したと聞いたが護衛用のヘリ二機と本体のヘリが帰投してきたが、飯島が持ってきてくれた双眼鏡を覗いてみた。

確かに高速でものがぶつかったのだろう。

機体の一部が凹んでいるように見えるが、よくここまで戻って来れたものだ。

特に修の方が暴れたと聞いたが?




「ヘリが着陸するぞ!」



ヘリがグラウンドに着陸してエンジンが止まりきったところで先頭隊が降りてきたのは良かった。

…ヘリの中を覗いて見たのはいいが、想像はしていた通りだがな。




「瑠香…俺も一緒に飛べば、クソ…クソ!

あっ、田中連隊長」


「状況は聞いているべ修

ヘリクルーが制止したにも関わらず暴れるとは良くないな

気持ちはわからんではない

とりあえず、肩を貸すからヘリから降りろ」


「イヤです、もう一回…もう一回俺を上げてください!」





こいつ、自分の現状をわかっていないのか?

確かアドレナリンとやらが出ていると。

わかっていないのならば仕方があるまい。

許せよ我が孫息子よ。




「いだだだだだ、足がっだぁぃだだだ!

触らないでぁぁだだだ!!」


「翼者の羽が右足の太ももに刺さったまま飛んだとしても死ぬるだけだ

手当してやれ健太…訂正、飯島」


「ニ(オヤジ)、健太頑張るけん」


「ありがとない」






しかし、ヘリの中がこうも血だらけになるとはな。

ヘリパイロットやヘリクルーも大怪我を負ったとは言え、無事に生きて帰って来れたもの。

だがなぜ瑠香は無事なのだ?

ヘリクルーの無線では瑠香のみを連れ去っ…。

否、瑠香だからなのか。

あの子は空の子…光そのもの。

空挺降下しました。

と言うより無理やり外に投げ出されたのでせざるを得ない状況だったのです。

降りて行った先では敵陣地、味方隊員の支援もなく1人突き進むしかない絶望。

そして目の前に現れた母親を殺した仇がいます。



場所変わって練馬でもまた味方がボロボロになって帰ってきたので、戦闘の恐怖をジワジワと与えたのでしょう。



次回もお願いします

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