15-1 敵を視認!
最終章の始まりです。
全てを出し切ります。
[午後2時 ヘリコプター内]
『HQ HQ This is attacker 1
敵の移動速度が早すぎる
別途稼働機を上げてもらいたい!』
目標までもう目と鼻の先のはずなのに、私たちのヘリが向こうに追いつけない。
相手が高速で移動するって思うわけないだろ!
それにヘリの小窓から外を見たら…今まで地面が見えていたけど小さなプチプチみたいなものとか、ひっきりなしに白い線が動いて見える。
長時間に渡ってヘリに乗っているし、落下傘を背負っている以上あまり身動きがとれない。
けど外の雰囲気が変わったのは、理解できる。
「瑠香、気がついたか?
俺たちは不利になったんだよ…ここは東京湾だ
もうすぐそこに俺たちの地元の千葉が見えるぞ!」
「あれは…爆弾だったんだべ
東京湾にはたくさんの船舶がいるから、真上に落とされたりでもしたら」
だからと言ってアパッチで対処なんてできない!
目標物は多くの翼者に吊り上げられて飛んでいる。
手をこまねいて、中に溜め込んでいる物を射出されたら?
それにあれは人間の赤ちゃんみたいな状態から、だんだんと成人の人間みたいになってきている?
あれが完成するか、成熟しきったらどうなる!?
『翼者の親玉から分離体を視認!
翼者と思われる…数は不明、攻撃に移るぞ!』
前を警戒していたアパッチの無線から聞きたくない言葉が聞こえてきたぞ。
無茶苦茶にも程があるってのに!
…あの頭のところに人が乗っている?
まさか、あの人間って!?
『HQから…桐谷勝の宣戦布告を受信したと!
今からでも遅くない、我々の元に来るといい
瑠香は真奈美と違って真の救世主になってくれると信じている
おい、ボンズとお嬢ちゃん…
肩に乗ってるのがそうなんじゃねぇのか!』
ヘリパイさんたちが情報を流してくれるから嬉しい。
だけど、ついさっきの言葉は聞きたくなかった。
お母さんのことを殺して、ダメだったから私をマリアにするだって!?
あんたの母親が私に助けを求めて、わざわざ私の母校に来たってのに。
止めなきゃ…あれを止めなきゃ!
でも目の前にいる翼者の群れを…こうなったら私の雷を落とす以外他ないか!
『お嬢ちゃん達…すごいねぇ!
今さっきHQから連絡があった
空自のF-15がスクランブル…海自の護衛艦達がスクランブルして対空支援をしてくれるんだとよ!
真下を見てみろ…真横を見ていてみろ
来るぞぉ、3自衛隊の夢の共闘だ!』
「瑠香、ヘリパイさんの言う通りだ
目の前に戦闘機が飛んでるし…
真下を見たら船からなんか撃ってきてるし
これもうわっかんねぇな!」
「すごい翼者達が追い落とされてる
でも私たちに向かってくる数が…んがぁ!」
なっ、なんだいきなりヘリが揺れ始めた?!
それにヘリだけじゃなくて空気も揺れ動いているくらいの衝撃が!
こんな時にフザケンナよ、ヘリのドアが壊れてる!?
ミサイルがぶち当たったとかじゃないならもしかして!
『まずいことになった!
あいつらわざと直上に、誘導させやがったんだ
空挺降下をしてくるとわかって!
今から離脱するからしっかり捕ま』
私の目の前に真っ黒い何かがいる?
なんで私、空中に放り投げられてるんだ?
ヘリが私の頭の上にいるんだけど?
体の自由が効かないし…物凄い空気を切り裂く音が聞こえる。
高度計もつけてるし自由降下傘も武器も背負ってるけど降下ポイントでもないはずなのに。
ヘリのドアを壊されてそのまま、翼者に無理やり外に放り投げられた!
空気を切り裂く音の中にお兄ちゃんの叫び声も聞こえたんだ!
「こうなったら一か八かやってやる
怖いけど助けに行かなきゃ!
ぶん殴ってやるよ桐谷勝!
特定超過保護蝦夷羆を、師団長を返せ!」
敵を視認した。
もう逃すものか!
全てを取り戻すために瑠香達は飛び出しました。
敵は東京湾のど真ん中に移動に移動して、まさに爆弾になろうとしているのでしょう。
瑠香の乗るヘリやそのヘリを守る護衛ヘリにも色々と限界がありますがどうやら力強い味方が来てくれたみたいです。
だが残念、空に振り落とされたようです。
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