14-6 ありし日の日本兵(ツワモノ)
残暑って何?
美味しいの?
「午前3時 練馬駐屯地 グラウンド」
皆口々に儂のことを呼ぶ。
首を横に振るものもいれば、行かないでと泣くものもいる。
儂が出ることは無いという者も居るがそうは行かないのだよ。
可愛い子供や孫たちが泣かぬ未来を作りたかったのだが、今はそうも行かぬ故にここで踏ん張らねば。
「ジジイは南方の島で死ぬはずであったが、なんの因果か改造され生きてしまった
だが今は、陸軍人として最後として張り合う相手としてはふさわしきかな」
こうなると思わなかった。
まあ、事象が終われば固麺麩を食べながら梅昆布茶で一杯やるかな。
さて今宵は未来の子たちにじじいが平和とはなんぞと教えてやる時。
そして敵を地獄に落とす時である故、多少の無茶はお手のもの。
軍刀を研いでいて正解や正解。
「帝国陸軍人にして陸自普通科連隊長を務むるは儂の事
魔物にこれ以上練馬をふませるわけには行かぬ故、お引き取り願おうか?」
相手は翼者の成体にして、首付き…ものを考えさせる為に頭をくっつけたが人間みたいにはなれぬぞ?
ひ孫息子と見た映画に出てくる敵みたいだが…えっとなんだったかな?
使徒とかいう敵が出てくるやつ?
まぁ良かろう、今更考える頭を持ったとて叶わぬ事。
終わらぬ悪夢に終止符を打たせてもらおうか。
「田中源一郎…いざ参る!」
敵の距離…儂から見て100メートルはくだらんか?
4体とも突っ立っているだけでは、儂は殺せんぞ!?
青い炎がチリチリと…体から熱を帯び始めた。
炎を点火させるまで10秒は必要だが、最初の一歩で敵の懐に入り込めたのは幸い!
まずは一撃目の一太刀…受けてみよ!
「浄化炎連撃、ホムラ演舞!
…刃が通らぬだと?」
一直線にやってきたもんだから、横凪に切ったはいいが体が鉄以上に硬いとなると刃が通らぬか?
まだ、4分の1ほどの力しか入れなかったが。
間をすり抜けて背後に回ったはいいが…たしかに切った感触はしない。
が…もう発火点は入れさせてもらった。
ホムラ演舞は、切られてから発動するんだよ。
「ぐぎゃぁぁぁぁがぁぁ!!!」
「…演舞は地獄の舞だ
やけ苦しみながら踊っているがいい
我が同胞を苦しめた痛み…思い知れ」
なんだ、何かがおかしい?
前に試し切りで発動した時は勢いよく燃え広がったと言うのに、今回はあまり燃えないのだが?
こいつら、よもや炎を吸収していると言うのか?
それとも中にいる人間に炎を喰らわせて外殻の翼者には攻撃が当たっていないと?
ならば、久しぶりに相棒を使うとするかなぁ。
「いやぁ、実に何十年ぶりか
お前を使うと思えば…ノモンハン以来とはいえまあ
もう一度ジジイと一緒に守ろうではないか!」
帝国陸軍人にして陸上自衛官、田中源一郎の顕現であり…いきなり撃ってこようとするな孫たちめ!
儂に危機が迫ったからと言って、いきなり12.7ミリを撃ってくることはないであろう!
敵が分散していない左側に逃げ込んだはいいが。
敵の動きは鈍いが、体が頑丈すぎる故にやはり弾も弾くか!
「なら外殻を燃やしてみようか?
俺の方に来てくれて是幸い…なら
浄化炎…火鏡!」
若者たちが活路を見出したのだ。
それを奪う側だった俺が援護してやりたいんだべ。
負けるわけにはいかねぇ!
ありし日の日本兵
言ったら田中2佐が暴れる時です。
彼が言ったように奪い奪われる世界を見たからこそ、今の現代に生きる孫達に苦労かけまいと単身で乗り込んだのですが…。
孫達である自衛官達はどうやら、田中2佐守りたい!って気持ちで一杯ですね。
次回もお願いします




