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14-5 襲撃

夜が涼しくなってきて嬉しい限り。

アイスが溶けずにすみそうです




[ 午前2時 渋谷区 ???]



「戦闘からもう1日経ったで

ようやく東京都内にあるブヨブヨみたいなものの50パーセントと、空から飛来した翼者の正体みたいなもん?

今のところ対処できて、市民には被害なしや」



「コトがサクサク行き過ぎていて逆に怖いですね」


「人的被害がないの事はええけど確かに怖いわな」





沖田二曹や室戸三曹が口々に、この掃討作戦の不安を言いあってる。

デジタル時計の針は確かに夜の2時を表示している。

体感的には3日は経ったと思ったけどそんなに時間が過ぎていないんだ。

未だにお父さんの居場所はわかっていない。

それでも陸自の関東一帯に配備されている作戦部隊が、敵勢力を潰しているのは変わりないや。




「それにしても、沖田二曹はすごいや」



私が管轄していた板橋区の敵も、増殖スピードの速さに加えてブヨブヨ…保護膜(ほごまく)みたいなものの変な感情さで作戦がうまく進まなかった。

で、イラついた私が能力を発動させてピンときたんだってね。




『それや、瑠香の機甲科榴弾射撃!

雷の衝撃と5.56ミリの貫通力

陸自隊員で応用するなら爆破や!

小規模の爆破でええんよ…こいつは揺らしたら保護できへん!』




よくわからなかったけど、保護膜はある程度以上に衝撃を与えると崩れる。

だったら地面から導火線を通して火薬を点火。

その後に畳み掛けるように銃火器を浴びせる。

出てきそうになった翼者のちっこい奴らは、酷いけど火炎放射器で…という古典的なやり方。

成体の翼者には、自走式対空砲を浴びせる。

酷いです…とても酷いですけど、こっちにも守らなきゃいけない人がいる。





「…落ち着いたけぇ、ゆっくりしときんさい

じゃけどワシも、胸の内がムズムズするんよ」


「飯島三曹…呉の言葉が何言ってるかわからないです」


「練馬は無事ですかね?

連絡さつかねぇって、皆が言ってますから」




でもなんだろう、ザワザワする胸騒ぎみたいな感覚。

何か嫌なものが近づいてくる感じがして気持ちが悪い。

敵の数は減っていっているはずなのに、この道にも腑に落ちない感じ。

何か重要かコトがスコンって、抜け落ちていているような。

そういえば、今ってツイッターランド使えるのかな?

自衛隊の使う通信周波数とツイッターはあんまり関係なさそうだけど?



「佐藤にぃちゃん、今ってツイッターランド開園してる?」


「瑠香ぁ、何言ってるだ!

ツイッターランドは常時開園だろうが!?

見せてやるって、見てろよ見てよろ…え?」



「戦闘中に何を、携帯いじってんねん!

佐藤・財前はこっちに来い!

佐藤は何を固まってるねん!」





ワナワナと震える佐藤にぃちゃん。

彼の口からはぽそりと通信障害と聞こえてきた。

昨日の段階で携帯を触っていても何も起きなかったけど、みんなが不審に思って携帯を触り始めた。

どの携帯会社でも、みな圏外になっている。

ブルブルと震えながら千春ねぇ。

じゃなくて、村上三曹が本部(あたま)と通信途絶が取れないでいるなんて言い出した。

まさか基地局にも、翼者の妨害工作が働いたっていうの?





「あかん…練馬に戻らなあかん…頭がやられる

掃討部隊(おれたち)練馬(あたま)を分断すれば、隙をついて壊滅できてまうねん!

ぼさっとしてる場合やない!

みんな戻る準備をして、沖ちゃんは向井3佐を呼んでくる!」





時計は午前3時を指していた。

私たちは気づくのが遅過ぎたんだと、今更ながら後悔している。

いや、後悔なんてしても無駄だってなぜわからなかったんだ?

部隊が出払っていれば、その分の警備は手薄になるはずだってことを。

ここから練馬までは時間が掛かるし交通網も嫌な意味で死んでいる!

高機動車の速力も考えると色々と怖いんだよ。

田中2佐が…天野副団長が危ない!









[ 午前3時 練馬駐屯地 ]



「オペレーションが始まってもう1日は経ちました

しかし財前団長の行方がまだわからない以上、我々の戦力は…

田中2佐、どうして急に瞑想を?」




何かが引っかかっている。

儂の心の中で何か糸口のようなものが霞に消えて行くこの感覚。

警備の方は手薄にはなるが、決して脆弱なわけではない。

だが何かが抜けているようだ。

思い出せ…全ての戦事の経験を得て。

大陸…南方…北方と数多の戦地へ行った過去を思い出せ。




「ウイルス…下水管…増殖…保護膜…寄生虫…

天野副団長、我々は敵を甘くみていました

あれは雨水菅だからできたことです

そして、奴らの居場所の近い地点もなんとなく割り出せました

外れていればそれでよしですが」




「場所…となればどこになるのですか?!

まさか、下水処理場にでも設置したのですか?!」




「いいえ、下水処理場ではなくその際にある海です

汚水菅ではなく雨水菅に忍ばせる理由があったんです」




汚水菅は常時、満水です。

理由は言わずもがな、生活排水を流すためにありマンホールも臭いや硫化水素の兼ね合いで密閉状態。

つまり入り込める隙はあまり無いと考えてください。

しかしながら、雨水菅は雨が降れば満水になりますが晴れている時はほとんど水は流れてなどいません。

そこが前提条件です。

次になぜ海に放っているのかという事です。

上流である川から流せばいいと私は最初考えました。

川の水を濾過して人間は飲み水に変えます。

そこに芽を埋め込めばたちまち人間は翼者になれる。

ですがそうしない理由は、桐谷の職業が医者であるからです。

医療は清潔な水を必要とする。

故に浄水場に芽を放ってしまえば、水は使えなくなる。




「田中2佐…私も何が言いたいかわかりました

雨水菅なら適度な湿気と直射日光を避けれる状況

汚水と違って保護膜ごと流されることはあまり少なく

例え流されても海まで戻されても遡上するコトができれば…」


「話は後ですよ、あれが来ました

して…じじいは行かねばなりませぬ

練馬にこれ以上、土足で上がるようなことなど許せませぬ」

瑠香たちは携帯電話の圏外になぜか気がつき、連絡ができないことを気がつきました。

普段の生活でもネットワークが使えないと不安ですよね。

それは陸自でも同じことです。



ところ変わって練馬は通信途絶に気がついていません。

そして田中の導いた敵の作意の一部に触れて危機を察知したようです。

次回もお願いします

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