14-4 知らせ
季節はめぐるよ、秋の匂いを感じるよ。
なんで大雨降るかな…。
[午前8時 目黒区 ???]
「落ち着いたみたいだな修
どことも、一区切りはついたらしい
今は少し休憩だ…タバコ吸ってこい」
「ありがとうございます中隊長
でも俺は、親父と違ってタバコ吸いませんよ」
「確かに修は吸わないものな
その方がいいぞ、金はかかるし体に悪いからな
まぁ、ゆっくりしてこい」
「ありがとうございます」
ここの地点の翼者は倒せれた…けど、いつ湧いて出てくるかわからない。
スカイツリーを中心として半径8キロ圏内は安全と判断できるらしい。
でも特科兵力が使えない以上、俺たちも小銃と重機関銃以外は使えない。
正直なところ言うと…疲れた。
「そういえばこの綿毛みたいなやつ…
空中を舞ってるけど、綿毛って感じがしないな?」
何の気なしに呟いてみたけど、何かが起こるわけでもない…!
いや、なんか頬に当たった瞬間、ベチョって言いやがった!
気味が悪いなんてもんじゃないし、拭って取ったら粘膜みたいな感じの白いブヨブヨ?
まさか、この空間を舞ってる白いブヨブヨは。
「まさか…こんなことがあっていいのか?」
「修ちゃん…おい、財前三曹どうしたんだよ!
それにその青い綺麗な目、お前も瑠香みたいに空の子パワー発動してんのか!」
「嫌な感じがするんです!
今ここで行かないと取り返しがつかなくなります!」
「何を言ってやがんだ!
…おいおい、まさかじゃねぇけどこれって」
道路の端にある雨水を落とす側溝に、考えたくもなかった白いブヨブヨの塊が今にも弾け飛ぶんじゃないかってくらいに膨らんでいた。
さっき見かけた綿毛みたいに小さな粘膜もこの中に吸収されて行っている。
陽の光が当たるところを嫌がり、汚水の下水管みたいに常に満水ではないがブヨブヨを守れる程度の湿気ている場所。
雨水溝とその元になる下水のパイプ。
「ここから繁殖していたんだ
知らせなきゃ、みんなに知らせないと死人が出る!」
[ 午前8時半 練馬駐屯地 ]
『雨水溝で増殖していたのか
雨が降らねばただの下水道だから、そこに目をつけていたのか!』
掃討作戦が開始されて、もう7時間は経ってようやくわかった。
湿度のあって、陽の光があまり当たらず雨が降らなければただの排水管。
コウモリの様な習性にウイルスのような増殖力の高さ。
光の楽園は全てを計算し尽くしてあれを放ったのか。
1連隊長の吐露が無線越しに聞こえてきた。
「現在、排水管内のガス検知を実施後に火炎放射器を用いて焼却していますが粘膜を破壊しても中の小型の翼者に攻撃が当たっていません!」
『小型翼者には銃火器が有効でるが、粘膜には届かず
反対に粘膜には火炎放射器が有効であっても、小型翼者には届かぬ
複合的に考えるに、今使える武器は…榴弾系統』
割り切れないし煮えきれないんだろ?
そんな高火力兵器を使えば間違いなく、死傷者が出るし仮に全てが終わったとしても批判は相次ぐ。
もう無理だ…増殖を抑えきれないし、陸自が根を上げる結果になりかねない。
こんな時親父ならなんて言っていた?
俺は…どうしたらいい?
瑠香に出動前にハッパ掛けたのに、乗り越えようって言って分かれたのに…。
また家族を失うかもしれないのに!
クソ…何が兄貴だ、妹のことを守れず勝手に絶望に打ちひしがれてんだ!
「大丈夫…絶対に乗り越えられる!」
「え?」
俺の目の前を掠める様に…青い雷が一陣の風と共に駆け抜けていった。
途端に響く雷鳴と轟音だけど、89式から撃たれた弾を使ってるはず。
なのに弾速が速く感じたんだが。
それに敵も対処できてなかったんだろうな。
下水溝から迫り上がる様に出てきていたブヨブヨと繁殖していた翼者の小さいやつが一緒に消え散って行く。
動きも沈静化したし、生臭い臭いが一気に消えていった。
「いやー、私の担当していた板橋もおんなじ事になっていてさ
応援に来たよ、遅くなってごめん
後、心の声の中身聞いてごめんお兄ちゃん」
「「「「「「「「「破壊神と日本軍!!」」」」」」
田中1連隊長が俺たちに送り込んでくれたのか?
瑠香が雷を打ち込んで追い討ちをかける様に火炎放射器を。
早いってもんじゃないのはわかっているけど。
空の子…もしかして瑠香なら何かやってくれるのかもな。
そういえば、練馬駐屯地から連絡が途絶えたけど何かあったのか?
悪い知らせって聞くのは嫌ですよね。
敵の素性がすこしわかってきたと言うのに、倒すのが困難。
高火力で且つ強い衝撃を与えられるのは小さな範囲であれば小銃や重機関銃となりますが、広範囲だと榴弾が有効。
相当切羽詰まったとおもいますが、救援来てよかったね。
でも、これで終わると思うべからずです。
時間も、お願いします




