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14-2 兆候

最近暑いので夕方に走ることを覚えました。





[??? 某所]



『皆さん、審判の時が来ました!

神が私に啓示したのです

もうすぐ悪魔たちが飛来し、私たち人間を駆逐する日が来ると!

しかし私たちの元にマリアが現れ導き救い出してくださると!』





壁を伝って逃げ出せれてよかった。

嬉しい事に、坂口空挺団長というかアホがいない。

地下牢みたいな場所に収容されて、看守の目をくぐって大広間みたいな所まで来たが何の集会かと思えばあいつ。

だがここであいつらのやる事なす事を見れば、何か危機を脱することができよう。

早く我が子たちの元へ、第一師団の元へ帰んねばね。

だがまだ探さなくてはならん。

光の楽園を潰す、確たる証拠なるものを。

その前に息を殺して様子を見るべきか…?





「…そういえば、あの司祭の後ろにある壁の白いものはなんだ?」


『気がついたかい?

あれは俺にもわからないよ…白くてプルプルしてるけど

何か黒いものが見えるような?』





翼者のオレがオレの目を通して色々と意見を言ってくれたことはありがたい。

が、オレがわからない事があるとするなら探究しなくてはならん。

今一瞬だが、ブルって震えなかったか?

それに何かを覆っている膜のようにも見えるが?





『ねぇ俺、だいぶとまずい事だけどわかったかもしれない』


「アレの正体はなんだと言う?」


『アレは…翼者の芽だよ

小さな首無しコウモリみたいな生き物

でも胴体は…』


「人間のようなものという事か

待てよ、アレが関東一帯に放たれたら?

人間を保守者(キャリア)として成長するものであれば」





まずい事になった、まるでウィルスみたいだ。

あれは、翼者の卵とそれを守るための粘膜。

何かの容器に運ばれてばら撒かれたらどうなる?

それにずっとこのよくわからん施設一体に、翼者とは違う何か嫌な物を感じる。

真奈美を…愛する妻の命を奪った桐谷勝は何を考えている!?

その前に俺の手でよくわからない目の前の何かを潰さねば。

すまない、修・瑠香…いや練馬の精鋭達よ。

もう少しばかり待っていくれ!

こいつを駆逐せねば!






[午前9時 練馬駐屯地 即応強襲部隊執務室]



儂が練馬駐屯地に来て…否、軍人として生きていてこうなるとは思いもよらなんだ。

数多の命を奪った儂でさえ、平和な事態を過ごしてきた我が子たちに戦時を見せることになるとは思わなかった。

違うなぁ、見せたくなどなかったが正解だ。




「じいちゃん、どうかしたんですか?」


「佐藤のわった…

ジジイの不安が移ってしまったか?

気にすることではないのだよ

ただなんとも言えんのでな」





瑠香は現状と自分の心を乖離させたいのだろう。

お菓子の空き箱を使って、休み時間に空き箱ドラムを叩いているではないか。

ドラム演奏で使うスティックは相当年季が入っているが菓子箱ドラムセットはつい最近に作られた代物。

学友と離れて争う姿勢は見せるものの、何か一つ心を穏やかにするものが欲するのは致し方あるまいがなぁ。




「ところで小坊主、貴様は何用でここに来たのかな?

儂の首をかきに来たのだろうが甘いなぁ」



「ぎぎぃいき!」



陸自の迷彩を纏った人間がほんの一瞬で儂の目の前まで飛んできたかと思えば、儂の首めがけてナイフを突き立ててきたようだが甘すぎる。

儂が育てた孫達がほんの一瞬で制圧してしもうた。

だがなんだろうなぁ、この違和感というべきものは?

操られているといえばいいのか?

この小坊主の顔、3中隊の陸士のものか!?

警門当直は、3中隊の管轄であるならば何故ここにいる?



「田中二佐、こいつなんか様子がおかしいです?」


「うむ、だが原因がわからぬときた

…瑠香は何をしているんだべ?」


「小野士長・佐藤士長退いてください

もしかして、この人」




儂しかり皆で疑問を浮かべているのに対し、さっきまで空き箱ドラムを叩いていた瑠香が体のあちこち。

いや、迷彩服を捲り上げたり靴を脱がしたりして体を探っている。

あったと聞こえた瞬間、瑠香の右手から青い雷に加えて手刀が背中に向け放たれたが何をした?




「…瑠香、とんでもないもんを見つけたなワレ?

こいつじゃ、暴れてた陸士の体を苦しめておったんが

ウイルスと一緒じゃ

体を守る外殻と中の遺伝子情報

宿主をみつけてそいつの中で育つウイルスじゃ!」


「そんな説明がつくなら飯島よ…

おいおい、もしかしてこいつは…」



即応の皆が顔をしかめたのに、儂は否定も何もしない。

白くブヨブヨとした粘膜の袋の中に黒いコウモリのようなものが暴れ回っている。

コウモリの姿をしたそれは首がなく胴体は人間のような化け物だ。



「すいません、田中2佐

又吉が急に暴れて、立直中に抜け出したん…又吉!」


「やはり三中隊の門番か!

してやられた、奴らはすで駒を動かしていたのだ!」



あまりの気持ち悪さに瑠香が踏み潰したが、白い粘膜の袋の中の黒い生き物から血が出てき始めピクリとも動かなくなった。

こいつを放つことが狙いだったと気が付かなんだ。

他にもこれが放たれていたら?

敵は侵攻の手を進めているようです。

しかもどのように入り込んできたのかわからない状態でやって来るのですからウイルスと呼ばれてもおかしくないですね。


次回もお願いします!

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