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13-3 疑念

5月は暖かいはずなのに寒うございます




[ 午前10時 練馬駐屯地 大会議室]



「今回の事件でお前は派手にやりすぎた

しばらくは空の子パワーを封印しろ

だが、お前のその力があったから助けられたのだ

後は熱くなりすぎだ、猛省しろ

以上」


「寛大な処分…ありがとうございます師団長」


「もう下がれ、頭を冷やしてこい」





やりすぎたとわかっている。

本当なら陸自に、いることができない事をした。

でも、時任さんが刺されてもおかしくない状況ではあったのは変わりなかった。

ただやり方が間違っていたし、他にもあったのにも関わらず渾身の習志野パンチをお見舞いしてしまったのが良くなかった。








「処分は下ったか…確かにお前さんはやりすぎだ

だが、判断は間違ってはおらんよ

あそこで止めなければ二次被害は起きていたんだ」



「田中2佐…大変申し訳ありませんでした

私の軽率な行動で、部隊に影響を」


「こら、頭を下げないの!

瑠香は同級生を助けたのよ!

お母さんはそこを褒めたいのよ!

…やぁだ、また向井一尉はおかぁさんってもぅ!」


「せやで瑠香は同級生を助けたんやからな

習志野パンチはもうやらんことや

でもよく判断したな…頑張ったと沖ちゃん二曹は思う」


「むしろ、現着が遅れた俺のせいでもある

三好と天城の管轄はあのセントラルホール付近だったからな

警察もあの近くにいて対応できなかったんだ」



「「「そうだ、瑠香は頑張ったんだぞ!」」」



「室戸…佐藤…小野、ちょぺっと静かにしさんしょ」









そう言ってもらえるけど胸は苦しいんです。

威力が強いってわかっていたのもう一発習志野パンチをお見舞いしようとした。

こんなに迷惑をかけたのに、みんな優しすぎる。

私は…なんで…もう嫌だよ。





「ごめんね、もう少し私たちが早く行ければ」


「私が悪いんです…村上三曹」


「パンチを繰り出す時…結構な速力が出てるけど無理矢理足でブレーキをかけた…

戦車に乗った時の殺人ブレーキを思い出したよ

戦車のことを教えた天城(ワタシ)も悪かった」


「いえ…そんなことは」


「瑠香が元気ないと、わしらも悲しいけぇ

でも今は…落ち着いたら後で自販機前に集合すればええけんね」


「さて皆の衆…自販機前に行こう

即応の暗い空気を払拭すべく…ジュージャンの時間だ!」





みんながジュージャンに向かうのを見送って、女性隊舎に戻り制服から作業服に着替えた。

今はみんなの顔を見たくない。

優しくから、とてつもなく心が痛くてたまらない。

この後は警衛所にいって門番を上番しないといけない。

鉄帽と弾帯やら装具をつけて、正門に歩いて行く。

行きゆく自衛官達から白い目で見られている気がして辛いんだ。





[練馬駐屯地 正門前 警衛所]





「瑠香…大丈夫か?」




そういうお兄ちゃんも泣きそうな顔をしているし、同じ上番している陸曹はうんうんと頷いてポケットからミルキーをなまら出してきた。

中にはなんで泣いているかわからない人もいるし。






「お兄ちゃん…うん、大丈夫だよ」


「練馬と習志野のみんなが瑠香の行動に対して頑張った・よくやったと言ってる

あまり気を落とすなよ

なぁ、あの正門前に立ってるのって」


「時任…小春さん」



門の前には時任さんとそのご家族さんらしい人たちが立っている。

母親の手には紙袋があると言うことは、まさか師団長(おとうさん)に用事が…。




「助けてくれてありがとう

それと私も色々と誤解してた、ごめん」


「え…」


「私もコーラス部にいたんだけど、まさか顧問の村井先生に殺されそうになると思わなかったし

先生の視線が前からずっと怖かったから

それにあんな事が起きると思わなかった」


「確かに…そうだよね」


「後、王子のこと…

ただ私が勝手にヤキモチ妬いて羨ましくて

…本当にごめん、そしてありがとう瑠香

ちょっと、どうして泣いてるよ!?

自衛官が泣いたらダメじゃんか!」



「昼に食べたすた丼が、我慢したゲップの匂いに戻って目に染みて痛い…」





昼ごはんに食べたすた丼のせいじゃない。

本当はずっとみんなに嫌われたのじゃないかと。

あんな化け物みたいな力を出して殴って、もし誰かを怪我させてしまったのだと思ったら怖くて仕方がなかった。

あの時の自分は、いつもの自分じゃなくて別の何かになっていたと思ってしまった。

そのことがずっと気がかりで怖くてたまらなかった。

特に時任さんにはそんな強い感情が湧いていたんだ。






[同時刻 第一普通科連隊長室 ]



『源一郎様…いきなり電話をしてすいません

今回の事件の結果のみを報告します

ユリアの首をかいたのは村井でまちがいありません

瑠香から逃げようとしたのではなく…」



「師団長にか…確かに逃げ出したくなるだろうな」



『彼女の目的は永遠の美と言う自己満足

ただ司祭にその目的を叶えるために瑠香を連れて来させようとしたのです

それともう一つ、財前のことです

挺進兵が…空挺の神が僕にある事を言っていました

そしてそれは起きたのですよ』



「習志野パンチに裏があるのだな

いくら齢17の女学生があんなに力を出すとは思えぬ

男でも吹っ飛ばすとなるときつい面があるが…翼者が持つ力ならあるいは」



『今回のことではっきりと分かりました

財前は異常です

僕の疑念は正解みたいです

だからk」






「誰と電話を…田中2佐?

気がついてしまいましたか、習志野パンチのこと」




あんべが悪いな。

よもや背を取られるとはなぁ。

これも歳をとったが故なのだが、じじいとて守らねばならぬ事もあるのだ。

ありがたいことにピヨ助がいない。

多少暴れても差し支えはないとみたが、どうにもできぬ。

羽という拘束具が体にまとわりついて動けぬ。





「娘を甘やかす事をやめた方がよろしいですな

それと…貴様は何者だ?

復讐心とは言え、何故そこまで力に固執する?

答えぬなら師団長いや、陸将とて手加減せぬぞ

(おれ)の孫娘を傷つけようなら…よもや

あい…いっぱい食わされたか」


「本当にすいません、力を貰いますね

どうしても必要なのですよ田中2佐

許してください武甕雷兵(タケミカヅチヘイ)さん」

疑念が色々と湧いてしまいた。

習志野パンチの理由を白石は勘づいたようですが、田中に教えた途端やられました。


次回は緩くしたいです


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