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13-0 救援の声

ログインしようとしたら不正アクセス扱いされて草





「…今の感じ…」



みんながざわつき始めた。

音楽も動画も止まったのに用意された椅子に私は座らず、ぼーっと突っ立って当たりを見渡しているから。

左隣に座っている時任小春さんがびっくりして私の方を見ているし。

でも何だかものすごく嫌な予感がする。

頭の中で響いた救援の声が心臓をギュッと握って痛くてたまらない!

間違いない…この感じは。



「来る……

いやもう入られた!」



全身の毛がブワッと立って気持ちが悪い。

嫌な汗みたいなのが背中を伝って、制服のシャツと肌がくっつくくらいに張り付いている!

壇上から飛び降りて、気がつけば私は走っていた。

レンジャー課程中に感じた嫌悪感と、普通降下課程で覚えた不快感の両方が今の私の心にある!




「師団長、中隊長…赤警報だ!

間違いなく…赤警報です!」



騒ついた空気を跳ね除けるように叫んで、ミスコンのことなんでどうでも良くなった!

後ろから二人の気配が殺気に変わったし、富にぃも眉間に皺寄せで行ってこいと言ってくれた。

田中2佐が電話で学校内にいる、即応の人たちを呼び出してるし、雷使って探知してみたら警察の人もいる。

守らなきゃ、声の主を助けなきゃ!




(ホール内 観客席)


「…せっかくの学園生活を奪い、挙句には陸自に入ってもその本来の生活を取り戻させる事も叶わせず

己の野望を叶えるための供物を奪うために邪魔なものを排除するか」


「あの白石さん…ですよね?

赤警報ってなんなのですか?」



白石に話しかけてきた恰幅のいいダンディな殿方。

この方は牧野卓郎…牧野えみり殿の父上にして有名百貨店の社長だとか。

瑠香はうまくやろうとしたのでしょうが…。

赤警報と言われてもピンとこないでしょうし、あんなに血相変えて3人も飛んでいけば驚くのも無理はありませぬ。



「僕は陸自の人間ではないので分かりませんが

とてもまずいことだと思います…

お力添えになれず、申し訳ありません」


「あぁ…いえ、ありがとうございます」



僕とて分かりますよ。

赤警報…確か空襲警報か、対空警報だったはず。

もう翼者に入り込まれていたのでしょうな。

この学園に入ってから嫌な感覚はしていました。

校門を抜けたすぐに出会った麦田という女性教師。

瑠香がLINEでくれたように首にうっすらと索状痕がありましたから、おそらくは光の楽園の関係者なのでしょう。

ですが、瑠香の事を襲ってこようとはしない。

よもや…僕の考えが正しいと仮定した時、彼女は宗教2世という事もあり得ますね。

このホール内にいる人間たちは瑠香の事を忘れて、ミスコンの順位の発表を行うみたいですね。

呑気なことだ。



(1000 校舎・本館内 一階フロア)





一度即応の全員と合流して別れた後、私となぜか師団長(ヒグマ)と一緒に行動することになったし。

探知状況が悪くなってきた。

ヒグマがいるからとかじゃなくて、校舎の全部が翼者が出てきたみたいな感じになるし。

新しく覚えたアクティブモードで雷を揺らして探っても、これといって特定の場所を見つけられない。

とするなら、翼者はここにはいないの?

違うこれは、生きた人間の生皮を被った翼者がいる。

放送室から嫌な感じがビンビンする!




「…あまり気負うな財前士長

怒りに任せれば殺気となって敵に勘づかれるぞ?」



「わかってる…わかってるよお父さん!!

お父…さん?」



なんだこの感覚…全てを握りつぶされるような。

逃げ場のない恐怖は?

お父さんの目がいつもの透き通って綺麗な琥珀色じゃない。

濁っていて、赤みを帯びているというか…。

そうだよ…目の前にいるのは戦闘中の指揮官の目。

とてつもなく冷徹で、触れられれば殺される。

魔王や同族殺しと怖られ、全ての人員を掌握した完全無欠の王。

心の中が何も見えないのは、心が何もないからじゃなく光をも吸い込む闇…歪みのない黒い色。

陸将…財前誠が今ここにいる。

怖い…翼者なんて比じゃない!



「…落ち着いたか?

まずは深呼吸をして姿勢を低くしろ

お前は見つけているんだろ?

敵の陣地を…なら其処に向かおう」



足音を立てないように、静かだけど確実に走らないと。

今はそれしか頭にない。

でも私の心に響く恐怖の音がずっと頭からこべりついて離れようとしない!

今私の後ろにいる闇が怖くてたまらない。

でも、放送室で倒れている人をまずは助けないと!

薬と血の混ざった匂いみたいなのが強くなってきた!

やっぱり放送室がそうだったんだ…な…。





「麦田先生…綾瀬先生…速水くん…なんで倒れてんだよ

血だらけってどうして…

貴方は音楽の村井先生、どうして刃物なんか持って

隣にいるのは…練馬を襲った時のユリア?

あんたらがやったのか、あんたらが殺したのかぁ!!」




「「お迎えの時間です…まぁーりぃーあー」

もう引き返せません。

大事なものが奪われるところまで瑠香の立場はぐらついています。

そもそもなぜ学校に敵がいたのかも次章から書いていきます。


そして見たくないものをみてしまいかねません。

次回もよろしくお願います

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