12-7 学園祭の準備…え?
そろそろ冬布団と毛布の組み合わせから毛布だけに変えようかと思います。
春が近い。
(午後五時 高淳高校 空き教室)
「学園祭…だと?」
「そうだよ瑠香ちゃん、季節外れだけど学園祭をやるんだ
私たちクリスピークリームドーナツ教を広めるチャンスよ!」
「私たちの夢が叶う時が来たわ!
ドーナツ・ハイル、クリスピークリームを崇めよ!」
「えみりちゃん、紗香氏…そうと決まれば、やるしかないね!」
我らのクリスピークリームドーナツを深めるのだ!
祈り捧げよ…ドーナツ!
我が身を幸せに導け、甘くとろけるグレーズ!
うぉぉぉぉおぁぁぉ!!!!
(久しぶりにニャンコについてきてみたら…
学友ととんでもない宗教を立ち上げていたようだね
挺進印のフォンダンショコラ…食べてくれるかにゃ?)
「…瑠香さんの守護者さん、手土産下げてきたのですが今あの子たちは、神聖なクリスピークリームドーナツを崇めているのでもう少し待った方がいいです
捧げよ…ドーナツ!」
『君は確か、この前ガトーショコラをあげた桐生葵さんだったかな?
君もクリスピークリームドーナツ教を…』
みなさんこんにちは、俺の名前は神前忍。
瑠香の曽祖父にして習志野第一空挺団を守る、空挺の神の1柱です。
今日は瑠香のことを近くで見ようとホイホイついてきたんだ。
そしたら瑠香はクリスピークリームドーナツ教の信者で、今は熱心にドーナツを崇めているみたい。
挺進印のフォンダンショコラを食べてほしいんだけどね?
学園祭…言うなれば学校での軽い祭りのようなものを行うようで出し物を考えていたはずだがこんな調子なんだよ。
収集つきそうにないし、これもうわっかんねぇなぁ!
「お三方盛り上がっているところ悪いけど、出し物決めたの?
後これ…瑠香さんのお友達からフォンダンショコラもらったよー」
「「「フォンダンショコラ、いえぇぇぇぇえ!」」
「ふぉぉぉおぉ!!」
「みんなの盛り上がりがすごいなぁ
先生も作戦会議に参加してもいい?」
「「「「麦田先生かぁぁあもぉぉおん!!!!」」」」
瑠香たちはこんな風にはしゃいでいるけど、他の学友たちは授業が終わりあとは帰るだけの夕方。
窓を覗いてすぐ下を見ればバイトか家路を急ぐ中・高校生が一斉に下校しています。
少し日が落ちる時間が遅くなってどこか春を感じさせるようになってきた。
高校生活でなんだかんだ盛り上がるはずの学園祭とか体育祭が、去年は校舎が壊れたとかなんとかでできなかったし。
せめて学園祭をやろうとしたんでしょ。
俺がもっと早く瑠香を見つけて、あの事件が起きないように画策すればよかったんだけどね…。
「今年は私たちのクラスでは…メイド喫茶
部活は紗香氏とえみりと瑠香ちゃんは入ってないから新聞部の手伝い…だけだね」
「変なことに巻き込まれませんように…」
「変なことって何かあった…ぁ」
麦田先生が一瞬にして黙り込んだ。
去年きたばかりの麦田先生は考えたが、他の先生に聞いていたのか思い出したんだろうね。
私の学校では稀に高校卒業してからアイドルか、モデルになる人がクラスで1人は出てくる。
ある意味、学校あげてオーディションをするんです。
希望者だけでやるけどみんな本気出してくる。
審査員もどこぞのプロダクションのすごい人…だって。
「紗香…聞いたことある
嫌がらせ目的でオーディション…ミスコン出すってさ
それで赤っ恥をかかせるって」
「公開処刑ってやつ?」
「やめてくれよ…」
この5人の会話を聞いていて、なんだか怖くて仕方がないんだよ空挺の神様は。
俺の目…転輪眼には俺の固有能力の未来視が備わっているんだがな。
瑠香がそのみすこんってやつに強制的に参加する未来が見えてしまったんだよ。
逃げろって言いたかったんだけど、こんな空気を潰すわけにはいかないし…。
かと言って知らせないわけにはいかないしどうする!?
「実は瑠香さんに謝らないといけないことがあるの…
この前の取材なんだけど、その…ね…」
「あっ…葵たん、まさか私がその…!」
「「「 うそでしょ!?!?」」」
ちゃんと言ってくれたけど…ニャンコの命はゼロに近い!
それもそうだよ。
公開処刑される要素なんて一つとしてないはずなのに、こんな羽目になるなんて考えられる訳がない。
そう言えば、基礎降下課程の時に新聞部さんたちがきていたのってまさか公開処刑の為の伏線だったのか?
この学校の先公もたちが悪いし、本人の意図を汲み取らずに選考するのもどうなんだよ。
「…大槻くんがいい感じのPV作ってたから…ごめん!」
「…やるしかないな、ミスコン落とされるように頑張ろ」
しっかり生きてくれ…瑠香!
空の神様には、どうにもできないけど応援はするから!
最初の頃に翼者襲撃事件があって学園祭ができなかったので、冬のこの時期にやるそうです。
3月は卒業式とかいろいろあるのですが、季節外れの学園祭も食い込んできました。
瑠香達はとんでもない宗教を作って広めようとしています。
忍「俺も入信しようかな?」
瑠・えみ・紗・葵「クリスピー・クリーム・ドーナツを讃えよ!」