今あなたは誰を愛していますか?私はあなたを愛しています
「愛する人へ
今あなたは誰を愛していますか?
私は、あなたを愛しています。」
プロローグ
いつものように、朝方ゴミ捨てに向かうユキの目の前には、驚くような光景があった。
幼い女の子が大型のトラックから一人飛び降り、にこやかに会話をしながら手を振っている。
靄でうまく見えないが、明らかに普通ではない光景に、ただただ見入ってしまった。
はっ!!と我に返りまたその子を見るとにこやかにこちらへ向かってきた。慌てながらもユキは女の子に近寄って行った。
「け、怪我はない??」
「どこから来たの??」
「置いて行かれちゃったの?」
と慌てるユキに、女の子は笑って言った。
「ふふふっ。ちがうよーしょーちゃんだよーおくってきてもらったんだよー」
「しょーちゃん?トラックの?」
「そーだよぉ!わたしパパにあいにここにきたくて、だからおくってもらったんだよ!!」
目を輝かせ、そう話す女の子に嘘はないとユキは思ったが、どこからともなく現れた少女に何から聞けばいいのやらと、戸惑うユキに女の子は言った。
「ねーおねーさん。ここにいきたいの!しってる?!」
手渡された紙には同じマンションの隣の部屋の住所が書かれていた。
「え?えええええええーーーーーーー?????!」
戸惑った!さらに戸惑った!
ユキの頭がパニックだ!そうだ!これは間違いかもしれない!と、ユキは女の子に
「お、お父さんの名前はなんていうのかな」
「はるだよ、うめだはる」
さらに女の子は続けて言った。
「ママはあきだよ!こうのあきだよー!」
ユキはその瞬間、愕然としたような、モヤっとしたような、気持ちの悪い感覚を抱いた。
そして、彼女を連れて自宅の隣へと連れて行った。