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ダークエルフ姉妹と召喚人間  作者: 山鳥心士
第十話 氷河の国
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吹雪く剣技


 「オラオラオラオラァッ! 守ってばかりじゃあジリ貧のままだぜェ?」


 怒涛の嵐のような剣撃。薙ぎ払い、突き、振り下ろし、振り上げ、様々な攻撃手段が守り以外を許さない速さで繰り出される。


 確実に急所を狙う洗練された剣術。集中力を研ぎ澄まし、本命の攻撃なのかフェイントなのかを見分け、避ける。あるいは受け流す。


 唯一、安心できるのは相手の得物が真剣ではなく訓練用の木剣だったことだ。それでも当たると痛いでは済まされないので、油断はできない。


 イルザは魔王ニルスが有する騎士団の小隊長と戦闘を繰り広げていた。



 それは今朝の事。



 「私達が闘技大会に、ですか?」


 「うむ、東の国ラ・ヴィレス魔王国にて開催される闘技大会。外交である程度の国交はあるが、どうも最近のラ・ヴィレスは怪しいのじゃ。余はこの闘技大会の裏に神界器が絡んでいると予測しておる。あの国の裏組織とも言える盗賊団"幻葬の鐘(セクステッド)"のリーダー格の男が神界器(デュ・レザムス)を入手したという。主ら―いや、失礼。卿にはその潜入調査を依頼する」


 謁見の間に呼び出されたイルザ達四人。昨日の話の続きをするのだろうと身構えていた。てっきり千年戦争の遺跡の調査をするのだと予測していたが的が外れた。


 魔王ニルス曰く、闘技大会には最低五人、最大十人までのチームで参加。ルールは試合の都度変更。参加資格は無し。


 ジュデッカの騎士団を送り込むことも出来ないこともないが、国の警備が薄くなったところを攻めてくる可能性も考えた結果、諜報のプロであるリスティアとイルザ達4人を送り込むことにしたという。


 客員騎士として迎えたものの、正式に公表はしていない。素性を隠しての参加が出来るのである程度の幅は利かせられるということだ。


 だが問題が一つあるという。


 「イルザ卿の今の戦力では確実に死ぬであろう」


 エルザとグレンは苦い顔をした。


 認めるのは些か悔しいが、ヴェンデに"躍進する者(エボブラー)"の能力開花手前までは鍛えてもらったものの、あくまで能力の鍛錬であり、戦闘に関しては特に教えてもらうことは無かった。


 「戦いなんざ回数こなせぐれぇしか俺は教えらんねぇよ」


 と、戦い方を学びたいとヴェンデに言ってもそう返されるだけだった。


 正直なところこの国の、特にこの城のに住む魔族の戦闘力は計り知れない。一介のメイドですら勝てるかどうか分からない程度には戦闘力の水準が高すぎる。


 「試しに卿らの戦闘力を数値化してみようではないか」


 そういうと複数の使用人に台車を引っ張って来させた。その台車には水が入った腰まで高さまである銀の盃が載っていた。


 「これは人間族が過去に使用していたと言われておる"指標の銀盃(メルス・オブ・ゴブレット)"のレプリカじゃ。当時の勇者には強さをレベルという概念で数値化していたらしい。それを測るための魔道具じゃ。リスティア卿、使い方を見せてやるのだ」


 ちなみに、元は灰の砂漠で発掘したものをジュデッカの研究員が復元した凄い物なのじゃぞ! と自慢げにニルスは語っていた。


 「はい。私のレベルを知られるのは少々お恥ずかしいですが、よく見ていてください。まずは盃の縁に両手を、そして精神を研ぎ澄まし、魔力を盃全体に送ります」


 リスティアが盃に魔力を送ると同時に、中に入っている水が零れることなく噴水のように湧き上がる。


 送り込む魔力が最大に達したところで、湧き上がる水が全て中に浮き、水の輪とその輪の中一本の水の針が現れた。


 輪には九つの目盛りがあり、一周で百を表すという。


 リスティアの水の針は七と八の間を指していた。


 「私のレベルはおよそ75です」


 「うむ、リスティア卿はこの国の中で三番目のレベルを誇る。もちろん、一番は余なのだがな!」


 見事なドヤ顔である。時々みせる子供っぽさが無邪気で可愛らしいのでどうにも憎めないと思うイルザ。


 「恐縮ですが魔王様のレベルはお教え頂けますでしょうか?」


 あまりのドヤ顔だったので聞いて欲しいのだろうなと、イルザはとりあえず聞くだけ聞いてみることにした。


 「それは、秘密じゃ」


 「は、はぁ・・・」


 前言撤回。ちょっぴりめんどくさい。


 「余のことはいいのだ、次は卿らだ!」


 イルザ達四人はリスティアの所作を見様見真似で再現した。



 イルザ:レベル20

 エルザ:レベル25

 グレン:レベル15

 スミレ:レベル10



 「むむ・・・。リスティア卿の言う通り、じゃな。戦闘を行わない魔族でレベル1から5、多少の戦闘の経験があるとはいえこれでは心許無い」


 「ええ、ですがエルザ卿を除く三人は神界器(デュ・レザムス)を保有しています。神界器(デュ・レザムス)は身体能力の基礎を底上げする力もあるようですので、力を使用した状態での計測も行いましょう。よろしいですね?」


 イルザは無言で頷く。弱いことは自覚していたが、こうもハッキリと数値化されると正直悔しい部分がある。


 言われた通り、"妖精の輝剣(アロンダイト)"を顕現させる。握ったままでは両手で盃に触れることが出来ない。最近使用できるようになった、剥き身の刀剣を背中にくっつける魔術を使用して、両手を空け盃に触れる。


 「ふむ、あれが神界器(デュ・レザムス)が一つ"妖精の輝剣(アロンダイト)"恐ろしいまでの力を感じる」


 ニルスはまじまじとイルザの"妖精の輝剣(アロンダイト)"を見つめる。


 続けてグレン、スミレと再測定を行う。



 イルザ:30

 グレン:25

 スミレ:10



 スミレのレベルだけ上昇していない。


 その原因はすぐに判明した。主が居ないため、神界器(デュ・レザムス)自体が力を得ていない。つまり眠っているのと同じ状態であるということだ。


 ニルスは、主は作らないのかと訪ねたが、スミレは怯えながらも「託すに相応しい人、納得出来る人が見つかるまでは託しません」とハッキリと断った。


 そのスミレの真っ直ぐな瞳に確かな意思を感じたニルスはそれ以上問わなかった。


 そして根本的な問題である、地のレベルが低いことの解決策。


 「リスティア卿、闘技大会はどの程度の強さの魔族が集まると予想する?」


 「私の予想ですと、参加無制限ですので有象無象の輩がこぞって参加すると思います。ですが、勝ち残るのは最低でもレベル50以上の力を持つ者だと予想しております」


 「我が騎士団の小隊長クラスの実力は必要とのことだな。ふむ―」


 考え耽るニルス。


 普段であればグレンが何か意見しそうだが、機嫌が悪いのかだんまりを決めている。それはエルザも同じ様子だった。


 「開催までまだ時間はある。幸いにも、最強の騎士ゾリャーロ卿率いる騎士団が駐在しておる。指導役の婆も演習に加わっていると聞いておる。しばらくはゾリャーロ卿の元で戦いのいろはを教わるとよい」


 「仰せのままに」





 という出来事があった。


 早速騎士ゾリャーロの演習場へ向かった、その道中。


 「どうしたのよ二人とも、なんだか様子が変よ?」


 イルザは今朝からどこか不服そうなエルザとグレンにようやく問いかけることが出来た。まだ昨日の先代雪女族の記憶のことを引っ張っているのかと思っていた。


 「・・・昨日の夜、魔王ニルス殺されかけたの。って言うのは冗談で少し揉めた」


 「殺されかけた・・・!? どういうこと?」


 「・・・だから冗談。魔王ニルスはお酒に弱いみたい。私のせいで楽しい時間をダメにしてしまったの」


 エルザが何を言っているのかいまいち要領を得ない。


 「カードゲームをしたんだよ。んでエルザがイカサマをした。そんで、酒に酔っていたニルスは怒った。俺達は気絶した。そんだけだ」


 「気絶!? そんだけって事のレベルの話じゃないわ! さっきのニルスは昨日と変わらないじゃない!」


 「ああ、あいつは魔王として振る舞うときはあんな感じらしい。リスティアさんと二人のときはもっと砕けた雰囲気になる。そんで本人が自覚していないのが、酒を飲んだ時はその二面性が入り交じって、その間の記憶はない。っていう置き手紙があったんだよ。多分、リスティアさんが書いたものだと思うけど」


 と、あからさまな苛つきを見せながらグレンは石を蹴る。


 経緯は分かった。だけど、それが二人の機嫌が悪いことには繋がらないとイルザは感じた。


 「他にも何かあったの?」


 さすがは私の姉だなと思ったエルザ。家族に対する気配りに関してイルザ以上の者はいないと思う。


 「・・・書置きの最後の一文に、私達魔族の起源(ルーツ)を忘れないで。って」


 「魔族の起源?」


 「・・・あくまで推測だけれど、先代雪女族の記憶で魔族を作り出す施設の話しがあったでしょ。魔族は人間族と魔獣の掛け合わせで生まれる。つまり――」


 「貴殿らが噂の客員騎士かね? 私はゾリャーロだ、よろしく頼むよ」


 外へ続く廊下の途中に現れ、会話を割るように話しかけてきたのは爽やかな男性の騎士ゾリャーロだ。魔王ニルスの次に強い、実質騎士団最強の魔族。切りそろえられた深緑の短髪、程よく鍛え上げられた筋肉、見た目は人間族と変わらない男性。


 「客員騎士イルザと申します。本日は演習への参加の銘を受けました。よろしくお願いします」


 姿勢を正して、同じように他の三人も挨拶を済ませる。


 「いい挨拶だ、挨拶は礼儀の基本。しっかり出来ているということは良い騎士になれますよ。それでは演習場へ参りましょう」


 『はっ』







 ジュデッカの騎士団は第一から第五師団まで存在し、師団長がジュデッカのそれぞれの領主を務める。そして、師団長の部下である中隊長、更に小隊長、小隊ごとに一般兵といった一師団あたりの規模でおよそ百人前後だという。


 小隊はそれぞれの得意分野で構成されている。剣士・槍士・弓士・魔術士・工作士がそれぞれ五人から十人配属されているといった具合だ。


 そしてジュデッカの法律として一年周期で各師団は王城グリシノゼルグ駐在し、騎士学校の生徒と共に訓練を行い、見習い騎士を育成及び王都の警護をする。


 その王城での駐在任務を行っているのが、ゾリャーロ率いる第一師団である。


 「卿らはそれぞれ得意な戦闘方法があるみたいですね。今日の演習は小隊組手を行いましょう」


 「小隊組手・・・とは、どういった演習なのでしょう?」


 「ああ、失礼。小隊組手というのはいわゆる勝ち抜き戦です。イルザ卿の場合、一対一で剣士の小隊を全員倒しきれば終了。という感じですね」


 いきなりハードな演習だなと、イルザ一行は幸先が不安になる。




 演習で振り分けられたのは、イルザが剣士隊、エルザが魔術士隊、グレンとスミレペアが弓士隊&工作隊となった。


 ルールは一対一の勝ち抜き戦、使用武器は演習用の木製武器、非殺傷の道具、能力の使用制限無し、時間制限無し。


 イルザはある程度身軽な防具を着込み、手頃な長さの直剣を手にした。


 「構え、始め!!」


 小隊長の号令と共に試合が始まる。


 相手は一般兵の剣士。ヴェンデや師団長程の圧倒的な力を感じないが、それでもイルザより格上の相手であることはすぐさま直感した。


 互いに、無言で間合いを詰め合う。


 緊張の糸を先に切ったのは相手の剣士。


 脳天を狙った上段からの振り下ろし、イルザは相手の剣先をなぞるように右側へ逸らす。そしてそのまま体を回転させ、右横腹へ薙ぎ払いを入れる。


 しかし、相手の初撃はフェイントだった。


 剣先を逸らされるや否や、すぐさま後退しイルザの薙ぎ払いを木剣で受ける。


 (強い・・・ッ! 剣が届く気がしないわ)


 相手のカウンター、受け止めた剣の勢いを殺すことなく受け流し、イルザに隙を作る。イルザの背に向けて容赦のない突きが放たれた。


 (剣で受け止めるのは不可能ッ! ならば!)


 イルザはその場にしゃがみ、突きを避ける。そして、足元を狙った蹴りを入れ体勢を崩すことに成功した。


 相手の剣士は驚いた表情を見せた。剣技では勝っていたが、柔軟なイルザの動きについていけない。


 剣士はそのまま地面へ倒れ、イルザは剣を突きつけた。


 「こ、降参です」


 剣士は敗北を認め、イルザの勝利となった。


 残り八人と小隊長、この演習はかなりキツイ。だけど手っ取り早く戦闘技術を盗むには最適な方法だと理解した。


 「へぇ〜あの嬢ちゃんなかなかやるじゃねぇか。だが、格下に負けるなんざうちの隊もまだまだだな。あんまり頼みたくないが婆さんにまたしごいてもらう必要があるな」


 剣士隊小隊長レギル。攻撃的な瞳に深々とした青色の髪をバンダナで括る青年は、イルザの戦いを見てそう呟いた。


 イルザの剣技は素人のそれではなかった。まるで数年間戦いを続けたような、滑らかで、鋭い体さばき。


 イルザから感じる強さに合わないその剣技は、一人、二人と、試合を重ねる毎に洗練され、自分のモノにしているようだった。





 「止めッ! 勝者、イルザ!」


 ようやく一般兵九人を倒したイルザ。所々に打撲の後があり、連戦を続ける苦しさに息を切らす。


 そして、格上フルコースの最後に待っているのは更に格上のデザート。小隊長のお出ましである。さすがに女子とはいえ、このデザートを別腹にするのは厳しい。


 「我が名は第一師団剣士隊小隊長レギル。オレの剣は甘くないぜ」


 「私は客員騎士のイルザです。お手柔らかにお願いします」


 レベルに換算するとどのくらいなのだろうか、明らかに一般兵より抜きでた力を持っている。


 悲鳴をあげる筋肉やマメを無視し、試合に集中する。


 「構え、始め!!」


 号令と共にレギルは一気に距離を詰める。


 (は、早い!!)


 威力は弱いものの、素早く詰め寄ると同時に放たれる横薙ぎ、それを防いだと思えばそのままイルザから距離をとる。


 「イルザ卿、オレの信条は攻撃は最大の防御なんだ。だから、今からは止まることない剣技を受けてもらうぜ」


 レギルがそう言い放つと、見たことの無いステップを踏み、再びイルザに距離を詰める。残像が一つ、二つ、三つ―。


 イルザは残像に目を奪われていた、そして背後に僅かな殺気。紙一重のところでレギルの攻撃を防いだ。


 しかし、レギルは再び残像をいくつか残し気配を断つ。


 (これは能力なのかしら? どこから攻撃が来るのか全くわからない)


 左後方、右前方、左前方、正面・・・。様々な方位から絶え間なく剣撃がイルザを襲う。


 「っぐ・・・」


 防ぎきれない攻撃がいくつか現れ始めた。一撃が重い、そろそろ打開策を練らなければこのまま負ける。


 「ふっ、そこだ!」


 「!?」


 イルザの木剣は弾かれ宙に舞う。


 「次でトドメだ!」


 木剣を拾いに行くには距離と時間が足りない。仮に拾えたとしても、対抗する術がない。


 (ルールでは能力使用の制限はない、だったら)


 イルザの手元に蒼白に輝く光。木剣と同じ長さの"妖精の輝剣(アロンダイト)"が握られていた。


 「剣を生み出しただと!?」


 レギルは一瞬怯んだ、だが直ぐに我を取り戻し、次の攻撃へ移る。


 「木剣がなくても剣を生み出す能力で戦闘は続けられるってことか。しかし、オレには無意味な能力、攻撃は吹き付ける吹雪の如く止まないぜ」


 「吹雪はいずれ止むものよ」


 「減らず口を叩いてられるのも今のうちだ」


 イルザとレギル、共に間合いを詰めるため地面を蹴る。だが、レギルが一枚上手。体格と力の差でレギルの得意の乱撃がイルザを再び防御体勢に移らせる。


 「オラオラオラオラァッ! 守ってばかりじゃあジリ貧のままだぜェ?」


 重く鋭い攻撃。イルザはどこか突破口がないか模索する。


 (もう一つ、もう一つ武器があれば―)


 そう強く思った。


 そしてそれに応えるかのように、イルザの左手に新たな蒼白の光が握られる。


 「何を企んでいるかは知らんが、これで終わりだ!!」


 重めの振り下ろしの後、ステップを踏み、残像を残す。そして完全に背後を取ったレギルは勝ちを確信した。


 「ば、バカな・・・ッ!?」


 レギルの木剣は手から離れていた。


 その感覚は何かに絡め取られるような、無慈悲な妨害。


 「攻撃が最大の防御なら、防御は最大の攻撃には成り得るのかしら?」


 イルザの左手にはナイフ程の大きさの剣。その形状は二又となっており、木剣をその隙間で受け止め、捻じることで相手から奪うあるいは折ることが出来る、ソードブレイカー。


 そして、右手の直剣はレギルの喉元へ突きつけられていた。


 「――降参だ。お見事」


 負けた剣士隊の兵士達、見物に来た槍士隊の大きな歓声に包まれる。


 イルザは新たに自力で"妖精の輝剣(アロンダイト)"の二本目同時使用、新たな形状"武器破砕"を会得した。


 充実感と疲労感に襲われる中、対戦相手である小隊長レギルに手を伸ばす。


 「試合、ありがとうございました」


 レギルはイルザの差し伸ばした手を握らずに一人で立ち上がった。


 「いえ、こちらこそありがとうございました。まだまだ修行不足なのを思い知らされました」


 試合の時と打って変わって紳士的な態度をとるレギル。


 「ああ、戦闘になると口調が荒っぽくなる癖があるのですよ。しかし、初見で"迅發闊歩"を何度も見破られるとは、サー・イルザの伸び代に期待が持てますな」


 「迅發闊歩・・・ですか?」


 「残像が何度か見えたでしょう? 小隊長以上の騎士は皆使える奥義みたいなものです。訓練兵時代に基礎を教わるのですが、体得するのは自力でというのが中々苦労する奥義なのですよ」


 優しく笑うレギル。まるで吹雪が止み、降るのは粉雪のような大きなギャップ。攻撃的な瞳のバンダナの青年は、剣士隊に向けて号令を出す。


 「我々の完敗! サー・イルザへ敬礼!」


 いつの間にか整列していた剣士隊は、見事な統率力をみせる。


 イルザは大勢から注目されるのは初めてで、慣れない敬礼をとりあえず返す。


 (ちょっとこういうの苦手かも・・・。他の三人は大怪我とかしてないかな・・・)


 新たな力を得たイルザは、別の場所で演習を行っている三人を想う。



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