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ダークエルフ姉妹と召喚人間  作者: 山鳥心士
第三話 鷲と蛇
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自在具現化

 襲い掛かる光弾から逃げるように森の中を駆け抜ける。幸いにも変則的な動きをした大型の矢は撃ってくることは無かった。


 恐らく魔力の消費が激しい技なのだろう。それに止むことのない光弾の連続攻撃で魔力を回復する余裕もないのだと予測する。


 森を抜けるまであと一分・・・。


 体力を温存するために全力疾走は避けているが、イルザはホルグの光弾を剣でいなし、エルザは光属性中位魔術“守護方陣”を展開し光弾の来る方向を察知する。


 それぞれの役割は一回のミスも許されない集中力が必要とされるものだった。必然的に体力の消耗が激しかった。


「はっはっ! 疲れが見えてきているぞ! いつまで耐えられるかな?」


 ホルグは上空から姉妹が疲弊していることを指摘し、自分が優位な立場にあることをここぞとばかりに示す。


 「・・・右!」


 「はぁぁぁっ!」


 敵にかまっている余裕はない。ただひたすら自分に託された仕事をこなす。ダークエルフの姉妹の信頼関係は崩れない。


 (ふん、相変わらずの無視か。湖に到着してから仕掛けてくるつもりなのだろうが、それはこちらとて同じ。その時まで狩りを愉しませてもらうぞ!)


 光弾を再び姉妹めがけて打ち込む。


 突如として現れ“極光の月弓(アルテミス)”を渡してきた巫女装束の少女、スミレ。弓を渡してきた理由は話さなかったものの、武器狩人にとってはどうでもよかった。


 鈍く輝く黄金の弓。弦は無く、矢は魔力で生成される。宝石などを装飾した観賞用の武器を手にしたことはあったが、これ程までに美しい実戦用の弓を見たことがなかった。


 スミレ曰く他にも同じような武器があると聞いたときは鳥肌が立った。こんなにも美しく力を秘めている武器があることに魂が、心が震えた。


 ホルグがダークエルフの姉妹を追い詰める理由は美しい武器に魅了されたからであった。


 (形の変わる剣・・・! はっはっ! 早く俺様のモノにしてやりたい!)


 それぞれの持つ武器には様々な特殊能力が備わっている。“妖精の輝剣(アロンダイト)”は現状、判明している能力は形状変化である。それと同じように“極光の月弓(アルテミス)”にも特殊能力がある。


 矢の自在具現化(じざいぐげんか)である。


 魔力矢を放つ魔導弓は数多く存在するが、矢の軌道は実物の矢とさほど変わりない。しかし、“極光の月弓(アルテミス)”から生成される矢は、所有者の魔力量と意思によって矢を放った後の軌道を、湾曲(わんきょく)・分裂・収縮・設置など自由に変化させることが出来る。


 また、当てたいものを選択することができ、ターゲット以外を通過する。とイメージして矢を放てば、障害物を通り抜けることが出来る。


 ホルグは混血魔族で純粋の血統を持つ魔族たちよりも魔力量は少ない。しかしどこまでも見渡すことのでき魔眼と自由自在に矢の軌道を操れる“極光の月弓(アルテミス)”との相性は抜群に良かった。


 ホルグは鋭い瞳を光らせる。その視線はイルザの手にある“妖精の輝剣(アロンダイト)”へと向けられていた。



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