ブラン・レポート2
『人間』
宝玉に触れたと同時に現れた、私と同じ紋章を持つ者。
その者は自らをスミレと名乗り、私を守護するために召喚に応じたと言う。必要な情報だけを得てすぐに隷属の鍵で心を私のモノにした。
本来人間は千年戦争で滅びたと聞いている。このスミレという人間は一体どこから現れたのか、何故私を・・・いや、神界噐を守る必要があるのか甚だ疑問だった。
しかし、人間という魔界に無いサンプルを手に入れることが出来たのは幸運だ。人間の生態について研究するのも面白いかもしれない。
衣食住について
魔族であろうと人間であろうと生活基盤は衣食住にある。
衣服については元々着ているもので充分だろう。排泄物や泥などで汚れれば魔力で浄化すればいいだけの事だ。
そして食物。
こちらも我々魔族と食するものと大差ない。しかし食事の目的が違う。我々魔族は食物からの魔力補給を主とし、その他の成分摂取は二の次であるのに対し人間の場合、食物から得られる熱量及びその他成分の補給を主としている。
その理由として考えられるのは食物からの魔力補給の効率が極端に悪い点である。人間の魔力行使については後述するが、人間が食事した後の魔力行使に特別な変化が見られなかった。
それが魔族と人間の違いなのだろう。
住居環境。
魔族にも寒さに弱い者強い者、乾燥に弱い者強い者が存在するように人間も同じ様に得手不得手があるようだ。
幸いにも住居環境は淫魔と通ずる部分があり、共に生活する分には問題ないだろう。
人間の魔力行使について
我々魔族は魔力を行使する際、体内から魔力を練り上げて増幅させて行使する。体内に保有できる魔力量は生まれながらの才と鍛練によって変化する。
しかし、人間は体内に魔力を保有することが出来ない。
魔力行使ができない訳では無い。実際、極光の月弓を発現させるには多少なりとも魔力を消耗する。
推察するところ、人間の魔力行使は大気中に溢れるマナをその場で直接体内に取り込み、練り上げて増幅させているのだろう。
非効率な魔力行使だが、魔力過失の心配がないのは大きなメリットだろう。デメリットとして、魔力行使の環境に威力が左右されることだ。
ここ数日、スミレに魔力行使の実験を行っている。すると、ある日を境にスミレの魔力行使に変化が現れた。微力ながら体内で魔力を生成・保有し始めたのである。
魔力行使を続けると我々魔族と同じ様に体内で魔力行使できるということなのだろうか。それが可能であれば、デメリットなく魔力行使を無尽蔵に行うことができる。人間の成長というのは誠に恐ろしい。
逆に魔族が人間のようにマナを直接魔力行使に使うことが出来るのならば・・・。
人間の研究で最も大きな成果を得ることが出来るだろう。
人間の神界噐の扱いについて
どうやら人間にも神界器を扱うことが出来るらしい。
その出力は召喚主である私の力と同等あるいは、それ以下しか発揮できない。そして私のように新たな能力開発を行うことが出来ない。
召喚主が扱う神界器がオリジナルであるならば、人間の扱う神界器はレプリカと言ったところだろう。
だが、レプリカとはいえ侮ることはできない。現時点では魔力行使を自在に行うことが出来ないが、もし自在に魔力行使が可能となった場合。オリジナルの出力に劣るが独自の能力開発が出来るだろうと推察する。
また、レプリカのみ他者に譲渡が可能である。その場合の出力は最低限の基礎能力しか発揮できない。しかし、前述の通り自在に魔力行使が可能であれば、独自の能力を使用できる。
以上が現時点で判明している人間の生態である。疑問点の洗い出しはまた後日行うとする。




