表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダークエルフ姉妹と召喚人間  作者: 山鳥心士
第五話 隷属の鍵(エスクラブ・オブ・キー)
27/125

神界器(デュ・レザムス) 前編


 気を失っていたイルザは、瞳を開いた。


 その視界にはぼんやりと黒い縦棒が何本も並んでおり、暗く冷たかった。

 

 「・・・っ痛い」

 

 後頭部が痛む。


 (この痛みはいったい・・・? それよりここは・・・?)


 少しずつ意識がはっきりとしてくる。


 スミレを奴隷商人から逃がした人を救うために森を進んでいた。


 (・・・確か、途中で魔獣ガルムが現れて・・・)


 そこから思い出せない。何者かに後頭部に衝撃を加えられて気絶してしまったのだろう。


 鮮明になっていく視界。


 黒い縦棒は無機質な金属棒だった。


 手足は拘束され立つこともままならない、冷たい鉄でできた檻に閉じ込められていた。


 (・・・! 動けない。)


 試しに“妖精の輝剣(アロンダイト)”を出現させた。短剣型であれば手に持つことはできるが、手を後ろに拘束されており、手首が動かないように固定されている。


 「お目覚めかね、ダークエルフの女よ」


 大地が唸るような低い声、焦げ茶色のスーツを着た長身の男が姿を現した。


 「おっと、そんな怖い目で見ないで送れよ。興奮するだろ?」


 「気持ち悪いこと言わないで。みんなは無事なんでしょうね!」


 鋭く男を睨みつける。


 「ふっ、そんな状況で仲間の心配とは感心するよ。だが、無事かどうかは私にはわからないね」


 「・・・っ!」


 「あ、そうそう。一人だけ無事なのは教えてあげよう。何ならここに連れてこよう」


 苦虫を嚙み潰したような最悪な気分だった。妹やグレン、スミレの安否がわからない上に、その中の一人があの男の手の中にある。


 「入ってきなさい、そして彼女に改めて自己紹介を」


 扉が金属の擦れる音を立てる。静かに歩くその足音はイルザの目の前で止まり、虚ろな瞳をこちらに向けて口を開く。


 「我が主、ブラン様によって召喚されし人間。スミレでございます」


 「スミレ・・・あなた、人間だったの!? ・・・いえ、そんなことより、私たちを騙していたのね!」


 「・・・・・・」


虚ろな瞳のまま口を閉じる。その姿はまるで、操り人形(パペット)のようだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ