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ダークエルフ姉妹と召喚人間  作者: 山鳥心士
第十一話 輝く星の魂
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歪なセカイB

波紋失踪!!(しませんので安心ください)


 オレの中には別のオレがいる。


 別に二重人格だとかそういった類のものではない。長きにわたる転生を繰り返した中で突如として起きたバグのようなものだ。


 別のオレは実際に表に出てくることはない。


 記憶の一部としてオレの中に住み着き、ある感情を引き立たせている。


 それは渇望。


 人間族が成し得なかった望みを叶えたいと、


 渇いて、


 渇いて、


 渇いて、


 擦り切れるほどの願望がオレの中で、もがき苦しんでいる。この苦しみは夢となり、オレを蝕んだ。


 オレは夢の中身を、願望を知っている。


 転生を繰り返すことで命を次へと繋ぐ魔族は転生前の記憶をまるごと引き継ぐ。引き継がれた記憶は、ああそんなことがあったのか、程度のいわば他人の見た映像を客観的に観るようなものだ。


 その願望は星の救済。


 星、それ即ち故郷である。オレたちが今地に立っているこの星は緩やかに滅びへと向かっている。星の寿命が近いのだ。


 それに対し、この星を代表とする神々は何か対策を練ろうとはしなかった。「星の寿命も摂理の内」などとほざき、ただ静観していた。


 神々はいつもそうだった。繁栄と衰退を自由気ままに手を出しては星の生物を一喜一憂させる。そして肝心な時になると押し黙る。


 だから人間族は外の神に救済を求めた。だが、その求めも星の神々に阻まれ、外の神は十二種の

神界器(デュ・レムザス)に星の神々諸共封印された。


 俺は渇きを満たすため神界器を求め続けた。そしてある男に出会った。


 名をオルフェ。褐色の肌に長い耳、ダークエルフという種族だった。


 彼はオレの渇き続ける願望を知っていた。願望を成就するには再び外の神の力を手に入れる必要があると。だが、オレには神界器も外の神を操る術を知らない。出来るのは余りある魔力で薙ぎ払うこと。


 長きに渡る旅の末、オレは水の溢れる砂漠の国に帰ってきていた。そこは人間族に最も近い場所。身体に疼く願望が今のオレと過去の俺を螺旋させる。


 気が付くとオレはラ・ヴィレスの王となっていた。


 隣にずっといたであろうオルフェは、記憶の欠如はオレの今と過去が一つに繋がったせいだという。そして願望を成就するための計画は既に動き始めていた。


 裏組織として盗賊団の結成。建前上盗賊を名乗っているが本質は違う。メンバー全員が神界器を所有する資格を持った者だけを集め置いたのだ。


 所有の資格、それは神子の血族であることだ。


 魔族は皆、少なからず人間族の遺伝子を持っている。神界器を所有するためには星の神への信仰を持っていた人間の末裔でなければならない。偶然か、運命か、オレの血筋には神子の血が流れている。


 そうしてオレは神界器(デュ・レムザス)の一つである”破丘の桜槍(アレウス)”を手に入れた。


 「あなたを守護すべく召喚に応じました」


 オルフェに聞かされていた通り、―――人間が現れた。いや、―――人間を模した星の神が、オレの前で助けを乞うているようにも思えた。こいつらは人間ではない、神界器を封印した際に贄となった神子の人格を写し取った神の人形だ。


 だから記憶もなく、事務的に神界器を手にしたものに守護をすると偽り監視する。


 人形の人格の裏には神格が宿っている。オレの計画を成就させるためには不必要で邪魔な存在だった。


 躊躇うことなくオレは、人間を模した神を殺した。


 神界器は元々神の権能を勇者と呼ばれる人間に貸し与えたモノを具現化させた道具で、神の力を持つということは神を殺し得る力を秘めるということ。神を殺せる力は外の神の封印として働き続けていたが、オレが封印の大元である神を殺したことで外の神の一部が解き放たれた。


 常人ならば神蝕を起こしていた。


 だが、神の使徒の代替品として造られたオルフェ、ダークエルフの力によって外の神による神蝕は起こらなかった。


 時が来るまで外の神の一部は神界器に保存したままにしておき、新たな御神体を用意し権能を解き放つ。オルフェはダークエルフとして神の権能を自在に授受することができる。オレとオルフェは理由は違えど、目的は同じ。


 そして、その願望を成就させる時が、神蝕体という外の神の入れ物がついに手に入れる時が来たのだ。



 


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