第82話 携帯メール
蚊山はコンテナの陰に潜んで
後方の様子を窺った。
殺し屋の二人が
車の中の島塚を
冷ややかに見ている。
「よし、今のうちだ。」
蚊山は暗がりを選んで
一目散に走った。
これからどうしたらいいのだろう。
組織から命を狙われてしまっては
いくら空手が強くても
多勢に無勢で勝ち目はない。
何とかならないか。
不意に発角の顔が脳裏に浮かんだ。
そうだ、
俺が消されようとしているということは
発角達も危ない
ということではないのか。
だとすると、
これはすぐに知らせなければ。
意識は強い圧迫を受けているが
頭は冷静に判断していた。
蚊山は運良く
ちょうど客を降ろしたばかりの
タクシーを見つけると手を挙げた。
タクシーに乗り込むと
最寄りの駅に行くように告げて
携帯のメールを打ち始めた。
発角と中堀と竜森がマンションに集まって、
これからどのようにしていくのか
話し合っていたが
打つ手が見当たらない。
数日前に鮫谷から
大上の尾行に失敗して
見失ってしまったと
連絡が入っていたのだ。
この仕事から離れるには
首謀者を見つけて
消してしまうしか抜ける方法がないが
首謀者を特定することが出来るのか。
不可能に思えて
全員が重苦しい気持ちになっていた。
突然、
発角の携帯電話がなって
メールが入って来た。
話しを中断して
メールを読んだ発角の顔が
パッと輝いて
「やっと首謀者がわかったぞ。
極斬会熊虎組の組長
飯山剛太が仕組んでいたんだ。
蚊山が殺されかけて逃げている。
このことを大魔会魔崎組と
狂龍会寺野組に知らせれば
どうなるかな。」
悪戯っぽく笑いながら言った。
「俺達を虚仮にしやがった飯山を許せねえ。
魔崎組と寺野組を動かして
殺っちまいましょう。」
みんなが口々に言った。




