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第73話 襲撃

「マスクの用意はいいか。」



薮金があたりを



はばかりながら言うと



みんながいっせいにうなづいた。



そして、



まわりに気付かれないように



吹き矢の筒を



デニムの上着にくるんで



吹き口に唇をつけた。



同時に異次元では



危険な霊達が店の中に



うじゃうじゃと集まって来て、



その場が破壊のエネルギーで充満し、



そこにいる人々の意識にも



凶悪な想念が入り込んで



知らずに意識が荒れてきた。



薮金は吹き矢の筒先を



荒谷達の頭上にむけると、



プッと勢いよく息を吹き込んだ。



と同時に全員が鼻にマスクを付けると



拳銃を持った手を衣服で隠しながら



荒谷達の方へ素知そしらぬ顔で



忍び寄って行く。



天井に吹き上がった大量の粉が



スーッと



荒谷達の席へ降り注いで、



上機嫌でそっくり返って



笑いあっていた動きが



ピタッと止まった。



次の瞬間、



そこの全員の顔が歪んだ。



目が痛くて開けていられない。



涙があふれ出て



クシャクシャになった目で



ひどいクシャミをし始めた。



胡椒の粉だったのだ。



そのとき、



陰日は自分でありながら



自分でないような力が



全身に沸き上がり、



爆発しそうな衝動を抑えきれずに



強い力で操られて飛ぶように



荒谷のボックス席に飛び込むと、



いきなりなり拳銃トカレフをぶっ放した。



あっ、と言う間もなく、



数発を連射した。



薮金達三人は



陰日のあまりの素早い動作に驚いて



唖然としていたが、



すぐに気を取り直して



促されるように拳銃を発射した。



荒谷達は突然、



至近距離に飛び出した



サングラスにマスクの男達の襲撃で



パニックに陥いって、



慌てて床に伏せようとしたが



間に合わず、



荒谷は「うっ」と体を折り曲げると、



そのまま床に崩れ落ちてしまった。



「引き上げろ。」



薮金の一声で



四人はあっと言う間に



その場から消えうせた。



客も従業員も



突然の出来事に



何が起きたのかわからず、



四人が走り去って行くのを



見ているだけだったが、



荒谷達が血を流して



倒れているのを見つけると



店内は蜂の巣をつついたような



大騒ぎになって、



客や従業員が荒谷達を取り巻いて



騒いでいるがどうすればいいのか、



なす術もなく見ているだけだった。



突然、



隅のほうの席で



いままでの一部始終を



座って見ていた三人の男が



無言で立ち上がると、



何事もなかったように



店を出て行った。



そしてしばらくすると



サイレンの音とともに



救急車とパトカーが到着して



怪我人の搬送と



事情聴取が始まった。

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