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第43話 バリア

チャンスン隊が突撃していくと、



突然



そこから先へ進めなくなった。



バリアがそのあたりから



いているのだろう。



「待て。そこから全員下がれ。」



チャンスンが全員を下がらせた。



「弓隊、前に出よ。



間隔をあけて横一列にならべ。」



弓隊がズラーっと



一列にならんだ。



「前に向かって弓を射よ。」



チャンスンが号令をかけると



いっせいに弓が引き絞られた。



「撃て。」



シュッ、シュッと



鋭い音とともに



次々に矢が放たれると、



ことごとくはね返されたが、



そのうちの一本の矢が



はね返されずに



まっすぐ通り抜けて



行って建物に当たった。



そこのバリアが効いていなかったのだ。



「あそこだ。



あそこから突入せよ。」



チャンスンが全員に命じると



先を争って建物に突入を始めた。



アルホンスはチャンスン隊が



突撃を開始しようとしているのを



建物の中からでも



感じられていたために



大変な圧迫で



必死になっていた。



もう手遅れかと思って



ため息をつきながら



何気なく出入り口に



目をやった。



倉庫の中に



通路が幾筋もあって



その間に仕分け棚が



林立している。



その出入り口の横にある



ひじ掛け椅子の上に



目がとまった。



「あれ、箱がある。」



これは、



と手に取って部品番号を見ると



「バリア30010201」



アルホンスは飛び上がった。



「やったー。



これだーっ。



こんなところにあったのか。」



しかし



感激にひたっている場合ではない。



箱をつかむと



一目散にバリア発生室に走った。



チャンスン隊は



階段の下まで迫っていた。



このバリアは



破けて中に入られてしまうと



波動の識別が出来なくなって、



侵入者は自由に



動き回れてしまうようだ。



全体が完全に作動していないと



危険な波動を出している者を



感知できないらしい。



アルタミラは



しばらく気を失っていたが、



息を吹きかえすと



仰向あおむけになったまま



あたりを見回していた。



脇で同時に



追体験しながら



見ている私は



アルタミラの意識に



強い気取りと自惚うぬぼれと



さげすみがあって、



それに支配されているのを



感じていたが、



アルタミラ自身は



自分に気取り、自惚れ、



蔑みがあるとは



まったく気付いてもいなかった。



むしろ



自分にはそのようなものなど



まったくないと信じていた。



そのため



気取って自惚れて



蔑んでいることに



まったく



気付くことが出来ないのだ。



しかし



相手に気取り、自惚れ、



蔑みらしいものを見つけると



容赦ようしゃなく



攻撃したくなってしまう。



自分の中にあるものと同じものが



相手の中にあると、



どうにも気にいらなくて



仕方がないものらしい。



そして、



その気取り、自惚れ、蔑みの意識を



否定するものが



自分や他の人の中に現れたとき、



有ってはならないものとして



強い嫌悪感と拒絶感が生じて



精神が不安定になってしまうのだろう。



アルタミラが気を失って倒れたのも



どうやら



この気取り、自惚れ、蔑みの意識が



結果的に



自分の行為を



強烈に排斥はいせきしたのが



原因なのではないか。 



気取り、自惚れ、蔑みは



ガラスのようにもろく、



衝撃に弱い。

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