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第30話 失脚

コスカルは恐怖で



逃げ出したい衝動しょうどう



られたが、



必死に踏み留まった。



ここで逃げたら



一族は終わりだ。



如何にしたら



有利にことを運べるか。



必死に考えていた。



「陛下、



交通網も



生産活動も壊滅し、



民が飢えて、



住むところも無く、



国力が衰えた状態で



他国から



侵略されるような



ことになりましたら、



国が滅ぶことに



なります。



それだけは



避けなければ



なりません。



ですから今は



ただ復興のことだけに



専念するべきであると



思います。



しかし



テミクシ殿は



現状を



直視するどころか、



ますます



国を



あやうくすることに



執心しゅうしんしているように



思えてなりません。



これだけ激しい



神々の怒りを



引き起こした



その責任は



どこにあるのか。



そのことを



テミクシ殿は



十分承知していて、



陛下の目を



そこから



そらせようと



しているのです。」



王はコスカルから



目をそらさず



聞いていたが、



しばらく



そのまま無言だった。



「しまった。



まずかったか。



王は



テミクシの考えを



支持するつもり



だったのか。」



沈黙状態が続いて



コスカルは



氷ついたまま



王の言葉を待った。



息が詰まるような



時間が長く感じて



ハラハラしていた。



やおら王が



口を開いた。



「そなたは



最高神官が



責任逃れを



目論もくろんでおると



申すか。」



「ははっ、



私には



そのように



思えてなりません。



神々は



最高神官である



テミクシ殿の



まつり方に



怒りを表したのです。



ですから



大量の生け贄より



テミクシ殿に



責任を取らせようと



望んでおられる



はずです。」



王はどちらの提案を



取るだろうか。



コスカルは



固唾かたずをのんで



王の心の動きを



読もうと意識を



らしたが、



王は



「わかった。



下がってよい。」



と言っただけで、



それ以上何も言わず、



また物思いに



ふけっている



ようだった。



相変わらず厚い雲が



空をおおっている。



それから数週間後、



生き残った神官や



各貴族の長が



宮殿の広間に



呼び出された。



テミクシは



神殿から



宮殿に続く



道路の瓦礫がれき



応急措置でどけられて、



人が一人



何とか通れるように



なっていたために、



この広間に



来ることが



可能になった。



コスカルも



出て来ていた。



お互い憎しみで



敵意を内に秘め、



合わせた視線に



火花が散った。



王が何を



言い出すのだろう。



全員が緊張した



重苦しい雰囲気の中、



不安な想いで、



ざわざわと



声をひそめた



憶測話が



飛びっていた。



「大王様の御成り。」



その声に



ざわついていた



広間が



水を打ったように



静まり返った。



王が



一段と高い玉座に



座ると



一同起立して



王を見上げた。



王は全員を



見回してから



「このたびは



神々の怒りが



尋常じんじょうでは



ないことを



の当たりにした。



何ゆえ



神々は怒られたのか。



我等が



神々を



ないがしろにして、



ぞんざいな



まつり方を



していたためだ。



そこで



テミクシの最高神官を



剥奪はくだつし、



コスカルを



最高神官とする。



これをもって以後、



祭祀さいしに関しては



コスカルに



従うこととする。」



驚きで



場がざわついた。



テミクシは



異議を申し立てたかったが、



あまりのショックで



目の前が真っ暗になり、



動揺で頭が



ぐらぐら揺らいで



意識を失ってしまった。



しかし



異議を



申し立てたところで、



一度口にしたことを



撤回するような



王ではなかった。



テミクシの意識が



戻ったのは



牢獄の中だった。




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