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第18話 投石

編集済みました。

蛛の金糸が



キラキラ



光りながら



伸びて行く脇



すれすれ



のところを



上空から



狐の乗った雲が



次々急降下して



弓を引き絞り、



矢を連射して



上昇して行く。



的を外れた



一部の矢が



バリヤーに当たって



跳ね返される。



全体から



剣を交える音や



叫び声が



轟音となって



響いて来る。



白狐軍は



飛行隊の援軍を受けて



暗光軍を



ジリジリ



と追い詰めてはいるが



敵も背水の陣だ。



死に物狂いで



戦っているために、



なかなか



圧しきれない。



プルサム小隊長は



テレパシーで雲を呼んだ。



その瞬間、



足元に



雲が巻いたかと思うと、



一気に



上空へ



舞い上がった。



上から見ると



軍団と軍団の戦いは



巨大な



兵力同士の



激突となって



真っ黒なスモッグが



立ちのぼっている。



この世界では



テレパシーで



情報伝達するため、



軍団を



細かく組織化しなくても



隊長が個々に



直接



指示を伝えることが出来る。



そのため



現場は小隊だけで



十分だったのだ。



そのかわり、



小隊と言っても



兵士の数は



大隊に匹敵するほど多い。



プルサムは



戦況を眺めた。



最前線は



敵味方



入り乱れて



死闘を繰り広げ、



戦っている者が



力尽きて倒れると



新手の戦闘要員が



サッ



と前に出て来る。



後ろから



押し寄せて来る



元気な要員を叩けば



戦力を



そぐことが



出来るのではないか。



すぐさま



プルサムは



後方に



待機させていた



投石隊に



合図を送った。



味方に当たらないように



距離を



テレパシーで送る。



投石器は



太い原木を組んだ土台に、



丸太を放射状に



組み合わせた



横幅のある



輪になっている。



それはまるで



水車のようだ。



その輪の土台の横に



手回しのハンドルが



付いている。



狐達は



そのハンドルに



取り付けてある



取っ手を掴んで



回し始めた。



ギリリ、



ギリリ、



ギリリ、



音からすると



ゼンマイを



巻いているのだろう。



輪の外周には



それぞれの



丸太の頭が



輪の幅に並んで



歯車のような形に



突き出ている。



こんな物で



何をしようというのか。



無踏は



興味を惹かれて



見ていた。



ゼンマイが



長くて



強力なのだろうか。



巻くのに時間がかかったが、



狐達は巻き終えると



床下から出ている



角材の



ブレーキレバーを



動かした。



丸太の輪が



ゆっくり



回転を始めた。



そして、



もうひとつの



木のレバーを



次々



動かして



歯車を切り替えている。



回転が



ドンドン



上がって、



終いには



ブンブン



唸りを上げる速さになった。



プルサムは



ここだという



頃合いを見計らうと



「打て」



テレパシーで



号令をかけた。



すると



上空に



静止していた



さつま芋のような形の



雲の中から



大きい石が



連続して



輪の外周の



突起めがけて



落下し始めた。



カーン、



カーン、



カーン、



ゴツゴツ



した石が



突起している



丸太の頭に



当たって



次々



空を飛んで、



敵の中へ



ドカン、



ドカン



落下して行く。



無踏は



高い枝から



吊り下げられたまま



投石器から



打ち出される石を



見ていたが、



ふと、



わざわざ



器械で打ち出さなくても、



敵の上空で



雲から



直接落とせば



手間が省けて



いいんじゃないのか



とも思った。



敵軍は



蜂の巣を



突っついたような



騒ぎになった。



しかし、



しばらくすると



すぐに



馴れてしまって



大石が飛んで来ると、



落下地点を



予測して



即座に



避けてしまう。



「ふん、



こんなへなちょこ玉なんか



当たりゃしねえや。」



ヒラリ、



ヒラリ



と簡単に



石を交わしてしまう。



暗光狐は



暗く



鋭い冷酷な目に、



なめきった光りを



滲ませ、



歪めた口で



嘲笑った。



敵を倒すのは



なかなか大変だ。



しかし



だんだんと石の量が増え、



大きな石が



雨あられのように



降って来るように



なって来た。



不敵に



嘲笑っていた



敵の狐達も



笑いが消え、



顔色が無くなって



必死に



逃げ惑いだした。



なるほど、



無踏は感心した。



投石器を使うと、



どこへ飛んで行くか



分からないし、



落ちる場所を



ばらつかせることが



出来るのだ。



それに



調節すれば



飛ばす石の量も



相手の



状況次第で



変化させることも



出来ると



いうことだ。



よく



出来ているものだと



無踏は感嘆して



投石器を



眺めていた。



その途端、



ドガーン、



先ほどから



一段と



偉そうに



馬鹿にして



虚勢を張っていた



暗光狐の頭が



でかい石になったのかと



思うほど



一瞬だった。



頭が



大きな



石の直撃で



地面にめり込んで、



ピン



と手足が硬直して



突っ張ったままの



胴体が逆さまに



突っ立っていた。



うわーっ、



周辺の狐達は



慌てふためいて



飛び退き



逃げ回った。



一方、



伸びて行く



蜘蛛の糸の



先端が



何かに



阻まれて



止まった。



そこが



バリヤーの壁



なのだろう。



先端の



光りの珠が



透明な壁に



プツリ



と食い込んだ。



すると



粘膜の珠から



壁の中へ



バチバチ



音を立てて



強い



光りのエネルギーが



放出された。



それが



稲妻となって



バリヤー



の表面を



這って行く。



今まで



見えなかった形が



稲妻によって



砦全体を



覆っている



饅頭のような



ドームとなって



浮かび上がった。



しかし



反応が



あるのかないのか、



うんでもなければ



すんでもない。



びくともしない。



相当強力な



エネルギーの持ち主が



結界を張ったのだろう。



すると



蜘蛛は



次々



糸を伸ばして



バリヤーの



上から下まで



数十本の糸を



食い込ませた。



そして



先端の珠から



いっせいに



エネルギーを



放出させた。



さすがに



反応の鈍く見えていた壁が



ビリビリ



と振動し始め、



そのうち



稲妻で



埋め尽くされた



バリヤーの壁



全体が揺れ出した。



しばらく



ビリビリ



していたものが



段々と



大きくなって、



まるで



ブリンが



揺すられたときのように



ブルン、ブルン



と波打っている。



振動が



どんどん



酷くなる。



バリヤーは



意志を



持っているかのように



破られまいと



必死に抵抗する。



バリバリバリ、



稲妻が



怒りの音を



立てて



プリンを破壊しようと



躍起になって



挑んで行く。



攻めと守りの



せめぎあいだ。



無踏の体にも



強烈な



電圧がかかって



耐えられないほどの



感電の痺れと硬直で、



あーっ



と口を開いて



白眼を剥いたまま



固まった。



いつまで



この痺れが



続くのだ。



早く終わってくれ。



無踏は



グラグラ



目を回しながら



祈る思いで耐えていた。

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