↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
124/136

第124話 憎しみの波動

イタチは自分を見下ろしているアブブ太閤の顔を



ジーッと見つめた。



太閤も空中に浮いている大狐に跨(また)がって



イタチの顔を睨(にら)んでいる。



そして怒(いか)っているのか、



時折(ときおり)その目の周辺からから頭のてっぺんに向かって



赤く小さい稲妻(いなづま)が



網(あみ)の目のようにバチバチッとショートする。



そのたびに兜(かぶと)の頂上から突き出ている髷(まげ)が



チリチリッと焦(こ)げて黒い煙(けむ)りが立ち上(のぼ)る。



すると太閤の体がうわっと驚いたように反応する。



笑い上戸(じょうご)のイタチはそれを見ると



顔を真っ赤にして笑いをこらえていたが、



我慢しきれずに「ぶっ」と吹き出すと



もう馬鹿笑いが止まらなくなってしまった。



腹を抱えて息も出来ないほどだ。



途端に太閤はカーッと怒りが爆発した。



イタチにナメられたと思った。



「おのれー。わしをバカにしおって。



クッソー、八つ裂きして擦(す)り潰(つぶ)して、



抹殺(まっさつ)してくれるー。」



太閤は怒りで殺気(さっき)に満ちた目から



強烈な稲妻が光ると頭全体に放電した。



バチバチバチッ、



弾(はじ)ける音とともに、ボッと髷(まげ)に火がついて燃え上がった。



「アチチチッ」



太閤は熱さと苦しさで



頭を兜(かぶと)の上から掻(か)きむしった。



イタチは太閤が酷(ひど)く間抜けに見えた。



そうなるといっそう笑いがひどくなって



涙を流しながら体を折り曲げて



バッタンバッタン転(ころ)げまわった。



それを見た太閤はますます激怒すると、



頭がバチバチショートして



熱さと痛みに身をよじりながら上げた手を振り下ろした。



ブォー、ブォー、ブォー、ほら貝が鳴った。



ザーッと狐の大群が動いて



瞬く間にイタチを取り囲み、



武器を向けて構(かま)えた。



大群の真ん中にぽつんとただ一人囲まれて、



意地の悪い冷酷な目をした狐達が



いまにも飛び掛(か)かろうとしている。



「これは逃げることが出来ないな。」



イタチはやっと馬鹿笑いをやめて油断なく周辺に気を配った。



「こりゃあ絶体絶命だ。」



イタチはことの重大さを思った。



怒りに燃えたアブブ太閤は容赦(ようしゃ)なく、



再(ふたた)び手を上げると



憎々(にくにく)しげに振り下ろした。



ブオー、ブオー、ブオー、



またホラ貝の音が鳴り響くと



狐達が一斉(いっせい)に構えた武器で



迷いもなく斬(き)りかかって来た。



「うわっ、あぶない、あぶない。」



イタチは体をくねらせるように回転してそれをかわした。



しかし狐軍団は次々攻撃して来て



休む暇(ひま)を与えない。



それでもイタチは激しい攻撃をかわしながら



不意に反撃に転じたりしていたが、



もう一方で自分に向けられている強い憎しみの圧迫を感じていた。



それはどこかで感じたことのある波動だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。