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第101話 危険な場所

飯山は絶体絶命のピンチに陥ってしまった。



「どうなってんだ。やっぱり危険な奴だ。



こんなのばっかりじゃねえか。



ここにはまともなのはいねえのか。



嫌なとこへ来ちまったな。



どうすんだよ。」



飯山の不安と恐怖は否応なく高まって、



そのストレスで



霊体の頭から腹にかけての部分が



真っ黒になってしまった。



体の具合が悪い。



おまけにこっちの動きを読まれている。



銃口を向けると相手は瞬間移動する。



飯山の心臓は鼓動が激しくなった。



動こうと思うと、



その方向へ槍先が先回りする。



少しづつ後ろへ下がりながら、



逃げる方法を探っていたが、



ふっ、と後ろに気をとられた瞬間、



相手がバッと踏み込んだ。



同時に槍の刃がビュッと



鋭く回転しながら襲って来た。



相手の動きは異常に速い。



先ほどは油断していたが、



動きの速さを実感したためか、



何とか相手の動きを見越して



反射的にたいをかわすことが出来た。



一突き目が脇腹をすれすれにかすめると、



すぐに次の槍の刃が飛んで来る。



それを慌てて後ろに跳びすさってかわした。



緊張のあまり体の動きが良くない。



次々に繰り出される鋭い攻撃に



なすすべもなく



逃げ惑うばかりだったが、



飯山は逃げながらうまい具合に大木を見つけ、



サッとその陰に隠れて、それを盾にした。



この男のように槍を回転させながら突くと



刺さったときに傷口が広がって



ダメージが大きくなるのだ。



そんなもので刺されたら大変なことになる。



数々の実戦をくぐりぬけて来た猛者もさなのだろう。



いままで飯山は相手を観察する余裕もなかったが、



隠れる場所を見つけ、



一息ついたためか、



あらためて木の陰から相手を見ることが出来た。



汚れた木綿の白い筒袖、



襟を前で合わせて、



その上に革の胴あてを着けていた。



昔の山賊か何かなのか。



髪の毛は頭頂あたりで束ねて



細長くまげに結い上げてある。



相手はしばらく動きを止めて身構えていたが、



やおら木を回り込もうと



飯山から見て左方向に移動した。



次の瞬間素早く右にフェイントをかけて来た。



瞬間移動だ。



飯山は相手に動きを読まれないように



考えを止めていたが、



今だ、



瞬間移動で止まったと同時に



木の陰から飯山が撃った。



バッと



槍男のまげ



血飛沫ちしぶきとともに飛び散って



頭頂部分が砕け、



バックリと頭蓋骨に穴が開いた。



途端に大量の血があふれて流れだし、



瞬く間に全身血だらけになって、



体がグラグラッとふらつき、



倒れそうになっている。



顔面は蒼白、白眼が空をにらんで、



立っているのもやっとのようだ。



「やった-。」



飯山は思わず叫んだ。



即座に大木の陰から飛び出して



拳銃を両手で構えると腰を落とし、



とどめの一発を発射しようと



狙いを定めて引金をひいた。



すると突然、



いままで白眼をむいていた男が



ハッと目を見開いたかと思うと



持っている槍を目にも止まらぬ早さで投げつけた。



引金が早いか、槍が速いか、



一瞬の出来事だった。

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