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神高争乱編Ⅰ

4月25日。月曜日。入学式から約2週間。

二年普通科、初授業『実践形式訓練(1vs1)』。


この授業は唯一戦闘科と合同で行われる。その為雰囲気はかなり険悪だ。

それも対戦相手は全くのランダムで抽選される。


つまり、戦闘科にとってこの授業は普通科との格差を広げるにうってつけのイベントと言う訳だ。


「よお銅ぇ」

普段と相変わらず一人の銅の下に、彼らは現れる。

「・・・」

佐藤琢磨と、その御一行。

「相変わらず黙殺かましてんなぁおい」

何故わざわざ自分の所に来て絡んでくるのかが全く以って理解できない銅。

「普通科のお前が俺ら戦闘科の足元にも及ばない事思い知らせてやるよ」

銅は尚も目すら合わせない。

「せいぜい期待してろ」

捨て台詞の如く吐き捨てた言葉と共に自分たちの陣営に戻っていく三名。

ランダムに抽選される対戦相手。だが彼は銅と当たる事を前提に話していた。

きっと何かしらの細工を施し銅と当たるようにしたのだろう。

銅はやれやれといった感じで目を瞑る。



場所は総合体育館。全校生徒1500人前後を容易に収容できるだけの広さがあり、”衝撃に強い”。

理由は言うまでもない。


「全生徒集合整列」

実践訓練を監督する先生が総合体育館二階放送室より命令を下す。

「2-H日直号令」

「気を付け、礼、お願いします」


「今日、普通科の生徒は初めて実践訓練に参加する訳だが、戦闘科は君等に手加減はしない。我々としてもそれは許さない。今から言う事を肝に銘じてくれ。・・・これは”殺し合い”だ」

先生はそう言い放つ。

殺し合い。能力者同士の殺し合い。【オズ】と言う兵器に対抗するために造られた人間兵器が殺し合う。核にすら対抗しうる力をぶつけ合う事の意味。

これは疑似的に造り上げた一種の”戦争”である。


「それでは今からマッチングに入る。どんな”敵”でも怯むな。特に普通科生徒。たかが授業と高を括ってると痛い目みるぞ」



体育館正面にスクリーンが現れ、そこに8つの円盤型をしたものが映し出される。

円盤内に線が入り、16等分された所に名前が刻まれる。

このルーレット方式でペアを選ぶようだ。

「それでは始める」


掛け声と共にルーレット内を二つの光が走る。

光が止まった名前同士で戦闘を開始する。きっと佐藤はここに細工をしたんだろう。

デジタルだ、少し知識があれば軽く弄る事など容易い。教師側がわざわざ不正かどうか調べる筈もない。選出された敵が故意であっても敵は敵。成すことは変わらないと言う訳だ。


回り始めて10秒足らずでそれぞれのルーレットが止まる。

どうやら銅は一回戦目では無い様だ。


「決まったな・・・。それでは所定の位置につけ。只今より60秒後、最大5分間の戦闘を開始する。ルールは単純、相手を行動不能にする、枠外へ押し出す、時間終了後ダメージの浅い方の勝利。『殺してもいいが体が消える』攻撃は禁止。以上だ」

説明を終え、マイクが切れる音が響き、体育館内は静まる。


普通科生徒は戦慄していた。

先生は今「殺していい」と言った。先程肝に銘じた『殺し合い』はあくまでもフリだと誰もが思っていたからだ。

しかし実際に殺してもいいという許可が下りた。国が信頼する教育機関の人間が殺してもいいと、まだ自制心の伴っていない子供に言い放った。

最初に選ばれてしまった普通科生徒に表情は無かった。

皆急激に老けたかのように白くなり、恐怖の為体が震え、目の前の戦闘科さつりくへいきの顔はまさに鬼の形相といったところだ。

それを見て銅は恐怖に震えるでも驚き腰を抜かすでもなく、素直に、ただ単純に感激していた。


とてもいい。素晴らしい教育法だ。と。



3・・・2・・・1・・・。


「戦闘開始」


ブー!とブザーが鳴り、スクリーンに戦闘開始の文字が表示される。

同時、爆発音やら硝煙やらが一気に体育館内を支配する。








開始30秒。

5ペア戦闘終了。




死者3名。

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