第一話
取り敢えず、コピーをとってプロローグより後を書き直していこうと思います。
改稿しても相変わらずの短さです^_^;
ラングシールの第一王位継承者は、美しい容姿だった。銀色の髪に深い青紫の瞳。
だからこそ、他国の人間はことさら不思議だった。
何故、あの様な美しい王女が周りの人間に愛されず、恐れられ、敬愛を捧げられるのでなく、忌避されているのか、と。
☆
「お前に護衛を付ける」
父である国王陛下に呼ばれ、部屋に向かった途端これだ。
私だけを呼ぶなんて、天変地異が起こりそうなくらい珍しい。姉上や兄上、妹、弟と一緒に呼ばれるのはよくあるのだけど。
だって私は、魔法が使えない、から。
兄妹は皆使えるのに。
そんな私に護衛をつける?
驚きすぎて笑いそうになった。でもそこは曲がりなりにも王族、堪えることはできた。いくら部屋にいるのが三人だとしても、淑女には色々とあるのだ。
「何故私にこんなご命令を?」
「王族だからだ」
王族、しかも第一王位継承者が護衛一人つけていないことの方が本来異常なのだ。だけど、何故今更。
「男爵家の長男 ノア・セルジオン。この男がそなたの護衛となる」
「...…わかりました。ありがとうございます」
陛下の隣に立つ体格のいい男の方をチラリと見る。
正直、全くありがたみなんてものはないのだけど、陛下の命令は絶対なのだから仕方がない。
「もういいぞ」
自分から呼び出しておいて放り出すなんて相変わらずだ。
それにしても、彼の父親は何をしているのだろう。長男、しかも一人息子をこんな王女の護衛にしてもいいのだろうか。折角この場に四人目としているのだから口出しだって簡単だろうに。
☆
自室に戻っている途中、不意にたくさんの視線を感じることに気づいた。
いつも視線を感じる私だが、いつもはこんな好意的な視線じゃない。
忌避、畏れ、敵意、いろんな負の感情を籠められた視線。
疑問に思い、周りを見回した結果、原因は付いてきていた護衛となった男だと判明。
この男、容姿も良かったのか。
さらさらの髪は漆黒で、目も髪と同じ色。目鼻立ちも整っていて、要するに、凄くかっこいい。私も一瞬見とれてしまった。
よく考えたら、こちらを見ているのはほとんどが貴婦人方だ。
というか、こんな容姿端麗、文武両道、家柄も宮廷に入れるぐらいはあって_______
私とは違って魔法も使える。幻影騎士と呼ばれる、珍しい魔法を使える男。
そんな男を何故私なんかの護衛に?
親の命令だとしても、普通他の兄妹の護衛させた方が得だと考えそうだけど。
そんな感じで考えにふけっていたので、不意に降ってきた人ならざるモノの声に声を荒げてしまうのも仕方がなかった。
「あわよくば、お前と結婚させて王位を奪おう、とか考えてんじゃね?」
「なんで心読んでるのよ!」
一斉に皆の視線が私の方に集まる。目の前の男も軽く目を見開いている。やってしまった_____と後悔してからでは遅い。
「あれが殿下の……」
「不吉だ……」
「だから、霊感王女と呼ばれているのか.........」
周りの人たちの囁き声。本人に筒抜けなのだが、関わりなんてないのだから別にいい。
だけどこの男は別。
陛下直々の命令だから、護衛を拒否するのは無理なのだ。となると、この空気のまま一緒にいることになる可能性だってある。
結論。
この空気だけは、絶対に避ける。
話すしか、ない。
というわけで、少し固まったままだった男を自室に引っ張ってった。周りからの耳目を先程よりも集めてしまったのはいうまでもない。
☆
「何二人して黙り込んでんの。」
元凶は貴方だから!男の形をした死神に叫びたいのをぐっと抑える。同じ失敗を繰り返したくはない。
そう、連れてったのは良かった。けど、ここまで沈黙が続くとは。沈黙が痛い。
自室に引っ張ってってから、早二十分。話を始めることができず、ずっと扉の前で突っ立ったままという有様。
「この状況、他者から見たらむっちゃ不気味」
「貴方の所為よ!」
しかしずっと話しかけられ続け、ついにやってしまった。声に応えてしまった。
でも、結果的に良かったのかもしれない。
「……誰かいらしているのでしょうか?」
やっと、話を進めることができそうだ。
認めるのは癪だけど、結果的に話しかけてきたのは功を奏したのだと思う。