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魔法のある学生の日常 その5

「みんなまたせたわね」

「ふぅ……あ、エスターテ先生こんばんは」


部活動の時間がそろそろ終わりかけた頃にエスターテが部屋にやってきた。

そろそろ下校時間なので、四人とも帰宅の準備をしていた。

結局あの後アルフは三回くらいセイカの操るカカシに挑んだが、結局先の一回含めて四回中、一回しか一本を取ることが出来なかった。

カカシは防御に専念することしか出来ないため、実力でセイカが上回っているわけではないのだが。


「なんとか十二秒までなら維持出来ましたね」

「ああ、これを実際に魔法に実用できればいいんだよな」

「あら、魔力の維持の練習してたのかしら。これは宿題の成果にも期待ね」


シモンの魔力の調整はそれなりに進歩があったようだ。その事実が更にアルフに溜息をつかせる。

そのままエスターテが全員を席につかせて、軽い打ち合わせを始めた。


「試験の日程は以前話したとおりですが、正確な対戦相手が決まりました。……とはいっても当日になるまで詳細は私達にはわからないんですが、相手が魔王候補だということが決まりました」


アルフの両親であるピルクとフアラが既に対戦チームが魔王ヴェインの息子が率いる魔軍チームであることを聞いているのだがピルク達の頭からは直後の「遊ぼうぜ」発言のせいですっかり抜け落ちている。

ともかく、その言葉を聞いた時は全員息を飲む。

なにせ、以前試験の見学をした時にに自分と同じくらいの年齢の魔王候補率いる魔軍が相手のチームを一気に崩壊させて圧勝したのを見ているからだ。

もっともその魔王候補は試験合格して魔王に昇格しているので、今のアルフ達と対戦することはないのだが。


「というわけであらかじめ魔軍チーム戦に向けて一応復習しておくように」

「「「「はい」」」」


全員挨拶をして帰ろうとした時、アルフだけエスターテに呼び止められた。どうやら一人だけ暗い顔していたのがバレたらしい。


「練習捗らないみたいね。魔法学はいつもいい感じだから、やはり武器のほうかしら?」

「ええ、正直みんなの成長に追い付いていないというか……」

「言いにくいことだけどね、やはりあなたには武術のセンスはないと思うわ。魔法はむしろ秀才レベル。ピルク……お父さんも戦闘センスがあれば戦える生活魔道士ライフスタイルとしてもやっていけそうな位魔力や魔法の扱いは上手かったから、戦闘センス自体はあるあなたは魔法に特化にすればかなりやっていけると思うの」

「それだと、チームのバランスが……」

「たしかにそうだけどそれでも「星力レベル」の低いあなたの今の戦闘スタイルはとても負担がかかるわ」


魔力を有して戦う幻世アトレイユ由来の戦い方は実際、相手を攻撃しようとする意思があるなら武器をを振っただけでも魔力が消費される。消費された魔力は空気中に放出されるため、ある程度なら再び回収可能だが、隙あらば魔法を発動するために常に魔力を展開するアルフの戦闘スタイルでは回収は難しい。

もっとも、だからと言ってこの戦術が弱いわけではなく「星力レベル」が上がることによる魔力そのもののストックの増幅によって常に魔力吸収を意識できるからこそ魔力吸収力が高まり、逆に相手の魔力を吸収可能の領域までたどり着けるという。

魔法を常に扱うことで放出・吸収する魔力の質も良くなり、振るった武器のダメージもその後放つ魔法の威力も高まるという非常に攻撃的なスタイルへと昇華する可能性もある。

だが、特別魔力の多いわけでもないアルフの状態では魔力の息切れを起こしやすい。

カードゲームに例えるなら後攻で手札が4枚だけ、さらに山札が一枚だけの状態で戦いを始めるようなものだ。それだけ勝負を決められるなら話は別だが現実は妨害などもあろう。


「今までの剣の腕前なら護身程度ならいけるし、「星力レベル」が高まれば今の戦闘スタイルも出来るようになるし……無理をする必要はないわ」

「でも僕はこのスタイルがいいと思っているんです、それに使い始めた頃は先生もいいって言ってくれたじゃないですか」

「そうね、たしかに言ったけどそれはあなたの才能を見誤ってたから……」

「とにかく、僕は今回はこれで行きます。負けたらどうかわかりませんが、僕はこれで勝ちますから」

「落ちたか受かったかじゃなくて負けたらね……わかったわ。チャンスは今回限りよ」

「ありがとうございます」


これ以上拘束する訳にはいかないとアルフを帰したエスターテはため息をつく。


「頑固さは、ある意味親譲りね……」

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