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魔法のある学生の日常 その4

そしてあるものは帰宅し、あるものは部活動を行う放課後。

アルフ達は校舎から少し離れた場所にある部活棟と呼ばれる場所に向かった。

この部活棟は元々は旧校舎であり、世界がつながって正式に幻世人アトレイユを受け入れることになった時に新たに校舎を建てることが決まったために旧校舎を部活棟に改修したのだ。

部活棟といいながらも勇者チーム候補が学校に許可をもらってミーティング用に一室を借りたりしている場合が多く実際の部活動用の部室は体育館の中やグラウンドの隅にあったりする場合が多い。

アルフ達もここに一部屋借りて活動している場合が多い。事務所から鍵を借り、自分たちに割り当てられた部屋に向かう。


「失礼しまーす。って誰か居るわけ無いけどな、鍵かかってたし」

「エスターテ先生は他のチームの監督に行ったみたいだけど……昨日、練習メニューは渡されなかったな。帰りは僕の家に直接向かったし」


エスターテはアルフ達のチーム以外にもこの学校で結成された他のチームのいくつかの監督もしている。

大体の練習メニューはエスターテが組んでいるが、それが無い日もあった。


「じゃあ、シモンは魔力調整の練習かな……」

「俺かよ、まぁ宿題出ているの俺だけだしな、でも誰か相手しないと捗らないぜ」

「じゃあ私がシモン君のアシストにつきます」

「アルフはカカシ相手に剣の稽古してみたら……?」

「そうだね、じゃあ僕はカカシ相手に稽古でもしてみるよ。セイカ、アシストお願い」

「……わかった」


そういって各自、練習にとりかかった。

シモンとユズは部屋にある棚から、スライム状の何かを取り出す。

これはある程度の魔力を吸って一時的に大きくなる一種の魔具マジックアイテムであり、感覚としてはおもちゃに近い。

魔力を吸い過ぎると破裂してしまうが、あらかじめ吸った魔力で再生する仕組みで物理的衝撃を与えなければ壊れない仕組みになっている。

この魔具マジックアイテムに魔力を送るにはそこまで離れていなれば、念じることで送ることが出来る。

これを机の上において早速使用することにした。


「ん……こんな物か?」

「少し小さいです、もっと大きく……きゃあ!」


この魔具マジックアイテムをある程度大きくさせて、その大きさを維持するというものだがシモンの魔力を込めすぎて破裂してしまった。

しかし直ぐに再生し、再チャレンジすることにする。


「ふん、はぁ、せいや!」


アルフは部屋に置かれたカカシに刃を丸めた剣を叩き込んでいる。

しかしカカシはそれを腕や手に持った棒で受け止めて弾き返している。


「アルフ、動きが単調で読めちゃう。もっと鋭く振り込まないと私でも防御できちゃう」

「これでも割と本気で踏み込んでいるんだけど……ね!!」


ゴーグルのようなものを付けたセイカがアルフの剣撃にダメ出ししている。

ゴーグルにはコードらしきものがついていて、そのコードはカカシにつながっている。

カカシにはアイカメラがあり、それがゴーグルとリンクしてセイカに視覚情報を与えあとはセイカの考えたとおりにカカシが動いてアルフの攻撃を防いでいるのだ。

アルフの基本戦闘スタイルは利き腕である右手で武器を持って、武器による連続攻撃や相手のガード崩しを行い、隙を見てに左手に展開してた魔力を使って魔法を使って攻撃するというもの。

だが、その戦術は武術、魔法共に生半可ならば成立し得ないものであり戦闘の経験を積んでいるものには対策されてしまう可能性の高い戦術である。

アルフの魔法は年の割には申し分ない。そのため今回は魔法の使用を禁止して武術の方面を強化する方向で鍛えているのだ。使用武器が定まっていないアルフは今回剣を使っている。


「こうなったら……はぁ!」


アルフの剣撃の速度が早くなる。早い振り上げから素早く振り下ろしに切り替え、動作の感覚を狂わせた。

振り下ろしを両腕をクロスすることで受け止めたカカシだが、アルフはそこから素早く身を引き、開いた銅に突きを放つ。

だが、その瞬間カカシの左腕が横に振り降ろされ剣が弾かれ、金属音を立てて床に落ちた。見切られていたようだ。

剣を弾かれたアルフの右手はしびれており、すぐには立ち直れなかった。


「つぅ……いい案だと思ったんだけど。あの振り下ろしの勢いを殺すには両腕を使うだろうから、それで視界を隠すと思ったのに」

「普段なら魔法を使ってくるタイミングだから隙を狙っていると思った。銃士ガンナーの眼力を舐めないでね」

「ん……やはりフワリさんに教わったくらいじゃ剣術は身につかないかな……かとあの怖い剣道部の先生に教わるのもなぁ」


アルフの剣術はほとんど独学で、親や周りの大人が多少なり剣術の心得があったのを教えてもらいそれを活かした剣技をつかっているのだがやはり本格的に習っているものに比べると動きや威力が甘い。

戦えないピルクやフアラが剣術を使えるというと違和感があるかも知れないが、要は魚や肉、草などを捌く技術である。

もちろん、それらも獣系や植物系等の敵と戦う際には役に立つ技術だ。

そういった技術をうまく吸収する人間、才能の割り振りに特化したエルフの両方の血を持っているアルフだからこそ、そこそこの動きができるのであるが。


「そういえば師匠、今アルフの家に来てるんだっけ」

「うん、とはいっても今の時間……夕方は仕事帰りで寝ているけどね。起きているのは夕飯の時間辺りかな」

「そっか、久しぶりに拳術の稽古つけてもらいたかったんだけど」

「ほら、集中して!今いいところだったんだから」


剣が弾かれた音を聞いてアルフたちの方を振り向いたシモンが途中で口を挟んできたが、直ぐに魔力調整の練習に戻る。

フワリは「影殺しの拳刀士」と呼ばれているが、これが彼女のメイン武器が拳術、すなわち格闘攻撃だからである。それに小刀などを使った多少の剣術を組み合わせている。

幼き日のアルフとシモンはフワリに拳術や剣術を習っており、とくにシモンは影響を特に受けてフワリを師匠と呼んでいる。

手の痺れを治したアルフは床に落ちた剣を拾い、再びカカシに向かって斬りかかった。

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