第一章 6
やっと一時帰還を使いました。
はぁ!はぁ!やっと帰り着いたぁぁ!!俺の貞操は守られたぞ!
「あら?ヤシロさんお帰りなさい、どうしたんですか?息を切らしたりして」
「イム!やったぞ!俺は!俺は自分の貞操を守る事が出来たんだ!!」
「ふぇ?て、貞操って何ですか?」
「なぬ!?貞操が通じない.....だと?」
胸ポケットは通じるのに貞操が通じないとは.....。
「あ、いや...何でもないです。忘れてください」
「?........よくわかりませんが、わかりました。そんな事より......」
ん.....イムがジロジロと俺の格好を見てくるぞ...変かな?俺としてはこの服気に入ってるんだけど....あ、やめてそんな舐め回す様に見ないで....あ、目があった.....必殺イケメン!スマイル!ニ.....ニコリ
.........顔を真っ赤にして他所を向いてしまった...俺のイケメンスマイルって駄目?ひょっとして引き攣ってる?
「そ、そのイム?どうかした?」
「......です」
「.............?」
「とってもかっこいいです.....」
「え、あ....そのありがとう」
ちょいちょい、そんな行き成り顔を真っ赤にしてカッコイイ何て言われたら照れちゃうじゃないか.....。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
......沈黙が辛い。
「うぉーいヤシローなんでそんなに急いで帰るんだよ」
イムのお父さん!いや!トーイ!良い所で帰って来た!初めて役に立ったな褒めてやる。
「ん?イムの顔が真っ赤だが......ヤシロ?お前イムに何かしたか?」
「....................」
「おいおい、なぜ無言のままソッポを向くんだ?何かしたと判断して殺しちゃうぜ?」
「!?何もしてないす!」
「ホントか?」
「ホントです.......」
やべ...やべ....トーイが下から俺の顔を覗いてくる....ヤンキーとかが良くやる奴だ.....トーイの後ろに(あーん?)って文字が浮かんで見えるんだけど...気のせいだよね、これゴシゴシ、よし、一先ず.....逃げよ。
「あ!俺ちょっと用事思い出しました!それじゃ!」シュタ
「あ!コラ!待ちやがれ!ヤシロォオオオオオオオオオオオオオ!」
「ヤシロさん!?どこに行くんですか!!」
「ちょっと用事済ませてくるだけだからーーーーーーーー」
俺は村から出て森の方に逃げた.......。
-------------------
---------------------
よし、ここまで来れば大丈夫だな.....ちょうど周りに人居ないし....一時帰還を試してみようかな?
脳内さん脳内さん一時帰還ってどうやって使うんですか?
---んぁ....あ、はい一時帰還ですね---
今寝てた!絶対こいつ寝てた!
---一時帰還の使い方は。まず自身のステータスを表示してください、表示しましたら一時帰還を一度指で押してください、すると一時帰還の隣に(年齢??)が出るはずです。年齢を設定しましたら確認ボタンが出るはずです。確認ボタンを押すと同時に地球に一時帰還します。帰還地点は現在地球の日本に設定されています---
了解!えーと....これをこうして...あーしてそうして........よし、この確認ボタンを押せばいいんだよね、ポチ。
確認ボタンを押した瞬間、地球に居た..........え、ちょ。もっとこうワープします!とか最初に異世界転移したみたいに光の道を潜るとかないわけ!?............てか、ここ........地元やん!実家のすぐ側じゃん!
『先日居眠り運転のトラックに跳ねられました神木 社さんの通夜が今日執り行われました。警察の調べによると神木さんは誰かを助ける為に居眠り運転中のトラックと接触したと思われます。現在その誰かを捜索中です-----』
俺の事やん....俺の通夜今日なのね......親父...御袋ごめん、俺元気にしてるから.....そのうち会いに行けたら会いに行くね......ごめん。
-----------------
-----------------
俺は転移した場所から移動して、今は公園のベンチに座っている....そして、一つ一つ大事な事なんだが、地球でも能力使えるの....かな?ステータス!
名前:神木 社
種族:人間(1)
レベル:5
HP 12150/12150
MP 29160/29160
ATK 3645
DEF 4860
INT 13365
AGL 9720
LUK 999
スキル:『アイテムボックス』『一時帰還』『超鑑定』『超隠蔽』『打撃耐性(Lv1)』
固有スキル:『全知全能』
一時帰還残り時間/23分
どうやら、使えるようです.....と、言っても地球で使えそうな-------ん!?残り時間が表示されてる!後23分しかないの!?どうしよう、どうしよう!.......よし、コンビニ行こ。
.........。そう言えば俺お金持ってなくね?何も買い物出来なくね?どうすんの、これ.........よし大道芸しよう。
-------------------
-------------------
「さぁー!よってらっしゃい!見てらっしゃい!異世界の奇術師ロシャの世紀の大魔術!面白いと思ったらどうかお客様方の前に置かれている箱にコレを入れてください、コレですよ?コレ」
頑張って客引きしたけど10人しか集まりませんでした....でも、その10人のお客さんは今クスクスと少しだけ笑ってくれている、最初の掴みは大丈夫そうだな....さて、やったりますか!
ちなみに俺が今からやる大道芸...もといいマジックショーはアイテムボックスを使った奴だ。
「それでは、まずお客様の何方からか.......あ!そこの赤い服と黒い帽子のお兄さん!!そうです貴方です!その帽子少し借りてもいいですか?」
「え、え?俺か?べ、別にいいけどよ、破かないでくれよ?」
「はい!大事に使いますよ~大事に使うので------」
俺は帽子を無理やり胸ポケットに詰め込む------様に見せた、帽子は胸ポケットにしまう瞬間アイテムボックスにしまった、なので胸ポケットの中には帽子は入っていない。
「ちょ!そんな小さいポケットに俺の帽子詰めたら形が変わってしま.....ん?」
帽子のお兄さんは自分の帽子が入っているはずの俺の胸ポケットを「あれ?」っと言う風に見ていた、それもそのはず....帽子が無理やり入っているなら、胸ポケットはパンパンに膨れているはずだ、そのはずだ.....だが実際は胸ポケットはまっ平らなのだ。
「あれ?確かに俺の帽子をそのポケットに入れたよな?あれ?」
お客さん達も違和感を感じたらしくザワザワしだした.....よし、チャンスは今だな。
「帽子ならここにありますよ」
俺は自分の頭上を指さして言う。
「.....どこに俺の帽子がーーーーーー!?な、何でそこに」
胸ポケットにしまったと思わせた帽子は今俺の頭の上に乗っていた、お客さんの目が俺の胸ポケットに集中されてる間にアイテムボックスから帽子を取り出し被ったのだ。
「おー!すげぇーー!」
「すごいわね~さっきポケットに入れたと思ったのに」
「まだ若そうなのにたいしたもんだ!」
あ、ちなみに今回の年齢は20歳に設定しました、何かと便利そうだったので。
被っている帽子を取って、帽子のお兄さんにお礼を言って返した........さて次は何しようかな?.......そうだ、あれにしよう。
「えーと次はどなたか私に1000円札とライターを貸してくれませんか?」
「あ、俺ライターと1000円札持ってる」
「いいですか?」
「ど.....どうぞ」
「ありがとうございます、少し借りますね.......それでは次にお見せするのは世に奇妙な燃えない紙でございます」
「え!ちょ何してんの!?」
ライターと1000円札を貸してくれた人がビックリして声を出す、それもしかたないか....なにせ、今俺は1000円札の真下でライターの火をつけていますから。
「よく見てください」
「そんな事したら俺の1000円札がもえ....てない!?」
「どうですか?不思議でしょう?」
「す.......すげぇ」
「どうなってんだ?あれ水につけた様には見えないし....」
簡単に説明しよう。
1000円札の裏をアイテムボックスにしているのだ、だからライターの火の影響を受けていないのだ!ちなみに火が当たる部分だけをアイテムボックスにするのがコツです。
俺はライターの火を口で吹き消した、その後1000円札を高々と持ち上げ一切燃えてないアピールをした。
「「「おーーーー!」」」
拍手が起こったぜ!ムフーー!
ドヤ顔になりそうなのを抑え平静を装い1000円札とライターを貸してくれた人に返した。
--------------------------------
-------------------------------
----------------------------
-----------------------
俺は今.....確実にニヤケ顔になっているはずだ...自分でもわかる一生懸命笑いを堪えて居るが頬が上がってしまって居る.....なぜなら!なぜならば!!俺の前の箱には今お金が投げ込まれているからだ!!あ、1000円札貸し手くれた人が1000円札入れてくれた!あざっす!あざっす!
大道芸をやめてお客さんが全員去って行ったのを確認した後、箱の中身を確認した.......何と!今回の稼ぎは!5000円!!一人当たり500円ぐらい入れてくれたのかな.....ありがたやぁありがたやぁ。
ところでアレから何分たったのかな?ステーーーーー
---ヤシロ様、一時帰還の残り時間でしたらご自分の視界の一番右上にあるはずです---
まじっすか
---マジです---
........。あ、マジだ右上に集中してみたら残り時間が表示されてるわ....便利だわ、こりゃ。
えーと残り時間は.........12分!?あれから10分もたったのか!どうしよ!12分で何が出来んの!?コンビニ行くぐらいしか出来なくね?じゃ、とりあえずコンビニ行こ---------
「らっしゃせぇ~~~~」
店員の気のない挨拶に軽くお辞儀をして通り過ぎる.....。
さて、何を買おうかな?こう...異世界小説とかだと塩とか砂糖とか高く売れるらしいけど、コンビニで塩とか砂糖買うと高いんだよなぁ......とりあえず、自分のお菓子とジュースでいいかな?
次、来た時の為にも何円か残して起きたいしな~~じゃ、とりあえずポテチとオラオラジーナでいいかな?こっちのレロンジーナは微妙だからなぁ....オラオラジーナでいいや。
後は...........お?これとか異世界に良いんじゃね?よし、コレも買おう。
数点の商品を持ってレジに向かう------
「しゃーせぇ~~~」
「あ、はい、お願いします」
「~~が一点~~が一点~~が6点、全部で3730円でぇす」
クッ!以外と高くついてしまった!それにしてもこの店員....イラっとくるぜ!.......あ、そう言えば俺持ってるお金小銭ばっかりだわ、ごめんね店員さん......間違えんなよ-------
「あっざっした~~」
気が抜ける挨拶だな...ほんとに!まぁいいけど!たぶんもう来ないし!さてとー後何分あるかな~チラ
残り時間/2分
ふぁ!?後2分!?ちょ、俺コンビニに10分も居たの!?確かに、どれ買うかメチャクチャ迷ったけどさ!!そんなに居た!?マジデ?やべぇ!やべぇ!後2分で何でき.......やべぇえええええええ!
後2分で何が出来るか歩きながら考えていた時、ふっと目線を前に持って行くと、横断歩道を手を上げて渡る子供達が目に入った、それだけなら.....それだけなら.........なんなんだよ!またかよ!、そう横断歩道を渡っている子供達のすぐそこまで軽自動車が迫って居た、運転手の方を見てみると耳に携帯を当てたまま慌てた様に急ブレーキを踏んでいた.......。
「運転中の携帯電話はやめようねぇええええええええええええ!」
俺は能力をフルに使って走った、今の俺の能力値なら横断歩道を渡っている子供達3人を助ける事は出来る!うぉおおおおおおお!
全力で走り2人の子供を脇に抱え、もう一人の子供の服を口で噛み移動した、やはりと言うべきか子供がまるで衣類の様に軽いのだ、口に咥えた子でさえ重さを感じない、全員を横断歩道の先まで移動させる事に見事成功した!俺すっげぇ!
ちなみに、軽自動車は逃げた。
子供達を放し地面に優しく降ろしてあげた-----
「君達大丈夫だったかい!?怪我とかはなかったかい!?」
「は、はい、お、お兄さん助けてくれてありがとうございまし----!?あれ?お、お兄さん!?ねぇさっきまでここにお兄さん......居たよね?」
「うん....助けてくれたお兄さんどこ行ったんだろう.....」
「き....消えた?」
脳内にアラームが鳴り響いています。はい、時間切れのアラームです.....何というタイミングでしょうか!ひどい!せっかく人助けしてお礼言われるとこだったのに!!最初の子の「は、はい、お、お兄さんたすーーー」までしか聞こえなかったぞぉ!チクショオオオ!..........イムんとこに帰ろ.....。
俺は肩をガクっと落としトボトボとイムの家に向かった-------
門の見える位置まで帰ってきました.....はぁ............ん?あれはイムかな?どうやら、イムの様です....なんで門の側でウロウロしてるんだ?
「お~い、イムーどうかしたか~?」
俺が声をかけるとイムがパァァっと顔を明るくして、こちらに走ってきた-----ちなみに、今おれは門の外側に居る........イムはこちらに走って来ていたが門を潜ってしまい途中からスライムになってしまった、そしてそこからは一生懸命にピョンピョンと跳ねながら俺のとこまで来た.....やばい可愛い。
「ヤシロさん!どこ行ってたんですか!心配したんですよ!?」
「いやーごめんごめん、用事思い出しちゃってさーアハハハ」
怒った様に何度も上下に飛び跳ねるスライム....全然迫力がないです。
「用事って何ですか!心配したんですかね!」
「ごめんごめん。用事って言うのはこれだよ」
俺はコンビニで買った袋を前に出した。
「?.......何ですか?これ、見た事ない入れ物ですね.....」
「これはね~ん~何て言うんだろう?俺の故郷の入れ物って言えばいいのかな?」
「え........ヤシロさん故郷まで戻ってたんですか?30分そこらで?」
「あ、いや。ちょっと落としちゃってそれ探して来たの」
「そうなんですね、少しビックリしちゃいました、ヤシロさんの故郷がすぐ側なのかと思っちゃいましたよ」
「あはは、違うよ俺の故郷はもっともっと遠い場所だよ」
あっぶねぇ.....危うく異世界人です!って言うとこだった、まぁそのうち言おうかとは思ってるけどまだ....まだその時じゃない!
「いつか私もヤシロさんの故郷に行って見たいです」
「いいよ、いつかおいで」
「いいんですか!?」
「うん」
「やったーーーー!」
今度は喜んだ様に上下に跳ねる......違いがわからない。
「それより、早く門潜らない?イムもその体だと不便でしょ?」
「はい....」
「じゃ、はい」
「え.......?」
「.........?どうしたの?ほら、早く」
俺は手の甲を地面に付けイムが手の平に乗るのを待っているのだが...まさか分かってない?
「どうしたの?ほら、早く手の平に乗って」
「い!いいです!このぐらいの距離なら自分で帰れます!」
なぜか、怒った様にピョンピョンと跳ねて先に帰ってしまった.....遅いけど。
俺はイムが跳ねて帰って行く姿を見ながらオラオラジーナをゴクゴク飲んで後ろをついていく、そしてイムが門を潜るといつもの美しいイム人型バージョンが現れた。
うむ、スライムのイムとは別の可愛さがあるな!.......ハッ!良い事思いついた!!!これが上手く行けば俺のハーレム計画がさらに発展するぞ!これはイムの為でもあるし俺の為でもある、まぁ9割がた俺の為だけど......人型になってもなお俺の先を行っているイムに声をかける事にした。
「ねぇねぇイムー」
「なんですか......」
何か機嫌悪い....?まぁいいか
「この村に鍛冶屋ってある?」
「あります」
「どこらへんー?」
「今から行きますか.....?」
「是非!お願いします!」
「わかりました.....こっちです、ついてきてください」
よかった!鍛冶屋あるなら成功する確率がグンっと上がるぞ!待ってろよ俺のハーレム!
皆さん大道芸って見た事あります?私はこの間、火を食べるアレを見ました。アレですアレ