-葉 月-
急ぎ投稿致しましたので、誤字、脱字ご容赦ください。
美加ちゃんを通して繋がった二人ですが、その一方で悲しい思いをした人もいるようで…。
玄関のドアの前で大きな深呼吸を一つ。
そしてチャイムを押した。
「お帰りなさい、お母さん!」
飛び跳ねながらワタシの手を取る美加ちゃんと、微笑みながらワタシのボストンバッグを受け取る彼。
今日からここがワタシの家になる。
施設イチ情報魔の稲垣さんが私に向って歩いて来た。職員のプライバシーどころか、出入りの業者、通ってくるお年寄りの事まで全て知っていないと気が済まない。
情報魔なのは構わないけど、迷惑なのは「みたいよ~」って聞いた話が「ですってよ~」に変換される事。その上、最新情報の発信元は自分じゃないと面白くないってカンジだから、始末が悪い。
「ねえねえ、知ってる~?木根さん、彼女が出来たんですって‼」
来た‼
ねえねえ、知ってる~?攻撃。
誰がどの情報なら食い付いて来るかって言う勘だけは鋭くって、不意打ちしてくるから困る。
で?木根さんの最新情報のターゲットは、わ・た・し、ってわけ⁉
その手には乗らない!それでも、木根さんに彼女⁉うそ…
「そ~なんですか…」
気のない返事をする。でも気になる。聞きたいっ。
だって私、木根さんていいなって、ず~っと思っていたから…。
廻り廻ってきた話では、もうその彼女と暮らしていて、娘さんも「お母さん」て呼んでるって…。
最近ではどう見ても「手作り」ってお弁当を食べてるから間違いないねって…。
変に隠したり、言い訳したりしない木根さんの「潔さ」に魅かれていたから、木根さんらしいと言えば木根さんらしいけど…。でも…。
やっぱり、ショック大きい。
片想いは伝える事無く失恋は私の定番。またかってカンジに涙も出ない。
お昼。
リハビリや入浴サービスを終えたお年寄りの食事介助をしていると、稲垣さんがすれ違いざま私に言った。
「元気出してね~。失恋した位じゃ人生終わったりしないから~」
ここで言う事⁉私が木根さんの話に乗らなかった仕返し。
アンタのその口終わらせてよ(怒)
「あらあら、失恋しちゃったの~?それじゃ、辛いわよね~?」
食事の介助をしていた相田さんに言われた。
御年90歳になる相田さんは聡明なおばあちゃま。頭もハッキリしていて話をしていると、どっちが介護しているか分からなくなる。
「私の経験ではね~、新しい恋を見つけるのが一番の薬よ~」
こんな事をサラ~っと言ってしまうのが、相田さんらしい。
「そうだわ、うちの孫のケータイ教えてあげましょうね。いい子よ~。一度会って見て。きっと気に入るわよ。私のイチオシ。自慢の孫なの」
次の通所日、相田さんは№が書かれた紙を私に握らせた。
「私はね~、一枚の写真を渡されてお爺さんに嫁いだの。年寄りの紹介ってのも悪くないものよ~」
相田さんは細くなった目でウィンクして見せた。
9月の主人公は「むつみちゃん」です。
誤字脱字、「ここの文章、変!」なんてご指摘、有難くちょうだい致します。
宜しくお願いします




