第41話 魔道具窃盗事件(その1)
新作「誰か、前世が凄腕の機動兵器操縦者である私に平穏を!」が連載中です。
読んでください!
https://ncode.syosetu.com/n3758je/
同じくロボット物です!
「(仮題)異世界で死にかけた少年と入れ替わった独身アラフィフサラリーマン、スキルが『絶対無敵ロボ アポロンカイザー』だった」
https://ncode.syosetu.com/n2281iq/
「こんな感じかな? よしよし調子がいいじゃないか」
「ヴェル、上手だね。まるで経験があるみたい」
「この手の車両を運転した経験なんてないけどな(俺は重機なんて操作したことないが、前世で車の免許は持ってたし、魔導四輪は上手く動かせたし、説明書もあるからだろうな)」
「乗馬はなかなか上手くならないのにね」
「馬の方が乗る方が難しいって」
「そうかな? ボクは乗馬の方が得意だよ」
「ルイーゼは運動神経があっていいよなぁ」
ショベル、ブルドーザー、クレーン車、トラクター、コンバイン、その他重機に、魔導四輪、バイクみたいな魔導二輪などが多数置かれているのは、バウルブルク郊外他、バウマイスター辺境伯領内に複数ある、バウマイスター辺境伯家直営の車両の管理、修理、整備、貸与施設にして、運転教習所であった。
以前、魔の森の地下遺跡で大量に見つけたものや、ゾヌターク共和国から新品、中古を問わずに購入したもの。
廃棄されていたこれらの粗大ゴミを、エリーに雇われている修理、整備技術を持つ魔族が再生させたものもある。
その数は多いが、それでもリンガイア大陸に住む人々すべての需要は満たせないし、高額なので一家に一台というのもまだ難しい。
そこで、バウマイスター辺境伯家が所持する車両を、家臣、領民、領地の開発をしている商人たちに貸し出すサービスを始めたのだ。
同時に、これら車両の運転や整備、修理を教える教習所も作った。
エリーの伝で、このところの車離れ……車離れというよりも、魔族の若者の購買力が落ちただけ? 現代日本のオジサンたちも、最近の若者は車を買わないって嘆いていたものな。前世の俺も、車は持っていなかったし……。
とにかく、そのせいで仕事がない魔族の整備士や魔導四輪の運転を教える教官を雇い入れ、彼らは俺の家臣、領民たちにその技術を伝授していた。
俺としては、領民たちが農機で広大な田畑を耕せるようになれば収穫量も増えるし、魔導四輪や重機、農機の操作と整備、修理ができる技術系家臣の枠を増やし、領地のさらなる発展と家臣団の強化を行う計画だ。
そんなわけで、俺が視察でここを訪れ、半ばお遊びで重機を動かしてみたのだが、自分が思ってた以上に上手く動かせた。
前世の影響か、馬よりも魔導四輪や重機の方が動かしやすい気がするのだ。
俺に残っている現代人気質が、科学技術の産物に似ている魔道具と相性がいいのだろう。
「社長、いらしてたのですね」
「仕事は順調かな?」
「すべて好調ですよ」
魔導四輪を始めとする、車両、重機、農機具の使い方や、簡単な整備や修理の方法を人間に指導している魔族の青年が声をかけてきた。
彼はこれまで王様や貴族がいない社会で生活してきたので、俺をお館様やご主人様と呼ぶことに慣れていない。
どうせ俺の家臣ってわけでもないので、社長と呼ばれても全然問題なかった。
前世でヒラ社員のまま終わった 俺からすれば、むしろ『俺って出世したよなぁ』と気分がよくなるぐらいなのだから。
魔族の派遣会社には俺も出資しており、エリーは会長、ブライヒレーダー辺境伯は副会長、俺は名ばかりとはいえ社長なので間違ってはいなかった。
ちなみに、ライラさんも派遣会社の副社長に就任しており、彼女が実質的な経営者だ。
「順調なのは結構なことだ」
「車両や重機は、整備や修理をしているもの以外はすべて貸し出してますので、稼働率は百パーセントに近いです。問題は、新しい車両が手に入りにくいことですかね」
すでにゾヌターク共和国で長年不法投棄されていた粗大ゴミ扱いの魔道具まで回収、売り飛ばされていたので、リンガイア大陸に中古魔道具が流れてこなくなった。
新品は少数ならあるが、やはり価格の高さがネックとなっており、さらに人口減のゾヌターク共和国では少数生産ということもあって、なかなか手に入らない。
そこで、バウマイスター辺境伯領内の職人たちに、魔道具の消耗部品などの製造を依頼。 まだ精度は相当怪しいそうだが、徐々に使える魔道具部品も増えていると報告を受けている。
こういうところから始めて、バウマイスター辺境伯領の職人たちの技術力を上げないと。
「盗難対策は大丈夫かな?」
「今のところ、盗難の被害はゼロですね」
魔道具の適切な保守点検も大切だが、盗難対策も同じくらい重要であった。
このような車両系魔道具の保管、整備スペースが存在するのは、警備しやすくして盗難を防ぐのが目的なのだから。
「ただ、このところ魔道具の盗難が増えているらしい。警戒を怠らないようにしてくれ」
「わかりました」
言葉どおり、最近魔道具の盗難が増えている。
このところ、ゾヌターク共和国から中古も含めて大量に輸入されたため、盗難対策が甘い人の魔道具が盗まれてしまうのだ。
特に狙われているのは、魔導四輪、魔導二輪、農機、重機類。
現代日本とそう事情は変わらない。
屋外で管理せざるを得ない大型魔道具が多く、盗難対策にもコストがかかるので、屋外や簡素な小屋に置かれていたものが盗まれる事件が増えていた。
それほどまでに需要が多く、余計に庶民は車両系魔道具を手に入れにくい原因となっている。
「どうやら、かなりの規模の窃盗団が暗躍しているそうだ。連中は魔法の袋を所持しているそうでタチ(質)が悪い」
「可能な限り盗難対策は立てていますが、他の貴族に雇われている仲間のところでも、主に車両が盗まれてしまったとか。犯人の捕縛も難しく、悩ましい状況が続いています」
バウマイスター辺境伯家が運用している魔道具の数を考えると、これまで盗難被害がゼロというのが奇跡だったので、これからどうなることやら。
「(盗まれても構わないって言うのもなんだと思うから、ゼロであり続ける努力は必要として、盗まれた時も担当者を罰しないようにするしかないのかな?)必ず交代で見張りは立ててくれ」
「それしか手がないのが実情です。幸いといいますか、窃盗グループは人を傷つけることは嫌がるようで、見張りがいる魔道具には手を出さない傾向があると」
「彼らは本物のプロなんだろうな」
王国の法だと、強盗傷害や強盗殺人は重罪だから、プロほどそれを避ける傾向にあると聞く。
見張りを立てている魔道具が盗まれないってことは、彼らが本物のプロである証拠だった。
「盗難のプロなので感心できることではないですけどね。気を抜かずに注意するしかないですよ」
防犯意識に優れた魔族。
まるで現代日本人のようだなと俺は思ったが、頼もしいのは確かであった。
しかしまぁ、魔法の袋で呆気なく車両のような大きなものが労せず盗まれてしまうと、防犯対策が難しくなるから困ってしまう。
とはいえ、そう簡単に汎用の魔法の袋が手に入るわけがないので、問題なのは魔法使い専用の魔法の袋で窃盗を働く奴だろうな。
「しかし、魔法使いが窃盗に走るケースがあるんですね」
「少ないけどあるよ」
魔法使いでも、誰でも無条件に中級以上の魔力量があって、稼げる仕事がいくらでもある魔族の中には今のところ窃盗犯は出ていなかった。
若者に職がないとはいえ、ゾヌターク共和国自体は豊かで生活に困らないので、元々治安がとてもよかったのもある。
むしろ人間、それも貧しい生まれで、魔法使いとしての実力が低い、みたいな奴が怪しい。
それでも普通の人よりもはるかに稼げるはずなのに、中級、上級魔法使いが大金を稼ぐ状況に耐えられず、てっとり早く大金を稼ごうと犯罪に走るわけだ。
魔法使いなのに自分は評価されていないと勝手に思い詰め、安易に金が稼げる犯罪に走ってしまう。
「上を見るとキリがないんですけどね」
「魔法使い全員がそう思わないのさ。特に人間は」
オットーのような魔族もいなくはないんだけど、彼らは豊かな時期が長年続いていたので、欲が少ないような気がする。
逆に人間は、貧しい家の生まれだったけど魔法使いの素質がありました。
でも、魔法使いの中ではそこまで……みたいな人が悪事に走るケースが少なくなかった。
魔法使いの才能があったけど、自分の魔力量では残念ながら中級、上級魔法使いに勝てない。
初級でも魔法使いでない人に比べれば十分に稼げるし、 世間から評価はされるのだけど、 それだけでは満足できないと感じる人が悪事に走るケースが多い。
「まさか、毎日魔法の袋に仕舞うわけに行きませんからね」
「それは物理的に不可能だな」
このバウルブルク郊外他、バウマイスター辺境伯領の数ヵ所にある大量の車両を仕舞える汎用の魔法の袋なんて用意できるわけがない。
俺が魔法使い専用の魔法の袋を用いればすべて仕舞えるが、毎日日が暮れる前に置かれている大量の車両を魔法の袋に仕舞い、翌朝、ここで取り出して再配置するわけにいかないのだから。
毎日そんなことをしていたら、俺が面倒で仕方がないし、他になにもできなくなってしまう。
「盗難には、可能な限り気をつけてくれ」
「わかりました」
今のところ、バウマイスター辺境伯領内で車両の盗難事件は発生していないが、それも時間の問題のような気がしてきた。
だが、もし外に置かれた車両が盗まれたとしても、犯人を捕らえ、 盗まれたものを取り戻す手段がないわけではないので、もしその時がきたら適切に対応するしかないな。
「バウマイスター辺境伯、知っていますか? このところ被害が増えつつある魔道具の窃盗事件ですが、噂では貴族が。それもかなりの大物が絡んでいる可能性が高いというお話です」
「その可能性は高いと俺も思っていました」
「汎用の魔法の袋か、魔法の袋を作って使える魔法使いを用いて盗む。高額な汎用の魔法の袋を用意でき、この手の犯罪に中級、上級の魔法使いが与するわけがないので、初級ながらも魔法の袋が作れる魔法使いを揃えることができる人物。となると、犯人像を絞り込むことはそう難しくないです。貴族、それもかなりの大物貴族か、魔法の袋を用意できる大物商人が絡んでいる可能性が高いというわけです」
このところ増えている魔道具、それも主に車両の盗難。
この件についてブライヒレーダー辺境伯と相談していると、彼はなかなかにショッキングなことを口にした。
実はその前に、ローデリヒから同じ可能性について聞いていたのだけど、どうやらヘルムート王国の大貴族たちの間では公然の秘密と化しているようだ。
貴族が、それもかなりの大貴族が盗みに手を染めている事実が世間に知られるのは困るから噂になっていないけど、貴族たちはその可能性は高いと思っていた。
なにしろこれだけ状況証拠が揃っているのだから、といったところか。
「魔道具窃盗団を動かしている大物貴族って、どんな貴族なんでしょうね?」
「地方の大物貴族である可能性が高いですね」
「王都や都市にいる法衣貴族ではないと?」
「法衣貴族は犯行がバレやすいですし、盗んだものをどうするか考えると、地方の大物在地貴族の方が犯人である可能性は高いです」
ブライヒレーダー辺境伯は話を続ける。
「いくら大物貴族でも、盗んだものを他に転売しようとすれば足がつきやすくなります。それに、ただお金のために他の貴族から魔道具を盗むのは、よほど困窮した貴族でなければプライドが許さないでしょう。そして真に困窮している貴族は、盗みに使う魔法の袋を用意できません」
プロの窃盗団も、困窮するまで追い込まれた能力のない零細貴族とは関わらないのが普通だ。
なぜなら彼らと組んでも仕事に失敗しやすく、彼ら経由で自分たちの存在がバレてしまい、治安組織に捕まりやすくなるからだ。
魔道具窃盗の黒幕である大貴族は、プロの窃盗団から組むに値すると思われており、だから手を組めたのだから。
「大貴族とプロの窃盗団が組んで、開発や農業に使える車両を専門に狙っているということですか……」
「そういうことです。今回盗まれている魔道具で一番多いのは車両ではないですか。特に土木機械は領地の開発に、農機は開墾や農作業に使えます。犯人は盗んだ車両を転売せず、自分の領地で使うつもりなのでしょう。貴族の領地は半分独立国みたいなものです。転売さえしなければ、犯行はバレにくいですから」
盗んだものを転売せず、領内のみで使えば足がつきにくい。
もしたまたま、その領地で使われている魔道具が盗品だと他人が気がつき糾弾したところで、その魔道具が本当に盗まれたものなのか、証明するのは非常に難しい。
下手をすると、盗んだ側の貴族が名誉を傷つけられたと大騒ぎし、告発した側が不利益を被ったり、紛争になってしまう可能性もあった。
『盗人猛々しい』とはこのことを言うが、そのくらい自分の領内において貴族は大きな力を持つのだ。
「領民たちも領主を告発なんてできませんし、領主の盗みだって、自分たちが住む領地の発展のためにやっていることですからね。 大半の領民たちは隠蔽に手を貸すでしょう。実際、これまでに盗まれた魔道具は一つも持ち主の元に戻ってきませんから」
盗品が転売されていると、盗品を扱ってた人物や組織が捕まると盗まれた品が戻ってくるケースもあるのだが、今回の車両窃盗団が盗んだものとされる魔道具は、一つも持ち主の元に戻っていない。
このところ摘発された盗品密売グループの中で一つも、今回の窃盗事件で盗まれた品が見つかっていないということは、盗まれた車両は黒幕である貴族の領地で使われている可能性が高かった。
「うちとバウマイスター辺境伯領は、必ず警備の人間を置くという方法で被害を防いでいますが、かなりの経費がかかりますから、すべての貴族にできることではありません。運よくこの窃盗団を摘発できたとして、 今後も窃盗の被害がゼロになることは絶対にあり得ません。ですが、 今回の窃盗事件の黒幕である貴族の盗み得を防がなければ、第二、第三の盗人貴族が現れるでしょう。 見せしめのため、必ず捕らえる必要があるのです」
ブライヒレーダー辺境伯ほどの大物貴族がやる気を出しているので、窃盗団の黒幕である貴族は必ず判明するだろうが、それにしても、そこまでして魔道具が欲しいのか。
確かに魔道具があるのとないのとでは、領地の開発速度に雲泥の差がついてしまうから当然か。
「将来の被害をなるべく防ぐため、 見せしめで犯人を必ず捕まえる必要があるんですね」
「その方法はこれから考えなければいけませんが、もしいい方法があるのなら、ヴァルド殿下も必ず手を貸すそうです」
ヴァルド殿下も、この件を問題視しているのか。
「成功するかはわかりませんが、手がないわけでもないです。ようは、盗まれた物が黒幕である貴族の領地にある証拠を掴めばいいのですね」
「とはいえ、よほどの証拠がないと難しいですよ。 盗まれたものと同じものがあっただけでは、魔族の品は量産されていると聞きます。貴族に『盗まれたものと同じ型の魔道具だ!』と言い張られると難しいです。ましてや、一度その貴族の領地に運び込まれてしまうと……」
半独立国である貴族の領地には、他の貴族どころか、王国でもそう簡単に捜査に入れなかった。
領地の治安責任者はその領地を治める貴族であり、他の貴族の兵士や王国軍が盗品の捜査をするのは難しい。
内政干渉になってしまうからだ。
地方巡検使は数少ない例外だけど、こうも貴族の数が多いとなかなか手が回らないのが実情だ。
「黒幕の貴族は、『うちの家臣たちに調べさせる』とは言うでしょうけど、しばらくしたら『なにも見つからなかった』と言って終わりでしょうからね」
自分が盗ませたものを素直に返すぐらいなら、最初から盗みなんて働かないのだから、そんなものだと思う。
「ちょっとエリーに相談してみます」
「陛下にですか?」
「ええ、ゾヌターク共和国になら、なにかいい盗難対策があるかもしれませんから」
「向こうは、魔導技術が発達していますからね。それではよろしくお願いします」
ブライヒレーダー辺境伯との話を終えた俺は、一旦『瞬間移動』で屋敷に戻った。
すぐにエリーのところに相談に行こうかなと思っていたら、なんと俺の考えを見透かしていたかのようにエリーがいて、エリーゼたちとお茶を飲んでいた。
「ちょうどよかった。エリーに相談したいことがあるんだ」
「余に相談か? よかろう、なんでも聞くといいぞ」
お茶請けであるイチゴと生クリームタップリのケーキを食べる手を止め、エリーは俺の質問を聞く態勢になった。
本当はエリーの代わりに実務をこなしているライラさんに聞くのが早いけど、相手は俺の上司でもある。
そこはちゃんと立てていかないと。
「実は……」
俺は、このところヘルムート王国で魔道具、それも車両、重機、農機の窃盗が頻発していることを説明し、我々も他人事ではないのでその対応策がゾヌターク共和国に存在するのか尋ねた。
「車両の盗難対策か? 魔法の袋を使っての盗難は、ゾヌターク共和国でも問題になっておるのでな。以前、盗難防止のブザーを仕入れたが、アレも実は魔法の袋にしまわれてしまうとどうにもならぬ。そこでだ……まずはオヤツ終えてからにしよう」
最近魔王としての威厳と実力を備えつつあるエリーとはいえ、まだまだ甘い物が大好きな女の子というわけか。
俺も少しお腹が減ったのでオヤツのケーキを楽しんでから彼女に付いて行くと、そこはアーネストの研究室であった。
「アーネスト教授、ライラが頼んでいた品の改良は無事に済んだかな?」
「おう陛下であるな。試作品は問題なく動いたのであるな」
「それは重畳」
「アーネスト、エリーに頼まれて改良していたものとは?」
「簡単に言えば、この小さな装置を魔道具につけておくと、 もし盗まれても、どこにあるのか位置を示してくれる装置なのであるな」
現代日本でいうところの、GPSみたいなものなのかな?
魔族の国にあっても、不思議ではない魔道具ではある。
「バウマイスター辺境伯家が所有する魔道具に取り付けておけば、その位置が、この巨大魔導スクリーンに映し出されるのであるな」
アーネストがなにやら大きなものにかけてあった布を取ると、そこには巨大なスクリーンが。
どうやって作られたのかはわからないけど、これが魔導位置測定装置の位置を表示する巨大なスクリーンなのか。
「便利じゃないか。でも改良していたと言っていたよな? どんな改良をしたんだ?」
「この魔導位置測定装置の唯一の欠点は、防犯用のブザーと同じく魔法の袋に入っていると反応しないことであるな。それを、魔法の袋に仕舞ってあっても位置情報がわかるように改良したのであるな」
「それって実は、もの凄い発明なんじゃぁ……」
魔法の袋の中というのはいわば別空間なので、そこに盗まれた魔道具を仕舞われてしまうと、どこにあるのか完全にお手上げとなってしまう。
それを解決できるというのだから、まさに魔族脅威の技術力といったところか。
「新型魔導位置測定装置の改良も順調なので、これをバウマイスター辺境伯家が所持する魔道具につけておけば、盗まれてもその位置を測定できるのであるな」
「なるべく早く、新型魔導位置測定装置を装着しないと」
もし連続窃盗犯にうちの魔道具が盗まれたら、その場所を特定して一網打尽にしてしまおう。
これからもその手の犯罪者をゼロにすることは難しいかもしれないが、ただ貴重な魔道具を盗まれ続けることだけは避けないと。
そして、連続窃盗犯の黒幕が貴族なら、魔導位置測定装置で容易にわかるはず。
貴族のくせに盗みを働くなんて、いったいどんな駄目貴族なんだろう?
もし魔導位置測定装置のおかげで黒幕の貴族を捕まえることができたら、陛下にはしっかりと処分するように頼まないと。




