2‐4‐5 Truth
一方、明達こと水月と愉快な仲間達は神国皇族連と地上で向かい合っていた。
神国皇族連のチームは、ロイヤルガードと呼ばれる人型のAAが三体、異なる武装のバリエーションでスリーマンセルを構成していた。
甲冑と和服が混ざったようなゆったりしたデザインのボディに、槍、斧、弓でそれぞれ武装している。木彫りの仮面のようなシンプルなフェイスマスクも、騎士というよりは武士という方が近いかもしれない。
ちなみに、槍を持っている機体から順番に御堂風雅、御堂雷雅、天正院縁という布陣である。
対する明達はウィザードとウィンディーネを前面に、後方にはフェアリーという布陣を取っていた。中、近距離の武装が主体の二人が前衛となり、遠距離攻撃ができるフェアリーが後方支援に回るのは当然であるが、明としては女性二人に守られるのは今一格好が付かないところでもある。
「周囲のことはどうあれ、我々だけでも決着をつけたいところですが、それが本当でしたら一時的に協力することも惜しみません。それにあなたは平治様の親友ですしね」
恩人の友人は、無下にはできないということらしい。単純に利害関係が一致した上での共闘というような形でもあるが。
「平治様様だな。今度又、ラーメンをおごってやらないとな」
「平治君、ずいぶん安いのね」
周囲への警戒をしつつ神代がおどける。
とはいえ、急に御曹司になっても、染みついた金銭感覚や味覚はそう急激には変わらないので、明の選択は存外正しいのかもしれない。
「今回の件については、別に平治自身が直接何かをしたわけじゃあないし、そんな程度で十分だろう。では、俺達の交戦目標は、『黒の旅団』だ。」
「委細了解しました。行きますよ、風雅、雷雅」
「「御意」」
「明、鏡。私達も行こう」
六人は中央の戦闘を避け、フィールドの西で戦う黒の旅団を目指す。組織内部のどの程度の強さの連中が参加しているのかは不明であるが、仮想の深部に辿り着ける実力であるということは、間違いないのだろう。
そうして、お気楽な試合は、あたかも死合いへとその姿を変える。しかし、それでも彼らは引き下がるという選択をしなかった。
それは、この場が国家間のパワーバランスを示す場でもあり一種の外交の場ということを理解しているからだった。
ここは、組織が自らの力を示す場でもあり、同時に威信を失う場でもあるのだ。
強さを示せばそれは威嚇力となり、逆に弱者と認められれば相手に攻める理由を与えることとなる。しかし、相手に意図的に攻めさせ返討ちにする場合もあり一筋縄とはいかない問題ではあるのだが。
得てして真実とは、まっさらなものではなく、この戦場のように混沌とした、きれいとも汚いとも付かない何かなのかもしれない。
修正加筆終了。