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ROG(real online game)  作者: 近衛
二章
42/151

2‐4‐2 Truth

 

 「さて、彼女との関係を話してもらおうか」


 「そうだね、是非とも丁寧に説明して欲しいね」


 二人の笑顔からは、戦場で向けられる銃口のような恐怖を感じる明。本能的に背筋が寒くなったように感じていた。


 「え、さっきの説明だけで終わりじゃないのか。というか、お前らが楽しめる情報は何もないと思うぞ。女性だって知ったのは、さっきの戦闘開始直前だし」


 「といっても、この朴念仁(ぼくねんじん)がどうこうするというのはどの道ありえないか。はあ」


 「あははは」


 溜め息を付く鏡と、乾いた笑いを浮かべる水月。


 「ふん、朴念仁は鏡も同じだろう。愛想の欠片もない」


 失礼な、とでも言いたげに明が鏡をにらみつけると、そんなことは知らないとばかりに鏡は視線を横にそらす。


 「確かに鏡はクールだね。うんうん」


 そして、そんな両者のことなどどこ吹く風と明に同意する水月。


 「だろだろ。もう少し愛想が良ければもてると思うのだが、もったいない奴だよな」


 「く、もてない君が言っても説得力がないね。全く馬鹿らしい」


 引きつった笑みを浮かべはき捨てるように鏡が言う。

 二人とも気付いていなかったが、実際のところ影で二人共それなりにはもてていた。だが、明らかに自分より上の容姿や成績を持っている相手に対して引けてしまい、行動に移す人間がいなかっただけだった。

 もっとも、周囲から配慮されすぎた結果が、互いにもてていないという認識になるのでは救われないが。


 「それはお互い様だろうが、この天邪鬼」


 「はあ、止めよう。互いの傷に塩を塗るだけだ。興奮してすまない」


 ヒートアップしそうになったところで、鏡が自重する。実際、不幸自慢など言っていて悲しくなってくるだけだった。ソファに座りなおし、どっかりと寄りかかる鏡。


 「青春していますね」


 そこには、ウーが少し扉を開けて明たちを(のぞ)き見していた。


 「ぶっ。な、ななんでまだウーがそこにいるんだよ」


 「いえ、何、面白そ……大きな声が聞こえましたので何事かと思い駆けつけた次第です」


 「本音が漏れているぞ。ウー」


 せめてもの反撃なのか、明は恨みがましい視線をウーにぶつける。


 「それは失礼。痴話喧嘩は程ほどに、くく」


 彼女にとっては余程面白いのだろうか、笑いを殺しきれずにウーが(こら)えるように話す。


 「痴話喧嘩ではないです、失礼な」


 正面からは否定しにくいのか、目を合わせずに鏡が答える。


 「そうです、夫婦喧嘩です」


 鏡の返答に合いの手を入れるように水月が応じる。その返答が思わずノリで答えてしまったものなのか、本気でそう思っているのかは定かではない。


 「馬鹿! これ以上火に油を注ぐんじゃない、水月」


 「そんなに私の腹筋をいじめないで下さい、あははははは」


 その場でしゃがみこんで笑い出すウー。どうやら彼女は相当に笑い上戸らしい。だが、これはこれで反撃に成功したとも言えよう。

 そして、それから数分後。かなり本気で笑い転げていたウーがいつもの調子を取り戻して、再度ソファの同じ席に鎮座する。


 「話せるようになったか」


 「失礼しました。ありがとうございます」


 「それで、本当にただ俺達のようすを見にきた訳じゃあないよな」


 「ここで冗談の一つも言いたいところですが、筋肉痛にはなりたくないので要件だけをお話しましょう」


 そういうと彼女は語りだすのだった。

 がんがん行きます。

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