2‐2‐2 Elimination
「セキュリティエリア内での戦闘なんて、何時以来だか」
「君も私も長らく無法遅滞での戦闘に明け暮れていたからね。デスゲームでない戦闘なんてほのぼのとしたことは本当に久しぶりだ」
「平和的な戦闘というのも、何か矛盾している気がするけどね」
とは、水月。
「しかし、なんだ、この格好は。改めて見てみるとデザインがこり過ぎている気がしないでもない」
漆黒の生地に金のボタン、肩に白いラインが入っているというというところ以外は割と普通のスーツのように見えなくもない。そして、スーツというよりは軍服という表現の方が適切であり、実際にこの制服は先日から電脳技術研究所に正式に導入されたものだった。
「私としては、男性はまだましなデザインだと思うが」
「そうかな、私は、女の子の制服もすごく可愛いらしくていいデザインだと思うよ」
「いやいや、我々は仮にも神国の陸軍なのであり、可愛いらしさは求められていないような気がするのだが」
「諦めろ、勧誘のポスターなんかもビジュアルが求められる時代だ。しかし、なんだ、その二人とも似合っているぞ」
少し横を向き、頬をかきながら明がいう。その視線の先には電脳技術研究所の新制服に身を包んだ二人の姿が見える。
男性の物とは対照的に女性の制服は純白のブレザータイプの服に黒いラインの入った、少々丈の短いプリーツスカートだった。
正式に陸軍の傘下になった直後に導入されたらしく、そのデザインには新城大地大佐の趣味が多分に反映されているというが、真偽の程は定かではない。
「……あ、ありがとう。君もなんだ、悪くない」
照れたように鏡は、そっぽを向きながら小さくつぶやく。
「ふふ。明だってすごく格好いいよ。お嫁さんに欲しいくらい」
対して水月は少々意味ありげな笑みを浮かべて、社交辞令なのか本気なのかいまいち判別の付かない返答をする。
「俺は男だって。もらわれるのなら、嫁じゃなくて婿だろうが」
「じゃあ、明は私がもらってあげるね」
そういって、腕にしがみつく水月。
救出されて以来、水月は明により以上にスキンシップをするようになっていた。あるいはそれは、また、離れたくないという心理の表れなのかもしれなかった。
「ちょ、止めなさいよ、二人とも」
「俺までカウントするな、鏡」
「もう、何が問題なの、鏡。仲間はずれが嫌なら、左側が空いているよ」
すました笑顔で水月が反対側を示す。
「ば、馬鹿。そんなの、は、恥ずかしいじゃないの」
「ふふ、鏡は本当に可愛いなあ。昔よりもすごく可愛くなったよ」
「からかわないでよ、水月」
「まあ、そうかもしれないな。とりあえず、昔よりは取っ付きやすくはなったな」
「き、君まで悪乗りするな。と、とにかく、会場まで行くぞ」
そういってすたすたと歩き始める鏡。
「もう。待ってよ、鏡」
一瞬、名残惜しそうな目をして水月が鏡を小走りに追いかける。そして、明はやれやれと溜め息をつき、二人の後に続くのであった。
「もう。待ってよ、鏡」
一瞬、名残惜しそうな目をして水月が鏡を小走りに追いかける。そして、明はやれやれと溜め息をつき、二人の後に続くのであった。
とりあえず、修正は二章の途中で一時中断予定。もちろん、明日(もとい今日)以降には続けていくつもりですが。