第6話 合コンとバニー
「都築 馨です」
「…鈴村 陽です」
「染谷舞香でぇす!」
「鈴木愛羽です」
「「「存じております。」」」
何故、私はこんなやっすい合コンみたいなことをしているのだろう。
少しおしゃれなカフェで、4人は初対面している。
「わあ、馨さんってイケメンですね~愛羽が言葉に出来ないって言ってただけある~」
「えっ、愛羽ちゃん、そんな風に言ってくれてたの?(感動)」
「あっ…うん…(諦観)」
「…(察し)」
盛り上がる馨と舞香を尻目に、盛り下がる愛羽と陽。
「馨さん、趣味はなんですか?」
「そんな趣味なんて大層なものじゃないんだけど、家でバ「黙って」」
愛羽は今までで一番早く動いた。
人差し指で馨の口を塞いだ。馨の頬がほんのり赤くなる。
なんで変態のくせに、これくらいでほんのり頬を染めているんだ。
お前が家でやってることの方がよっぽど恥ずかしい。
言ってやりたい。全部ぶちまけてしまいたい。
けれど、舞香に心配させたくないし、叔父の世間体も守りたい。
大人になるってこういうことなんだ、と愛羽は我慢した。
「叔父さんは、一流企業でプログラマーしてるんだYO!」
「料理も上手だし」
「家事も完璧!」
「服のセンスもいいし(家以外では)」
「おススメ物件だYO!」
言っておいて、何のだろう?と愛羽は思った。
「そうなんだ~そこまで言うなんて。もしかして、愛羽ったら叔父さんラブ?」
「え~そんな、愛羽ちゃんったら!僕たち叔父と姪だよ☆」
「そうだネ…」
さっきから陽の援護射撃がない。
と思ったら、彼は彼で精一杯、カフェ飯を堪能していた。
お、お腹いっぱい食べろ…!と、愛羽の中の母性が言う。
そして、叔父よ。何故まんざらでもない顔をしているのか。
嫌な予感を抱えつつ、似非合コンは続く。
「じゃあ、女性のタイプ聞いちゃおうかな?」
もう完全に悪ノリだ。いつもの舞香カムバック!
「そうだなァ…髪は黒髪ショートで、小動物系。性格は素直な子がいいかな」
「えっ!それって…!」
──沈黙。
「オレは愛羽。」
ここで陽がとんでもない援護射撃をかます。
陽!助かったけど、捨て身すぎるよ!
心配で陽を見上げる。陽はなんでもないように続ける。
「こんな話合うヤツが女子にいると思わなかった」
「きゃー!!」
舞香の悲鳴で、隣の席のカップルがこっちを見た。
ちょうど舞香が今ハマっている少女漫画で似たようなセリフがあった。
「アオハル!めっちゃいい!」と舞香が愛羽の背中を叩いて、喜んでいる。
目立つから少し落ち着いてほしい。愛羽は「どうどう。」と、舞香をなだめる。
良かった…
舞香の中で、叔父の発言は陽の発言に上書きされたはず。
愛羽は心の中でガッツポーズを取った。
何故か叔父が取り残された子供のような表情をしていた。




