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第八話

それぞれ準備を整え馬車に乗る。

最近新調した新武器の二振りの剣を腰に携え馬車に乗るリバル。

「聖女様は向こうの馬車では?」

自分が乗る馬車にすでに聖女が乗っているのを発見するリバル。

「作戦会議をするなら、同じ馬車でのほうがご都合がよいでしょう?」

頭を抱えるグレイスの姿と頬を膨らませ聖女を睨んでいるアリスが同じ馬車に乗っていた。

馬車の業者にマリーとサーシャを乗せて出発する。

---------------

そこからは、淡々と事が運んだ。

いくら説得しても、聖女はリバルと一緒に戦場に向かうと譲らなかった。

王城に到着しても、急ぎとのことで、報告と戦況の確認はグレイスが対応し、

すぐに王城から出発して、初めて来た王都を楽しむ暇もなかった。

「王都見学は、この件が済んでからにしよう。

早速、戦況なのだが、」

王都を名残惜しそうに見ていたリバルとアリスに前置きをしてから馬車の中で話を始めるグレイス。

「北砦の戦況はちょっと押され気味とのことだ。魔族の魔法が思ったより強力で、砦の方は守りに徹している。魔族の方も守りに徹している砦を落とすことは難しく、硬直状態になっている。」

(確かこの戦場には、勇者も参加してくるはず。)

「この硬直状態を破るために、国王は勇者を戦場に投入し、魔族を一網打尽にしようと考えているとのことだ。」

勇者に良い思い出がないリバルたちは顔をしかめた。

「しかし、問題が二つ。一つは緊迫状態が続いている北砦で物資不足に陥っていること。これは今、馬車に積んでいる物資を急ぎ届けることで解消する。

もう一つの方が問題だ。どこからか北砦の真後ろの村で魔族が発見されたとのことだ。」

アリスと聖女が驚く中、リバルは落ち着いてグレイスの話を聞いている。

「砦のどこかが破壊されたかはよくはわからないが、村に何人の魔族が潜伏しているかわからない。その村から挟撃にされないように、素早く村の魔族を殲滅することが今回の任務だ。」

「どうやって、魔族だと判断するのですか?」

疑問を問いかけるアリス。

「判断する方法は私とリバルに任せてもらう。

アリスは魔族以外の人々の避難誘導を。聖女様はもしけが人などがいたら魔法で治療をお願いしたいです。」

「「「はい!」」」

作戦会議は終了し、物資の詰め込みも完了。

村へ向かい馬車を出発させるリバルたち。

---------------

目的地の村が見えてくる。村から火の手が上がっているのが分かった。

「すでに魔族の手によって村が落とされているかもしれない。マリー馬車を森の方に!」

村に続く道から外れ、森の方へ向かうリバル一行。

村に隣接している森に物資を乗せた馬車を止め、リバル、グレイス、アリス、聖女、マリー、サーシャで村を調べることに。

「出入口は魔族が見張っている可能性がある。道がつながっていない森側から村に入るぞ。」

家屋の裏側から森に侵入する一同。

それと同時に家屋の裏口の扉が開いた。

その扉から、角と細いしっぽを生やした老婆とその手を引く妙齢の女性が出てきた。

「そんな…あなた…アン…ですか?」

そう発し、扉から出てきた妙齢の女性の前に出てくる聖女。

「せ、聖女様!?」

こんなところにいるはずがない人と顔を合わせたというような驚きの表情を浮かべる妙齢の女性。

「どうか、どうか見逃してください!」

聖女にアンと呼ばれた女性は地面に頭をこすりつけ聖女に懇願する。

「私を裏切っていたの!?」

バシュッ

「ひぃっ!」

突然、地面にくぼみができ、後ろにいた老婆は小さい悲鳴を上げる。

「リバル様!どうして、邪魔をするのですか!?」

裏切られたと怒りを爆発させる聖女に、リバルは答える。

「まずは情報収集が優先です。こちらの方たちに敵意はない。

現状の状況を確認するには、ちょうどよいかと。聖女様のお知り合いなんですよね?」

「私の幼い時に世話をしてもらった侍女です…名をアンといいます…」

側近の侍女に裏切られたというショックで言葉に覇気がなく答える聖女。

「それで、アンさん。現在のこの村の状況を教えていただけますか?

まず、後ろにいる魔族の女性について教えてください。」

抜いていた剣を収め、アンに向かって話しかけるリバル。

「はい…現在皆様から魔族といわれているものは、私の母になります。」

「「!!」」

アンの言葉を聞き、驚く一同。リバルだけは、驚かずアンの言葉を聞いている。

「そんな…ということは…アン…あなたも…魔族なのですか?」

アンの言葉を聞き、動揺する聖女。

「いえ、そんなことはありません!私はれっきとした人間です!」

涙目になりながらも聖女に弁明するアン。

「でも、あなたのお母さまが魔族なのよね?」

「私にも訳が分からないの。突然角としっぽが生えてきて…」

自分にも訳が分からないと話に入ってくる老婆。

「ちょっと失礼。レディちょっとこちらのマークを見てもらえないだろうか?」

そういいつつ、グレイスが懐からある紙を老婆に向かって広げていた。

そこには、例の魔族と判断するためのマークが書かれていた。

「はて、なんのマークでしょうか?」

首をかしげながら、答える老婆。

「どういうことだ!?角としっぽは確実に魔族なのに、これには反応しないだと!?」

マークに反応しないことに驚くグレイス。

「おばあさん、最近ラケ教について、不信感を覚えたことはないですか?」

「はい…聖女様の前でこんなことを言うのは何なのですが、最近村に来た旅人と話しをしまして、その時に教会の良くない噂を聞きまして…私は、夫も娘も教会の仕事に携わっていたので、心当たりもあり、噂を信じてしまったのです。

信者としてはあるまじき行為なのですが、どうしても払拭できずにいて…」

「なるほど…」

「リバル様、どういうことでしょうか?」

この場で、なぜかわかっているリバルに問いかける聖女。

「やはり、聖女様も知らされていないんですね…」

「何をです…?」

「落ち着いて聞いてくださいね。

聖女様には,かなりショックな話だと思います。」

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