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第四話

父上の仕事を手伝って数年後、

俺は違和感を覚えていた。

グレイス=ライアン

ゲーム上では、どのルートを進んでも本人か領地が滅んでしまう言ってしまえば噛ませ犬のキャラだった。

性格も今の父とは違って、主人公に向けての憎しみが強かった気がする。

確かグレイスが主人公に憎しみを初めての出来事って・・・

「それでは、次、リバル=ライアン!」

「は、はい!」

いかにもな教会の神父に呼ばれ、一歩前に出る。

10歳を迎えたときに必ず行う魔法適正の儀式の最中だった。

屋敷の客間で、目の前には両手でやっと持てるぐらいの水晶玉がおかれている。

部屋には、グレイス、マリー、サーシャと一足先に儀式が終わったアリスが興味津々といった具合で見守っていた。

先に終わらせたアリスは、緑色の風属性だったのを思い出す。

「我らがラケ神よ。この者にラケ神の加護とお力を授けたまえ!」

神父に頭を下げ、水晶玉に手を掲げる。

(ゲーム内だったら、ここで書く属性の選択ができるんだよなぁ。なんかもう懐かしいわ。

火力特化の火属性がいいかな?現実を見るなら水属性もいいな。飲み水に困らなさそうだし、

街を守るなら土属性もありだな、汎用性が高い風もいいな。後に魔人と戦うなら光属性も必要かな?

それとも後々のことを考えて闇属性にした方がいいか?あー、全然まとまらない。)

「!?!?」

「な、なんだこれは!!」

(ん?神父さんどうした?俺まだ選んでないですよ??)

神父の声に反応し、少し目を開けると、そこには神々しく虹色に輝いている水晶玉があった。

「こ、こんなことがあり得るのか!?6色。すべての属性に適性があるなんて…」

「え?これどういうこと!?」

自分でも驚き、思わず声を上げてしまう。

「なんて神々しいの…」

アリスは神秘的な光景に目を輝かせている。

「神父!これは、どういうことになるのかね。」

「6属性すべてなのですが、私にはこんなことが初めてなので…」

「ちょっと、上に確認させてください!」

そうグレイスとやり取りしていた神父はそそくさと水晶玉を片付けて、屋敷を飛び出していった。

「全属性か…これは驚いた…」

「ですね~、すごいです。坊ちゃま~」

「本当に適性があるか、後日確認しよう。もしかしたら、勇者一行の一員に選ばれるかもしれない。」

(6属性すべてを使用できる?ゲームでもそんなことできなかったのに、あり得るのか?)

「え?勇者一行ってどういうことですか?」

ゲーム上で聞きなれた言葉が聞こえたので、思わず返してしまった。

「先ほど、手紙で勇者任命式が開催されると報せがあってね。」

と、王室の印が記された手紙を見せてくるグレイス。

(勇者任命式だって!!)

その言葉を聞いた瞬間、頭の中が突然真っ白になり、顔は蒼白になってしまう。

「父上!それはいつ行われるのですか!!」

「ど、どうした急に。2週間後だ。明日、お前の適正確認したらすぐに向かうつもりだ。

王にいい土産ができるぞ。」

「父上!その勇者が魔族領に魔法を放とうとしたら止めてください!この街が巻き込まれて崩壊します!」

「街が崩壊!?お前は何を言っているんだ…?」

(くそっ、やっぱり、伝わらないか。自分でなんとかするしかないのか?)

「とにかく、勇者の行動には目を光らせてください!」

「わ、わかった…起きないとは思うが、注意して見ておこう。」

「私は、ちょっと考え事があるので、いったん失礼いたします。」

そそくさと客間を後に、自室に戻るリバル。

ーーーーーーーーーーー

(どうする!?勇者任命式がj残り2週間後!?あの特大の光魔法をどうやって止める!?)

「王都とここの間に土魔法で大きい壁でも作るか?

ギルドの冒険者たちに駆けあって、一緒に勇者の攻撃を止めてもらう?

でも、父上と一緒で信じてくれないかも…、

それとも、光と対の闇魔法で壁を作るか?ほかの魔法で威力を弱められるか?」

(これで止められるという確信が持てない。そもそも、俺がどこまで魔法が使えるかがまだわからない…)

考えが堂々巡りになってしまい、時間だけが過ぎていく。

「くそっ!思いつく限りのことをすべてやるしかない!」

まずは自分がどのぐらいできるのかを知る必要がありそうという結論が出るころには深夜になっていた。

ーーーーーーーーーーー


任命式当日。

「リバルの言っていたことは気になるが、まずは式に集中しよう。王にリバルの全属性のことも報告しなくてはな。」

ちょっとした心配をしつつ、勇者の登場を待つグレイス。

パッパパパーン

入場のラッパと同時に一人の男性が入ってくる。

武装はせず、正装に身を包みしっかりとした足取りで王の前まで歩いてくる。

王の前に跪いて、王の言葉を待つ姿勢をとった。

「この者を勇者とし、この世に蔓延る魔人どもの親玉、魔王を討伐する任につかせるものとする。」

「勇者よ。顔を上げなさい。」

「はっ!」

「魔王討伐の旅は想像を絶する旅路になろう。まずは、余からの選別じゃ、持っていってほしい。」

そういいつつ、家臣から、袋に入った金銭と思われるものを受け取る青年の男性。

どこからともなく拍手がなり、会場全体が拍手で包まれた。

「ここにいるものにはすでに伝えている通りだが、勇者が旅を続けるために必要とするものはなるべく都合をつけてもらいたい。その代わり、勇者はその領主から困りごとがあったら引き受けてほしい。」

「はっ!」

勇者の返事と同時に任命式に集まった貴族達の拍手で会場が包まれる。

「勇者よ。何か皆に一言お願いできぬか。」

王がそういうと、勇者は王の方に背を向け、貴族たちにわかりやすいように声を張り上げた。

「皆様、お初にお目にかかります。ライナスと申します。」

貴族一同にお辞儀をするライナス。

「こんな若輩者で勇者が務まるのかという方がいいらっしゃると思います。

なので、ここは、私の力を皆様に見ていただこうと思います。」

王室の扉が一部あけ放たれる。

ライナスと一部の貴族たちは開け放たれた扉から外にライナスにつられて出ていく。

その中には嫌な予感がしたグレイスも一緒だった。

「今からこの方角に私の光魔法を放ちます。狙いは、ライアン領の先の魔人領です。」

「な、なにを言っているんだ!そんなの少しずれたらどうしてくれるんだ!」

リバルに言われた話の通り、ライアン領の方角に魔法を打とうとしている勇者に食って掛かるグレイス。

「大丈夫です。誓って外すことはありません。」

「その保証がどこにある!やめろ!」

声を荒げ、ライナス真横まで駆け寄っていくグレイス。

「大丈夫です。信じてください。成功すれば、ライアン領の先の魔人たちは滅ぶんですよ?気前のいい花火を打ち上げさせてくださいよ!」

「花火?何を言っているんだ!とにかくやめてくれ!せめて、民たちを非難させてから…」

「今、皆様に私の力を見ていただきたいのです。それにもう、遅いです。」

ライナスの上空で、巨大な光の塊が出来上がってしまい、ものすごい爆音を上げ、

ライナスの手が向いているライアン領へと光魔法が発射される。

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