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ダブルアタック!  作者: MMR
3章 どきどき撮影会
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19.どきどき撮影会7~美央と一緒に

「なんだかるりちゃん、疲れちゃったみたいだし……そろそろちょっと癒してあげないといけないよね?」

 

 もうやだ、この妹。

 美央の言い出したことに、俺はそう感想を持たずにはいられない。

 いや、疲れさせたのは誰なんだって話だから。さっきから同じようなパターンの問答を繰り返しているが。

 となると、やっぱり直接的にはその原因は俺、ということになってしまうのだろうか。

 冗談じゃない。もうこれ以上、罪悪感を積み重ねたくないんだが。

 そもそもさっきの休憩時間がその時間じゃなかったのか。だとしても見事に失敗しているが。

 

「るりちゃーん、一緒に撮ろ?」

「あ、えっと……」

 

 俺の考えなどどこへやら、あまりにも急に話が変わり、突然美央が鴨紅さんの背後から抱きつく。鴨紅さんもそれで驚かないわけがないようで、返事に迷いが出ていた。

 ここまで散々美央に嫌がらせをされているわけだが、それでもまだ、奇跡的に嫌がってはいないらしい。

 癒しって、まさかこれのことなのか。

 

「当たり前だよ。わたしとるりちゃんは、切っても切れない仲なんだよ? こうしているだけで落ち着くんだよ?」

「切りたくても切らせてくれないの間違いなんじゃないか」

「あうあう、そんなことないんだから。ねー、るりちゃん?」

 

 鴨紅さんが首を縦に小さく一回振るのを見て、美央はそれ見たことかと誇らしげにしているようだが、この話の流れで違うなんて言えるわけがないと思う。

 

「んー、るりちゃん大好きだよ!」

「ひゃ! ちょ、ちょっとみおちゃん……っ」

「ほらー、わたしたちの仲いいところ、ちゃんと撮ってよー」

「はうう……おにいさん、撮らないで、ください……っ」

 

 美央の行動は抱きつくだけにとどまらず、その手を鴨紅さんに這わせるようになで回すなどという行動に走り出した。

 女の子同士の仲いいところを見せるつもりで美央はこうしているのだろう。それ自体はいいアイデアだとは思うが、二人の周りに百合の花が見えそうなこの光景は、果たして見せることができるような健全なものだろうか。

 結論として、ここは鴨紅さんの言葉に従った方がいいとしか判断がつかない。というか、こんなところ撮ったら俺の趣味が疑われる。

 俺がカメラを下ろしていると、その間も美央にいいように扱われて小刻みに揺れている鴨紅さんの膝が、力が入らないのか徐々に曲がっていき、最後には座り込む形になっていく。

 そこでようやく、止めなければという思考まで行き当たり、声が出た。

 

「美央、いい加減それくらいでやめとけって」

「あうあう、ちょっとやりすぎちゃったかな? るりちゃん、ごめんね?」

 

 止まる直前のコマのように頭を回転させている鴨紅さんを見る限り、やりすぎ加減がちょっとどころの話とはとても思えなかった。

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