花束と悪魔になった子
女の子「るんるん♬」
ウンコ剣士「どーしたの?」
女の子「お花を見つけたの。可愛いお花。」
女の子が差し出したそれはどう見ても花じゃなかった。ドス黒い肉塊だった。
ウンコ剣士「可愛いお花だね」
女の子の目をよく見ると目が青白くなって汁が垂れていた。
間違いない。涙魔病だ。
涙の悪魔が感染源で、脳の認知が歪み、無意識に悪魔的な行動に走るようになるらしい。
知性を持たない低級悪魔は実は元々涙魔病の罪なき人間だったと言われてもいる。
この子はきっと、いつか村を襲うだろう。
だからこの子は意識があるうちから村で迫害されて追い出されて路上を彷徨っているのだ。
きっと人類の未来を考えるとこのまま斬ってしまったほうがいいのだろう。
でもできなかった。どうせ低級悪魔なんだから悪魔になった時に斬ればいいと思った。
今悪魔に飲み込まれようとしていても、人に迫害されても、きっとこの綺麗な花を見せようとする純粋な心は殺したくなかったから。
そんなことを言えるのは強いからかもしれない。
ウンコ剣士はとても強い。ウンコブレードがあれば低級悪魔は瞬殺だ。
きっと村の人たちは生きるために迫害しているのだろう。
この独善の判断ができるのも自分が強いからだだと思う。
きっと、弱かったら怖くて迫害をしている。
差別をするのは絶対悪ではないんだと思う。
きっと人は誰しもよわい。ウンコ剣士だって弱いところはある。初恋の女の子にウンコ臭いと言って振られた日は何度も泣いた。
弱いから怖いから攻撃をする。その連鎖が戦いや憎しみを生む。
それを断ち切れるのは強いものだけだと思う。でも強いものとて限界がある。一歩一歩世界をよくしていくしかないのだ。
そう思って、目の前の悪魔になりかけている女の子を見過ごして、今日もウンコ剣士は冒険を続けるのだった。