君の空、僕の海①
「空と海はおんなじ色をしているの」
だから、さらにも潜れるのといって、
人魚は陽の光に包まれていった。
ーー
僕には色がわからない。
だから美術の時間が嫌いだ。
塗り方がわからないからじゃない。
腫れ物扱いするような先生や他の人の目が嫌だった。
「ごめんねえ、高梨くんは彫刻の課題でいいからね」
色一個一個の区別はつかないけど、それでも物は見えるし、濃淡はわかるのだ。
僕だって絵を描いてみたい。
それで一人で黒のシャーペンを持って、誰もいない、海坊主が出るなんて噂があって、いきたがらないこのなみのたかい海岸で一人、絵を描いてみたのだ。
「書き方僕だけ習えなかったから全然上手く書けないや」
なんてつぶやいて諦めようとした時。
「待って!!」
海の方向から大声がした。
刹那、ザッパーンと大きな波が立って、砂を飲み込んだ濁流みたいなものが僕の足元まで押し寄せてきた!
「キャンパスが!」
「任せて!キャッチ!あっ、ぐぇええええ」
髪の毛がボッサボサで砂だらけになった女の人が大きな波の中からでてきた。キャンパスを抱えようとしてくれたようだが、
それはぐちゃぐちゃになって、海の藻屑にきえた。




