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平成ノスタルヂヰ
私も異世界転生して20年の年月が経った。
煌びやかな超異世界ハラルドの景色はまさに子供の頃に夢見た、ゲームの中の世界そのものだった。
しかしいつからかわからないが、このドラゴン舞う煉瓦の街並みの美しさよりも、
平成7年の静岡の寂れた駅舎のことばかり考えてしまう。
私はウンコ剣士という子供の誰もが憧れる地位になった。
ウンコブレードだってランクAA+になった。
それでもドラゴンを斬る毎日は味気ないものだ。
まるで精肉作業でもやっているようだ。
ウンコ剣士として強くなりすぎたのかもしれない。
平成7年に帰りたい。
かえりたいんだ。
毎日のように雪が降り積もっていた、あの景色に。
夏も、秋も、春も。
クローバー。