その2
一颯は美咲を見ると
「それで?」
と彼女の落ち着きなく組み合わせたりしている指先を一瞥しながら
「依頼は?」
と聞いた。
美咲は視線を伏せると
「実は学園の理科の教師にセクハラを受けていて」
でも怖くて
と涙を滲ませて告げた。
尾米正は困ったように
「いや、それはご家族と学校側に相談した方がとは言ったんだけどね」
と言いかけた。
が、一颯は頷くと
「その依頼受けた」
ただ依頼料は安くないぜ
と告げた。
彼女は一颯を見ると
「おいくらくらいですか?」
と聞いた。
一颯は指を二本立てて
「20万だ」
と告げた。
それに坂路理沙と尾米正は黙って一颯を見た。
高校生割もない値段である。
美咲は頷くと
「わかりました」
と答え
「その理科の教師を私の前から追い出していただいたらお支払いします」
と言い五千円置くと
「これは手付金です」
と告げた。
一颯は受け取り
「まいど」
と言い
「それで理科の教師は分かったが理科の教師って一人じゃねぇだろ?」
詳しい情報教えてくれ
と告げた。
「間違えて違う理科の教師だったら問題になるからな」
美咲は一颯を見ると
「…三河亜津志です」
と答えた。
一颯はメモを取り出し
「なるほど、三河亜津志な」
それでセクハラの内容は?
と聞いた。
美咲は僅かに視線を動かしながら
「その、それは」
と戸惑いながら呟いた。
それに坂路理沙が立ち上がり
「男性教師に女子学生なんだから…察してあげた方がいいわよ」
一色君
と告げた。
一颯は「あー、なるほどな」と言い
「わかった、じゃあそう言うことで」
と告げた。
美咲は震えながら両手を組み合わせて
「その、やってないとかいうかもしれません」
でも本当なので
「急いでください」
出来れば一日でも早く
「学校行くのが怖いので」
と泣きながら訴え立ち去った。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。