その6
一颯は山野から見せてもらった着信履歴を見せ
「それに彼女がUSBを渡した相手の山野の着信履歴の電話番号が携帯じゃないんだよな」
会社の…しかも特許課の電話番号だ
「そんな態々足の付くような電話から連絡するか?」
と呟いた。
「ただ電話をしたのは男だった」
俺は百合子が誰かに買収されて仕組んだのかと思ったが
友晴は腕を組み
「そうですね」
と答えた。
一颯は考えながら
「本当に、偶然彼女がそう言う話を持ち出したのか」
それとも思惑があって仕組んできたのか
「迷うところだな」
と呟いた。
そこに理沙が姿を見せると
「情報漏洩の件は調べたわよー」
と二人に声をかけた。
一颯は彼女を見て
「おう、それで?」
と聞き返した。
理沙は考えながら
「書き込みはなかったわね」
と言い
「ただ」
と言葉を区切ると一颯に
「面白い逢引の話はあったわ」
あの人って部下受け良くないみたい
と画像付きの呟きを置いた。
「一色君の苦手な彼女と…畦倉克夫常務が繋がっていたみたいよ」
知らない人は若い女性と逢引だと思ったみたいだけど
「『会社が大変な時に若い女性を引っ掛けて羨ましい~』って書いているわ」
一颯は以前にJKに成りすまして自分を嵌めようとした古波彩と畦倉克夫がレストランで食事をしている写真に目を細めた。
「あの女…また仕掛けやがったな」
理沙はププッと笑って
「前に一颯君に見破られて失敗したのに」
懲りないねー
「何で他の探偵事務所選ばないんだろ」
と呟いた。
一颯は嫌そうにハハハと笑うと
「リベンジのつもりかよ」
と言い
「こいつが会っているとしたら…十中八九畦倉は推進派だ」
と告げた。
友晴は驚きながら
「この女性は?」
と聞いた。
一颯は腕を組むと
「M&Aコンサルティング『マザーズ』の社員だ」
企業買収や人材の囲い込み、合併とかを非合法な手段を用いても成立させようと準備する会社な
と告げた。
「恐らく表立っては先の遠田と中川を推進派として旗を振らせ、裏で畦倉が動いていたんだろう」
そう考えると
「あの坂巻百合子は畦倉と繋がっていると考えた方がいいな」
友晴は一颯を見て
「しかし、この写真だけでは」
と告げた。
一颯は笑むと
「坂巻百合子を落とすしかないな」
と立ち上がった。
「行くか」
友晴は驚いて立ち上がり
「え?どちらへ??」
と聞いた。
一颯は「もちろん、坂巻百合子のところだ」と答えた。
「ピーが連れて行ってくれる」
友晴は一颯の頭にインコがいないことに気付き
「あ、ああ」
と答えた。
理沙はそれに
「ピーちゃんは一色君の相棒だからね」
と告げた。
それに一颯は嫌そうに
「相棒なわけないだろ」
鳥だぞ鳥
と言い、ペットボトルに水を入れてオフィスを出ると飛んできた影に目を向けた。
ピーが一颯の頭に乗り
「イブキ、ラブリー」
ワタシ、ホムズ
と喋った。
一颯は手に水を乗せて
「今日は、好きに言え」
と告げた。
ピーは一颯の手の上に乗り水を懸命に飲んだ。
暑いのだ。
頑張ったのだ。
一颯はピーが水を飲むと
「じゃあ、頼むぞ」
と告げた。
ピーは羽ばたくと空へと舞い上がった。
友晴も一颯も車に急いで飛び乗り、後を追いかけたのである。
ピーはそのあいだ
「カツーオー、サン」
カツオーサン
と喋りながらパタパタと道案内をしたのである。
一颯はそれを聞きながら
「なるほどな」
と呟いた。
友晴は運転しながら
「あの鳥は一体」
と呟いた。
一颯は彼を見て
「ピーは頭に乗った相手の心を読むんだ」
恐らく勝野は白だな
と言い
「タイミングといい畦倉とあの女が会っていたのといい」
依頼は合併反対派を蹴落とすためのトラップだったんだ
と告げた。




