その6
『特集』『記事』『コラム』などなど話を聞く言い訳が多い上に名刺を見せると怪しまれにくいのだ。
友晴は一颯とピーと共に事務所のフロアを出て車を運転し、三清精密機器本社の駐車場に着くと車を置いた。
一颯は彼と共に受付の女性に
「名古屋Nowtimeのライターをしている一色というものですが」
最近、大学などの特許問題などを取材しておりまして
「こちらは半導体関連の特許を出しているお聞きしたので取材をしたいと思うのですがお話お聞きできそうな方はいますでしょうか?」
と告げた。
受付の女性は一颯の頭の上のピーをチラチラ見ながら
「名古屋Nowtimeの記者の方ですね」
少々お待ちください
と言うと内線で
「今、名古屋Nowtimeの記者の方が我が社の特許について取材の申し込みに来られているのですがいかがいたしましょうか?」
と部署の人間に連絡を入れた。
そして、直ぐに
「特許の部署の坂巻百合子というものがこちらに来て話をするということです」
と告げた。
「申し訳ございませんが少しお待ちください」
一颯は笑顔で
「いえ、ありがとうございます」
と答えた。
5分程して眼鏡をかけた30代前くらいの女性が現れ
「お待たせいたしました」
特許を出している
「事業推進部特許課の坂巻百合子と申します」
と告げた。
一颯も友晴も畦倉克夫から受け取った部署の人員表を思い出しながら頭を下げた。
「こちらこそお忙しいところ取材に応じていただきありがとうございます」
あ、このインコは俺のトレードマークで大人しいので気にしないでください
一颯はそう言って名刺を交換した。
彼女は戸惑いながらエレベータに二人を連れて行き
「部署の様子を見ていただいてからお話を」
と告げた。
一颯も友晴も頷いた。
百合子はエレベータに乗ると小さくため息を零して
「…今特許で問題とか起きていますよね」
と言い
「その…自社の特許の横流し…とか」
と告げた。
一颯は彼女を見ると
「というと?」
と聞いた。
彼女は慌てて
「いえ、何でもないんですけど」
とエレベータが止まると
「こちらです」
と二人を問題の勝野剛一がいる特許課へと案内した。
人数は5人ほどで懸命に特許の書類を作っており、壁の棚にはこれまで出してきた特許の申請書類がファイリングされたフォルダー整然と年代や内容別に保存されていた。
一颯は勝野を見ると
「写真をお取りしても大丈夫でしょうか?」
と聞いた。
勝野は少し考え
「すみませんがパソコンの画面が映らない角度で…そこからなら良いです」
と答えた。
一颯は頭を下げると
「ありがとうございます」
と答えた瞬間にピーが飛び立ち、勝野の頭の上に乗った。
勝野は驚いて
「な!?」
と腰を浮かした。
一颯は舌打ちし
「ピー!」
と怒るとピーは一颯の頭に戻って
「ワタシ、ホムズ、アツイ、アツイ」
と喋った。
それに勝野は咳払いをして
「ったく、昨今の記者は」
とぼやいた。
他の社員は少し苦笑し小さな笑い声が響いた。
一颯は写真の撮る位置を気にする勝野を見て、意外と警戒心が強いのだと判断した。
ただ特許は開発に関しては金になる元である。
当り前と言えば当たり前かもしれない。
一颯は言われた場所から写真を撮った。
ピーは頭の上で
「フビフビ、フビフビ」
と喋っていたのである。
勝野は坂巻百合子を見ると溜息をついて
「応接室で後は頼んだ」
と告げた。




